地球の鼓動と多彩な文化に触れる旅
山田彩乃さん、やまだめいさんは4人姉妹の長女と四女。2人は今、地域活性化モデル・タレントとして新潟を拠点に活躍しています。「年齢がちょっと離れているので、2人で旅をするのはとても新鮮。今日はどんな出会いがあるかな?」と胸を膨らませながら糸魚川市に向かいました。
糸魚川フォッサマグナミュージアム
最初に2人が向かったのは糸魚川フォッサマグナミュージアム。学芸員の茨木洋介さんの案内で広い館内を巡ります。
日本列島を模した中庭を見ながらフォッサマグナの説明を受け、糸魚川の海岸などで見つかったヒスイの多彩さに目を見張った2人。実は彩乃さんは筋金入りのリケジョ、めいさんも高校までは理系だったそうで、興味津々です。フォッサマグナの映像を見て「本州の真ん中を横断する大きな割れ目なんですね。思ったより幅が広い!」と驚いたり、チタンや鉄などが混じるヒスイの色の違いに感嘆したり。「実際に石を触れる体験ができるのがいいですね。大人も子供も楽しめる展示が多くて、何時間いても時間が足りないくらい」。
糸魚川は新潟県の石にも指定されたヒスイの産地として国内随一。でも「縄文時代から珍重されてきたヒスイでしたが、奈良時代以降はまったく利用されなくなりました。80年ほど前に相馬御風らに『再発見』されるまで、なぜか歴史の表舞台から姿を消していたんですよ」と茨木さんが話すと、とても驚いた様子でした。
ここでは学芸員による「石の鑑定」を行っています(実施日限定・要鑑定券・抽選)。「海岸で石を拾ったら持ち込んでみてください。ただの石に見えてもヒスイかもしれません」と茨木さん。ヒスイ海岸の場所を教えてもらい、ミュージアムを後にしました。
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長者ケ原考古館
次に向かったのは、フォッサマグナミュージアムに隣接する長者ケ原考古館。
この一帯は国の史跡「長者ケ原遺跡」。考古館では長者ケ原遺跡をはじめとする糸魚川市内の遺跡からの出土品が展示されており、縄文時代から江戸時代までを概観することができます。フォッサマグナミュージアムと長者ヶ原考古館は、お得な共通券があるのがうれしいですね。
縄文土器やヒスイ文化を学んだ後は、縄文ファッションに身を包み石斧を持ってポーズ!2人ともよく似合う!
土器や住居跡が発見されたエリアは広々とした遺跡公園として整備されています。ユニークな縄文体験メニューもあるので、家族で縄文時代を満喫しに行ってみませんか?
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漁師の寿司屋 漁場傳兵
お楽しみのランチタイム。糸魚川市には、糸魚川産コシヒカリを使用し、市内24のジオサイト(地質や糸魚川の歴史・文化を学ぶことができるエリア)をイメージした「ジオ丼」があります。今回は「糸魚川海岸エリア」の漁師のお寿司屋さんにお邪魔して、ジオ丼「漁師の海鮮丼」を注文しました。
丼には、朝水揚げした地魚がてんこ盛り。大ぶりの丼から思いっきりはみ出しているベニズワイガニ、南蛮エビ、地魚、マグロにサーモン、イクラなどなど(カニの種類は日によって変わります)。ベニズワイガニの身をほぐし、好きなネタからいただきます!
「お刺身は大好きです。日本海の旬を一度に食べられるなんてうれしい」とめいさん。最後の一口はサーモンとイクラの”親子”で締めました。彩乃さんは「身が詰まったカニでカニミソもたっぷり。酢飯もとってもおいしい」と満面の笑みで完食。
2人は海のない群馬県桐生市で生まれ育ちましたが、夏になると一家で柏崎や寺泊を訪れていたそうです。今は新潟市で暮らし、折々に新鮮な海の幸を楽しんでいるのだとか。
食といえば、彩乃さんは2021年5月から新潟市内で「地球の子供食堂と宿題Cafe」を運営しています。「小学生の登録人数が230人を超え、中学生もたくさん来てくれます。子供たちの居場所となるこの取り組みを長く続けたい」と語っていました。
◯概要
住所/糸魚川市南押上2-1-22
営業時間/11:30~14:00、17:00~23:00(21:00LO)
定休日/火曜日
電話番号/025-553-2661
ヒスイ海岸
大満足の海鮮丼を食べたあとは、近くの「ヒスイ海岸」へ。糸魚川の海辺は、砂浜ではなく小石が広がる海岸が多く「石のまち」を象徴するかのよう。石の種類は日本随一とも言われています。
足元の小石は糸魚川の山で生まれ、長い年月をかけて川を下り海にやってきたもの。2人も早速ヒスイ探しに挑戦です。「きれいな緑色の石を探せばいいのかな」「ミュージアムで見た石は白いのが多かったんじゃない?」と話しながら水際へ。あれこれ手に取ってみるものの、これといったお宝には巡り会えませんでした。
周囲を見渡すと、海岸のあちこちに人の姿があり、みんな石拾いを楽しんでいるようです。「いつかきれいなヒスイを拾って鑑定してもらいたいな」とヒスイ海岸を後にしました。
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新潟県史跡 相馬御風宅
糸魚川の生んだ文人・相馬御風。歌人、詩人、評論家、作詞家、翻訳家、随筆家として明治・大正・昭和に活躍し、郷土研究や良寛研究に大きな足跡を残した偉人です。御風の生家は糸魚川大火で焼けてしまいましたが、1928(昭和3)年に建てられたこの家が終の住処になりました。
玄関から応接室、囲炉裏のある居間、仏間が並び、中土蔵、奥土蔵のある昔ながらの町屋づくり。急な階段を登った2階の書斎で記帳を勧められた彩乃さんは低い文机を前に「御風さんと同じ目線ですね」としみじみ。往時、加賀街道に面した窓からは山々が望めたといいます。
新潟暮らし歴が浅いめいさんは、この旅で相馬御風の名前を初めて聞いたそう。「早稲田大学校歌は知ってるでしょ?『都の西北』から始まる校歌、あれを作曲した方ですよ」と、相馬御風宅を管理する樋口すみ子さんに教わりました。童謡「春よ来い」は今でも親しまれています。
御風は、糸魚川を治めていた奴奈川姫(ぬながわひめ)がヒスイの勾玉を身につけていたという伝説から、この地方にヒスイがあるのではないかと考えていたそうです。その話を伝え聞いた伊藤栄蔵氏が1938(昭和13)年に美しい緑色の石を発見したことから糸魚川のヒスイが「再発見」され、今に至るのだそう。古代史や考古学でも大きな貢献があった方なのです。
2023年は相馬御風生誕140年。良寛研究だけではなく、會津八一や野口雨情、北大路魯山人、小川未明らとの交流なども、改めて脚光を浴びそうです。
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道の駅 マリンドリーム能生
今回の旅のゴールはマリンドリーム能生。能生漁港に水揚げされたベニズワイガニをはじめ、新鮮な魚介類が並ぶ道の駅です。あたりには茹でたてのカニや焼きたての浜焼きのいい香りが漂います。
まだ動いているカニが並ぶ磯貝鮮魚店で、おいしいカニの見分け方を教わった2人。ぎっしり詰まったタマゴの数にもびっくり。「県外へ出るとお値段は3倍になるとか。獲れたてぴちぴちの海鮮がお手頃に買えるのが新潟の豊かさですね」と彩乃さん。
そして一角におしゃれスポットを発見!ここは新潟県立海洋高校の生徒が開発した商品を製造販売する「株式会社能水商店」のアンテナショップです。鮭の魚醤「最後の一滴」をはじめとする商品を中心に販売するほか、カフェスペースもあります。めいさんは「鬼辛ごっつぁんカレー」を食べたことがあるそう。「辛いのも好きだけど、今日は甘いものをいただきます」。
2人が注文したのは、糸魚川産ジャージー牛乳を使用したソフトクリームに「最後の一滴」風味のビターカラメルを添えた「一滴ソフト」。ドリンクは相馬御風宅で教わった「バタバタ茶」、越後薬草(上越市)のクラフトソーダ「バタフライピー」。糸魚川の食もたっぷり満喫しました。
〇概要
住所/糸魚川市能生小泊3596-2(国道8号線沿い)
営業時間は店舗により異なります。公式サイトでご確認ください。
電話番号/025-566-3456
公式サイト
石の魅力や神秘的な地球の成り立ち、そして文化の豊かさ。個性的なミュージアムを巡り糸魚川を再認識したという2人。「別な季節にもお邪魔してみたいです」と笑顔で締めくくりました。