
ダンサー
Vol.118 村山 なな
世界を目指して結成されたダンスチーム
―村山さんが所属するCHIBIUNITYが誕生したのは2017年ですね。
はい。その少し前の2013年、代表の国友慎之助がダンスの可能性、価値を日本全国そして全世界へ発信していくため、DANCE PRESENTATION UNITYを立ち上げています。そして「新潟から世界へ」をテーマに2017年、子どもたちによるダンスチームとして新潟を拠点にCHIBI UNITYを結成しました。私は2017年に入ったのでほぼ初期メンバーとなります。
―最初から世界を目標に掲げていたのですね。所属メンバーの年齢層は?
中高生が多いですが、幼児チームもあるので、下は本当に小さい子たちから所属しています。ジュニア大会に出場できるのは18歳までなのですが、上は20代前半ぐらいかな。私も22歳ですが、今なおCHIBIUNITYの一メンバーとして第一線で活動しています。
―結成した2017年にダンス界で最も権威のある世界大会で初優勝。それ以降も毎年優勝し、4連覇を達成。2023年には大人部門でも初優勝。このような偉業を成し遂げることができたのはなぜだと思いますか?
今もそうですが、ダンススキルを上げるためにとにかく練習をしています。たぶん練習量ではどこにも負けません。それと日頃からメンバー同士のコミュニケーションを大事にしているので、それもチームの大きな力となっているんじゃないかと思います。
―この世界大会で印象に残っているのは?
2回目の年ですね。2連覇がかかっているというプレッシャーもあったのですが、強豪チームがあまりに多くて緊張しすぎてパフォーマンス前から涙するメンバーもいたほど。それでも何とかみんなで力を合わせて踊りきったんです。そうしたら会場から“CHIBI!CHIBI!”と歓声が上がって。もう鳥肌がたって結果発表の前から涙があふれてとまりませんでした。あの時の感情は今でも忘れられないです。
新潟県エンタメアンバサダーとして
―賞金100万ドル(約1億4700万円)をかけた全米屈指の高視聴率を誇る、オーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント(AGT)」に出場されました。
ダンスの世界大会で優勝した私たちのところに、この番組のプロデユーサーが出演をオファーしてくださったんです。みんなうれしくてたまらなくて「やりきるぞ」という気持ちで臨みました。
―その甲斐あって初戦のオーディションで見事、最も名誉あるグループゴールデンブサーを獲得。圧巻のダンス・パフォーマンスで会場を沸かせ、全米視聴者による投票の結果、決勝にも進出。惜しくも優勝とはなりませんでしたが、この番組の影響はいろいろあったのでは?
もちろん!それまではダンスの世界大会へ出場していたので海外の方、ダンス好きな方にはそこそこ知ってもらえていました。でも、AGTは日本でも知名度の高い多いオーディション番組というのもあって、ダンスをよく知らない日本の人たちにCHIBI UNITYを知ってもらえたんです。それが良かったです。
―知名度が上がったことで何か変化はありましたか?
自分たちのダンスでの経験を子どもたちに伝える仕事が増えました。最近はよく、私も含め、各メンバーが小学校や中学校を訪問して講演会を行ったり、ダンスを教えるワークショップをさせてもらったりしています。子どもたちのキラキラした表情や、ダンスに集中してくれる姿を見れるのがうれしいですね。
―世界大会に出場する以外にはどんな活動を?
「東方神起」のライブイベントでオープニングダンスを踊ったり、新潟で開催の音楽イベント「音楽と髭達」のオープニングダンサーを務めさせてもらったりしています。
―2023年7月、CHIBIUNITYは新潟県エンタメアンバサダーに就任しましたね!
そうなんです。ダンスでさらに新潟を盛り上げていこうということで、県内の観光スポットでダンスを披露するPR動画を制作したり、さまざまな県内イベントにも参加させていただいています。
私が感じているCHIBIUNITYの魅力はダンスを通して社会貢献できたり、地域に密着した活動ができること。アンバサダーとして私たちにできることをこれからもさせていただけたらなと思っています。
ダンサーという仕事が人に役立つことを目指す
―そもそも村山さんがダンスを始めたきっかけは?
小学2年の時、テレビの歌番組で踊っているアーティストがキラキラして見えて、自分も踊ってみたくなって。最初は地元長岡市のダンススタジオに入りました。
―実際に踊ってみてどうでしたか?
楽しくてたまらなかったです。小さい頃はなかなかできないステップがあったりすると、できるようになるまで練習していました。挑戦が好きな子だったので中1ぐらいからいろいろなオーディションを受けていました。TRFのバックで踊ったこともあるんですよ。
―すごいですね。そして2017年、高1の時に、CHIBIUNITYに参加したわけですね。
先輩に誘われて入りました。ダンサーとして世界のステージに立ちたいという私の思いと、「新潟から世界へ」というCHIBIUNITYのテーマが合致していたのが参加の理由です。ここではヒップホップ系のダンス以外にバレエやアクロバット、コンテンポラリーなどさまざまなレッスンを受けました。おかげで体を柔軟に動かすことができるようになりましたね。
―ダンスのおもしろさはどんなところですか?
ダンスはすごく精神とリンクしているなと感じます。辛い時や楽しい思いがそのまま表現として現れるので、表現者の新たな一面を見ることができるのも魅力の1つです。
チームで踊ってみんなの呼吸を感じる瞬間や、踊りきった後の達成感は何ともいえない幸福感に包まれます。
―昨年は「第13代にいがた観光親善大使」として活躍されていましたね。これはご自身の意志で応募して?
はい。人と話したり、何かをPRすることが好きなので自分のしたいことに近いかもと思い応募しました。ふだんダンスで人に伝えることに必死でしたが、大使の活動を通して言葉で伝える力の大切さを知り、またその力が少し身についた気がします。
―では、今後の夢、目標を聞かせてください。
ダンスを通して身近な人や目の前の人の心を動かせる人になりたい。ダンサーという仕事がもっといろんな人の役に立つ基盤作りもしていきたいですね。
―3月17日の新潟凱旋公演についても教えてください。
詳細は当日のお楽しみということで心待ちにしてもらえたらなと。CHIBIUNITYは結成当初からたくさんの新潟のみなさんが応援してくださっているので、日頃の感謝の気持ちをこめて、全力でパフォーマンスしたいと思っています!ぜひご期待ください。
Question&Answer
Q.どんな子どもでしたか?
とにかく動くことが好きでした。小さい頃から野心家(笑)で何にでも興味を持ち、挑戦していましたね。
Q.今、ハマっているものは?
以前から料理にハマっていて、ヘルシーなメニューが得意です。それと本を読むのも好きですね。『20代で得た知見』(F著)という本が印象深くて、今でも心に残っています。
Q.好きな映画は
『ベスト・キッド』。ダンスに没頭していた小学生の頃に観た映画というのもあり、思い出深いです。
Q.リラックスするのはどんな時?
お風呂に入っているひととき。休日はお風呂屋さんへ行ってのんびりします。
Q.新潟で好きな場所は?
角田浜の海はいつ見てもきれいだなって思うし、西蒲区あたりの美しい景色も好きです。よくドライブしながら楽しんでいます。
〈Profile〉CHIBI UNITY
2017年に結成されたダンスチーム。「新潟から世界へ」をテーマにしたジュニアプロジェクト。エンターテインメントがさまざまな産業や教育、社会課題解決に貢献できることを追求し続けている。同年ロサンゼルスで開催された最も権威あるダンスの世界大会「VIBE DANCE COMPETITION」ジュニア部門に初出場し、初優勝という快挙を成し遂げる。23年には史上初4連覇、大人部門での初出場初優勝も成し遂げ、二冠を達成。現在は新潟のダンス教育をモデルにしていきたい県外の団体と連携し、地方でのCHIBI UNITYの活動を拡大中。
〈Profile〉村山なな
2001年新潟県長岡市生まれ。小学2年から地元のスタジオでダンスを学び始める。ダンスのオーディションにも応募するようになり、2013年にはTRFバックダンサーを経験。2017年からダンスユニット「CHIBI UNITY」に参加。高校卒業後はフリーランスとして「SUGA DANCE INNOVATION」でインストラクターをはじめとしたダンスに関わる仕事をする。2022年10月から「第13代にいがた観光親善大使」として新潟市の観光PR活動に1年間携わった。