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水道公園と白菊、長岡花火

体験リポート 第4回「水道公園と白菊、長岡花火」

戦争中の昭和20年(1945)8月1日。長岡市は空襲にあい、旧市街地の約8割が焼け野原となりました。
深い悲しみの中、市民は立ち上がり、わずか一年後に「長岡復興祭」を開催します。さらに翌年の昭和22年(1947)には花火大会も復活させ、今の「長岡まつり」の前身となりました。

今回、旧中島浄水場跡地を整備した水道公園を訪ねました。「水道タンク」の愛称で親しまれている配水塔やポンプ室棟など、公園内には戦火を浴びた建物が今も残されています。

戦争の記憶を今に伝える建物群は復興と平和のシンボル。焼夷(しょうい)弾の爪痕などが見られる内部は、通常は公開していませんが、事前に申し込めば見学することができます。(申込先:長岡市公園緑地課)

小林善雄さん。後ろは配水塔。

建物たちは時代の生き証人

水道タンク友の会・会長の小林善雄さんに案内していただきました。小林さんは、空襲を6歳の時に体験しました。米軍の爆撃機のプロペラ音におびえながら、無我夢中で水道タンクまで逃げて来たそうです。

旧中島浄水場は昭和2年(1927)に操業開始。平成5年(1993)に妙見(みょうけん)浄水場に統合され、水道施設としての役目を終えました。戦争だけでなく近代水道の歴史も伝える貴重な施設は、まさに時代の生き証人です。小林さんはその保存を呼びかけ、価値を知ってほしいと友の会を結成。ボランティアガイドとして子どもから大人までを案内し、イベントも開催してきました。

レトロなデザインのポンプ室棟。

大正モダニズムが漂うデザインと、重厚な鉄筋コンクリート造り。ポンプ室棟の前に立つだけで時代を飛び越えた気分になります。
「外から見ると2階建てに見えるでしょう? 実は1階建ての吹き抜けです」と小林さん。「下段の窓枠は空襲の炎で破られ、新しいサッシが入っています。上段は当時のものですよ」。強化プラスチックを貼って補強してあります。

ポンプ室棟内部の展示物。

中に入るとまず目に飛び込むのが、映画「この空の花-長岡花火物語」(2012年 監督・大林宣彦)を思い起こさせるオープンカフェのパラソル。作品の題材は、戦争と長岡花火でした。「公園一帯でロケがありました。思わず女優さんを撮影したら怒られちゃって」と苦笑い。手作りで再現した看板などを展示しています。また公園は、AKB48「So long!」(2013年)のミュージックビデオのロケ地にもなりました。

予備発電機室内部には戦争の爪痕が残る。

予備発電機室棟は外観はコンクリートですが、戦争時の屋根はトタンでした。 「空襲の時、焼夷弾が屋根を貫通したんです。ほら、天井の一部に修理した跡があるでしょう」。

油脂焼夷弾の実物見本。

「市街地を焼いた焼夷弾には、引火すると激しく燃える『ナパーム』というゼリー状の油脂ガソリンが仕込まれていました」。およそ925トン、163,000発もの焼夷弾が豪雨のように降り注いだそうです。

配水塔に設置された登録有形文化財の表示板。

水道公園では、配水塔である水道タンクと、ポンプ室棟・予備発電機室棟・監視室棟の4つが国の登録有形文化財に登録されています。
中でも大正13年(1924)着工、昭和2年に完成した水道タンクの登録は早く、番号が「第15-0002号」。「新潟県で2番目に、国の登録有形文化財に選ばれたんです」と小林さん。「水道公園の建物には模型や再現物ではない、本物の歴史の足跡があります。多くの人に見ていただきたいですね」。

小林善雄さん。

慰霊の供花「白菊」

さて、長岡まつりでは特別な花火が打ち上げられます。「白菊」です。ゆっくりと上がりしんなりと開く真っ白な花火には、戦没者に手向ける慰霊の供花という意味が込められています。
毎年8月1日、前夜祭の日の22時30分、空襲が始まった同日同時刻に上がります。
ライトアップされた水道タンク越しに観賞しました。少しの間を置きながら上がる3つの白菊は、平和について考えるきっかけにもなります。

夜の水道公園と「白菊」。

白菊は8月2日・3日に行われる大花火大会の最初にも、毎年打ち上げられます。

関連リンク

水道公園

※ポンプ室棟、予備発電機室棟、管理室棟の内部を見学するにあたっては事前に申し込みが必要です。(申込先 長岡市公園緑地課 TEL:0258-39-2230 )

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