第1回 天津神社春の大祭

県内のお祭りや地域文化を実際に体験し、ご紹介する新特集「新潟・文化体験リポート」。
第 1 回目は先日(2015/4/10(金))行われた天津神社春大祭「糸魚川けんか祭り・天津神社舞楽」のリポートです。

糸魚川市役所のすぐ裏手にある天津神社。こちらの神社で有名なのが、毎年 4/10 に行われる春の風物詩「糸魚川けんか祭り」「天津神社舞楽」です。

「糸魚川けんか祭り」は、五穀豊穣(ほうじょう)と豊漁を願い、「寺町区」と「押上区」に分かれた若衆が、2 つの神輿(みこし)をかついで境内を回りながらぶつかり合う勇壮な祭りです。各区に 1 人ずついる露払いの鳥爺(とりじ)という役が先導するのが特徴で、2 人は男神と女神を表し、ぶつかり合う神輿は子孫繁栄の願いを込めた神の結婚を表現しているそうです。

「天津神社舞楽」は、大阪四天王寺の舞楽を継承しているといわれており、国重要無形文化財に指定されています。けんか祭りの「お練り」から登場する稚児が舞台で雅(みやび)に舞います。昼から始まる舞楽には 12 の演目があり、最後の演目「陵王(りょうおう)」までは約 6 時間。日の暮れる頃に祭りはお開きとなります。「天津神社舞楽」は 4/10・11 の両日行われ、2 日目は古くから伝わる別の衣装を身につけて舞います。
同日に行われる 2 つの祭りは 300 年以上の歴史があり、「動」と「静」の対比が大きな見どころとなっています。

それでは「糸魚川けんか祭り」から写真でご紹介します。

「糸魚川けんか祭り」は勇壮な太鼓の音とともに始まります。力強くたたき続けるために数人で交代しながらたたきます。この太鼓とおはやしは舞楽が終わる夕方まで「動」と「静」に合わせて鳴り続けます。

 

太鼓の音色に合わせて大きな青竹が「ワッショイ、ワッショイ」のかけ声とともに境内に運び込まれ、一行を先導します。

 

これが露払いの鳥爺(とりじ)です。男神役と女神役は面を逆にかぶるのが習わしだそうです。逆にかぶってお祭りを行った際、豊作・豊漁に恵まれたことが始まりとか。

 

けんか祭りに先立って行われる稚児の「お練り」。舞楽前に穢れることを防ぐため、地面に足を付けずに大人が抱き上げて歩きます。

 

そしていよいよけんか祭りが始まります。このように神輿を合わせるようにして押しあい、ある程度時間がたったら離れます。 2 つの神輿は境内を回りながら、同様のぶつかり合いを 10 回程度くり返します。

 

ぶつかる回数が増えるごとに祭りも盛り上がりを見せます。桟敷席からは大きな歓声と応援のかけ声が上がります。

けんか祭りの最後は、境内を神輿が勢いよく回る「御走り」の中、若衆の「ワッショイ、ワッショイ」のにぎやかなかけ声で幕を閉じます。

「糸魚川けんか祭り」の様子は、この記事の最後に動画でもご紹介しています。
次は「天津神社舞楽」のご紹介です。

「糸魚川けんか祭り」とは対照的に、「天津神社舞楽」は静かな 舞が特徴です。こちらは最初の演目「振鉾(えんぶ)」です。

前半の見どころの一つ、2 番目の演目「安摩(あま)」です。面と衣装は異国風で、かわいらしい動きが特徴的です。

 

胡蝶を背中に付け、菊の花を手に持った 4 人の稚児が舞う 3 番目の演目「鶏冠(けいかん)」。12 の演目の半分以上は稚児の舞です。

 

7 番目の演目の「能抜頭(のうばとう)」。こちらの神社独特の舞だそうで、能楽のような面を着け、お腹を膨らませるような姿勢で大きく舞います。

 

最後の演目「陵王(りょうおう)」。見るからに恐ろしい面を付け、雰囲気のある太鼓の音色に合わせた大人の舞いで、陵王が大きく飛び上がると観客から歓声が上がります。昔、中国の蘭陵王(らんりょうおう)が恐ろしい面を着けて敵を打ち破った古事を表しているそうです

 

いかがでしたでしょうか。激しい「糸魚川けんか祭り」と静かな「天津神社舞楽」。2 つの祭りを通しで見ることで、地域に根付いた文化や歴史を感じることができます。なお、来年行かれる方にアドバイスですが、2 つを通しで見ると約 9 時間ほどかかりますので、雨具などの防寒と休憩用の敷物などを持って行くことをおすすめします。

日程や場所など、2 つのお祭りの詳細につきましては、下記リンク(糸魚川市観光協会HP)も合わせてご覧ください。

関連リンク

糸魚川市観光協会

天津神社・奴奈川神社/住所:糸魚川市一の宮1-3-34
電話:025-552-1742(糸魚川市観光協会)

それでは最後に動画でも「糸魚川けんか祭り」と「天津神社舞楽」をお楽しみください。

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