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file-104 味わう!新潟のクラフトビール(前編)

  

規制緩和から生まれた、多種多様なビール


 平成7年(1995)、日本初の小規模ビール醸造所が新潟県に誕生しました。当時は、その地域でしか飲めないビールということから「地ビール」と呼ばれ、すぐに、全国各地に300超の醸造所が生まれました。このブームはいったん沈静化しますが、今、味や品質の向上、アメリカのクラフトビール人気の影響により「クラフトビール」として第二次ブームを引き起こしています。今回の特集では、新潟県の8つの醸造所で造られる個性豊かな「ビール」を紹介します。

作り手の情熱

地ビールの歴史は新潟から始まった

《エチゴビール》
 現在の「クラフトビール」の元、「地ビール」の歴史は、平成6年(1994)の酒税法改正に始まります。ビールの製造免許取得に必要な年間最低製造量が、2000キロリットルから一気に60キロリットルに引き下げられ、参入しやすくなったのです。
 全国第1号地ビールを生産したのは、新潟市西蒲区のエチゴビールです。ヨーロッパで味わったようなビールを日本でも造りたいと願った創業者が、平成6年にいち早くビール製造免許を取得。平成7年(1995)に、醸造所とパブの複合施設「ブルーパブ」の営業を開始し、地ビールブームを牽引しました。

 

エチゴビール 飯塚さん

「最大で年間3000キロリットルを生産します」と、飯塚さん/エチゴビール

「今は『クラフトビール』が定着しつつありますが、国税庁では『地ビール』としているので、当社では発売時のまま呼んでいます。単に呼び方の違いですよ。『クラフトビール』の定義は日本にはないのですが、共通項を上げるなら、こだわりのある作り方、香りが強いことでしょうか。」と、エチゴビールの飯塚励さん。「ラガー(下面発酵)ではなく、エール(上面発酵)が多いのも特徴ですね。」

 

エチゴビール ピルスナー 缶

当社のおすすめ品、チェコスタイルの「ピルスナー」/エチゴビール

 日本で一般的なすっきりした味わいのビールは、下面発酵酵母で造られたラガービール。一方、クラフトビールは、豊かな香りと深い味わいが特徴で、上面発酵酵母で造られたエールビールが主流。ゴクゴクではなく、香りや味を楽しみながら、料理と一緒にいただくもの。ワインや日本酒に近いといえるかもしれません。
 平成11年(1999)、エチゴビールは全国展開と輸出を視野に、ブルーパブでの提供だけでなく、量産型の工場を新設。新潟で造ったビールを多くの人に手軽に楽しんでもらえるよう、常温での流通が可能な瓶ビール・缶ビール製造を始めました。
 現在では、日本国内はもとより、アメリカの日本料理店での提供もスタート。中でもコシヒカリを副原料に使った、キレのいいビールは「rice beer」と呼ばれて人気を博しています。

 

スワンレイク ポーター

「自然の中でビールを味わえるのもブルーパブの魅力」と、渡邉さん/スワンレイクビール

スワンレイク 渡邉さん

38ヵ国、1150銘柄が出品した国際大会で金賞受賞の「ポーター」/スワンレイクビール

《スワンレイクビール》
 平成9年(1997)、「新潟発のビールを世界へ」を掲げ、阿賀野市にスワンレイクビール醸造所がオープン。ブルーパブにほど近い、五頭山麓の白鳥の湖、瓢湖にちなんだ命名です。
 平成10年(1998)以降、「インターナショナルビールサミット」「ワールド・ビア・カップ」などビールの国際審査会に出展。2人のビール職人の技術とこだわり、チャレンジ・スピリットが世界に認められ、これまでに金・銀・銅合わせて106個のメダルを獲得しています。
 「通年の主力製品に加えて、限定生産のビールも造っています。クラフトビールの魅力は、造り立てのフレッシュな味が楽しめること、そして、造り手のこだわりや思いが、色や味となってはっきりと現れること。これからも原料やレシピにこだわった『一期一会』のビールを造っていきたい。」と、立ち上げから製造に携わってきた渡邉康一さん。
 これまでにも、コシヒカリを副原料とし新潟ならではのビールも造ってきましたが、新たな地産地消の取り組みに着手。「地元の農家さんが栽培した小麦を譲っていただき、その小麦を使用したビールを仕込みました。小さなタンク一つでの初めての試みです。」地元のものを使った、メイドイン新潟のビールを。スワンレイクビールの挑戦は続きます。

観光、町おこし、新ビジネス。目的は多様化する

 第1号地ビール誕生の後、新潟の様々な場所で、様々な製法による、様々な味わいの地ビールが生まれました。
 まず、高原リゾートへ向かいましょう。

 

妙高高原 ピルスナー

一番人気は、爽やかで日本人には飲みやすい「ピルスナー」/妙高高原ビール

 来年20周年を迎える妙高高原ビールでは、ラガービールの一種、ピルスナーが一番の人気を誇ります。醸造したビールの80%を併設ビール園に提供する、典型的な地ビール方式。定番の3種類に加え、この秋、エールビールを醸造し、限定販売する予定です。
胎内高原ビール ヴァイツェン

フルーティーな香りで、女性に人気の「ヴァイツェン」/胎内高原ビール

 胎内高原ビールは、ドイツビールの系統です。地ビール製造をめざした黒川村(現・胎内市)は、平成10年(1998)にドイツからブラウマイスターという称号を持つビール職人を招き、1年かけて製造技術を学びました。ドイツで16世紀に制定された「ビール純粋令」(ビールの原料を限定)を守り、3種類のビールを造り続けています。ここも、多くは併設ビール園への提供。高原ビールは、観光資源の役割を担っていました。
八海山 アルト

濃色麦芽が醸し出す香ばしさやコクが特徴の「アルト」/八海山泉ビール

 八海山の麓に湧く泉のほとりに建つのは、八海山泉ビール醸造所。日本酒で有名な八海醸造が手がけるビール工場です。酒と同じ八海山水系の水を原料に、洋食にも和食にも合う、コクや味わいの中にも飲みやすさとスッキリ感を重視したビールを醸造。併設レストランの他、酒造メーカーの経験や販売ノウハウを活用して、県外各地へも提供しています。
カーブドッチ・ビール ゴールド

麦芽の香りやホップの苦みが強い「ゴールド」/カーブドッチ・ビール

 次は、日本海沿いへ。
 角田浜のカーブドッチ・ワイナリーでは、自家製のハムやソーセージのレストランを立ち上げる時、料理に合う飲み物を造ろうと、小さな醸造プラントをレストラン内に設けました。提供はレストランだけ。色も味も濃い、フルーティーな味わいを生み出す上面発酵方式は、温度管理が難しいため、少量に限定して品質管理を徹底し、丁寧に造り上げています。
新潟麦酒 缶

飲みやすい味とホップの香り、適度な苦味が特徴。缶内発酵の「新潟麦酒」

 同じ西蒲区の新潟麦酒は、これまで紹介した醸造所とはスタンスが違います。ドイツやベルギーで古くから行われている「ビン内発酵」を始め、伝統的な製法に則ったビールを、小規模生産しています。平成9年(1997)の設立以来、作り出した商品は100種類以上という、顧客が求めるものをフレキシブルに生産する方法で、日本全国だけでなく、海外へも輸出を拡大中。今後は、中国とインドで立ち上げる工場への技術提供も決まっています。

 

 そして、平成28年(2016)3月、一番新しく、一番小さな醸造所が、新潟市に登場。古くから味噌や酒などの発酵食品を造ってきた沼垂に誕生した、わずか11坪の醸造所、沼垂ビールです。無加熱・無濾過・自然熟成で、深いコクと芳醇な味わいを持つビール3種類を提供しています。「地域を巻き込んだクラフトビールというビジネスモデル」を作ることが目標です。
沼垂ビール ペールエール

グラスの底にビール酵母や原料が沈殿。コクと苦みの「ペールエール」/沼垂ビール

 

 もはやブームを超え、流行とは一線を画した、新潟のクラフトビール。地域に根ざした、個性豊かなビールが生まれていました。後編では、ビアパブやビールイベントなどを通して、仕掛け人たちにビールの楽しみ方を伺います。

 

 

後編 → 味わう!新潟のクラフトビール(後編)
『クラフトビールとの出会いの場が増加中!』

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