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file-111 今、新潟で会える、愛しき猫たち(前編)

  

江戸と平成の猫ブーム


 今から約200年前の江戸時代にもあった猫ブーム。将軍も庶民も猫を飼い、浮世絵師の北斎や広重、国芳も猫を描きました。平成の今も同じです。全国で約985万匹の猫が飼われ、雑誌や書籍、テレビや映画にも猫が登場し、人々の心をつかんでいます。時代を超えて愛される猫の魅力に迫ります。

人々の暮らしに寄り添う猫

可愛くてミステリアス

 猫は奈良時代に、貴重な経典をネズミから守るため、経典とともに中国から渡ってきました。平安時代には「唐猫(からねこ。中国から伝わってきた猫の意味)」と呼ばれ、貴族だけが飼える貴重なペットでした。江戸時代に入り、徳川綱吉の「生類憐みの令(しょうるいあわれみのれい)」で江戸の町に市民権を得た猫は、庶民にとって一番身近なペットに。春季企画展「猫と人の200年―アートになった猫たち」を開催中の新潟県立歴史博物館の田邊幹(たなべもとき)さんに、その頃の猫の人気ぶりについて伺いました。  

 

田邊さん

新潟県立歴史博物館、企画担当の田邊さん。「時代や作家で異なる猫の描かれ方が、今回の見どころです」

「江戸時代後期の浮世絵では、背景の一部として描かれることが多いのですが、作家やシチュエーションによって、猫は実に様々な表情を見せています」と田邊さん。たとえば、遊女や振り袖姿のお嬢さんと一緒の猫は可愛らしく、庶民の家の猫はユーモラスで、武者絵や歌舞伎の場面では不気味な化け猫と、多彩に変身します。可愛くて、どこかミステリアス。そんな猫の二面性を絵師は作品に表わしたのです。
「浮世絵師の中でも、歌川国芳は猫好きで有名。彼の描く猫の動きや表情は生き生きとして、観察力の鋭さと猫への深い愛情が伝わってきます。懐に子猫を入れて絵を描いていたと伝えられているんですよ」  

 

国芳猫板

歌川国芳「妙でんす十六利勘 降那損者」弘化2年(1845) 猫の後ろ足が乗っている長火鉢の部分は、その名も「猫板」。猫の指定席だったところから名が付いたとされる。

 風景画を多く手掛けた歌川広重が、珍しく猫を描いた作品も企画展には出品されています。それほど、猫は魅力ある、身近なモチーフだったのです。  
二代歌麿

二代目喜多川歌麿「無題」見立源氏物語女三宮
遊女が連れている猫はリード付き。猫に高級感を出すための工夫と考えられている。

広重

歌川広重「名所江戸百景 浅草田圃酉の町詣」安政4年(1857)
広重が猫を描いた珍しさから、猫ブームの中で注目度上昇中。小物や室内の様子から、飼主は遊女と思われる。

 

 そして、平成の今もまた、猫を飼う人が増えています。平成28年(2016)、社団法人ペットフード協会によるペット飼育数調査では、平成23年(2011)には233万匹だった飼育数差が、犬の987万8000匹に対して、猫は984万7000匹と5年間でその差をぐっと縮めてきました。また、猫カフェも登場し、猫と触れあって、癒やしを求める人たちで賑わっています。  

 

鈴木さん

「猫カフェちぐら」オーナーの鈴木さん。店名通り、関川村特産の猫ちぐらは、猫たちに人気。

 新潟市西区にある「猫カフェちぐら」は、新潟では草分け的な存在の猫カフェです。幼い頃からずっと猫を飼っているというオーナーの鈴木さん。「休みの日に、こたつで猫と一緒にうとうとする、あの幸せな時間を他の人にも味わってほしくて」、平成25年(2013)に同店をオープンしました。  

 

マンチカン

猫カフェのトップアイドルは、マンチカンのモカくん(4歳)。「足が短くて胴長の体型がかわいいでしょう」

「人気の猫種には流行があって、最近の一番人気はマンチカンです」と、鈴木さん。平成の今は、愛嬌のある丸顔、ふわふわした毛並みの猫が好まれるそうです。「毛の管理が必要ですが、毛が長いと性質も穏やかなので、飼うにはおすすめです」。鈴木さんによれば、猫にストレスを感じさせないように、無理な抱っこや過剰な遊びはせず、見守るようにするのがいい付き合い方とか。自由で気ままな猫の性質を踏まえて、それを尊重すると、「猫も穏やかな表情になって、猫の方から近寄ってきてくれます。いい関係が築けますよ」

 

人を呼び込む、平成の看板猫

猫のいる風景

猫のいる風景がこの商店街の特徴のひとつ。側溝脇のコンクリート部分には猫の足跡やイラストが点在

沼ネコ焼

名物「沼ネコ焼」。胎内市産のコシヒカリの米粉を使った、もちもちの食感も楽しい焼き菓子。

 平成27年(2015)に昭和の市場を生まれ変わらせて誕生した、沼垂テラス商店街。レトロな長屋スタイルで、カフェやデリ、アクセサリー工房などおしゃれなショップが並ぶ、今、注目のスポットです。周辺にはお寺が建ち並び、かつてはたくさんの猫がこのエリアでのんびり暮らしていました。そこに注目したのが、商店街の仕掛け人の一人、高岡はつえさん。もともと大の猫好きです。「この猫たちをモチーフに、沼垂の新名物をつくろう」とひらめき、米粉入の生地に小倉やカスタードなどを入れて焼く「沼ネコ焼」を考案。毎週土・日曜日には実演販売も行われ、すっかり沼垂名物として定着しています。
 高岡さんのオフィスには、看板猫が気まぐれに出勤します。オフィスの通り側は全面ガラス張りで、中から外を眺める猫を、通りを歩く人たちが見つけては立ち止まり、笑顔になって、そこからおしゃべりが始まることも。「猫がきっかけで話したり、人の出会いがあったり。この子を目当てに通ってくれ、成長を見ていてくれる人も。本当に招き猫だと思います」。通りは沼垂小学校の通学路でもあるので、子どもたちも猫に会うのを楽しみにしてくれ、その縁から、昨年には、小学校と商店街がコラボした「沼ネコ焼」の新製品を開発。猫は商店街の活性化に一役も二役も買っています。
 そのオフィスを訪ねてきた、フリーアナウンサーの大杉りささんも、負けず劣らずの猫好きです。自宅では2匹の猫を飼い、また人と動物の共生を図るNPO「新潟動物ネットワーク」で、命の大切さを伝える出張授業などの活動もしています。「私の溢れるほどの猫愛を、ウチの猫以外にも注ごうと、活動を始めて10年。猫がきっかけで、いろいろなことを知って、視野が広がりました」。保護された猫の里親探しや、野良猫に去勢・不妊手術をして地域で育てる地域猫の取り組みなど、幅広く活動しています。  

 

猫トーク

「失敗をごまかす」「実は話をしっかり聞いている」「今もきっとね」と、猫トークで盛り上がるふたり

 今の猫ブームをふたりはこう分析します。「猫ってにおいがしないでしょ、だからきれい好きでコンパクトな家に住む日本人にはぴったり」と、大杉さん。「抱いてもそばにいてもちょうどいい大きさで、もふもふで、温かい。三拍子そろった癒やし効果は絶大」と、高岡さん。「猫についてだったら、いつまででも話せそう」。ふたりの笑顔はとろけそうです。

 

 後編では、新潟に伝わる猫伝説から、人と猫の関係をたどります。 

 

■ 取材協力
田邊幹さん/新潟県立歴史博物館 主任研究員
鈴木一郎さん/猫カフェちぐら オーナー
高岡はつえさん/沼垂テラス商店街 株式会社テラスオフィス 専務取締役
大杉りささん/フリーアナウンサー
浮世絵・作品画像提供
中右瑛コレクション

■ 平成29年度春季企画展「猫と人の200年―アートになった猫たち」
開催期間 平成29年6月4日(日)まで
開催場所 新潟県立歴史博物館(新潟県長岡市関原町1丁目字権現堂2247-2)
     TEL 0258(47)6130
開館時間 9時30分~17時(入場は16時30分まで)
休館日  月曜日
観覧料  一般820円/高校・大学生500円/中学生以下無料
     *猫グッズを身につけての来館で100円引き
URL   http://www.nbz.or.jp/

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