
file-124 みんなのまち、万代シテイ~人々を魅了し続ける街づくりとは~(後編)
平成から未来へ、虹の街は進化する
平成23年(2011)の東日本大震災後、安全性を考慮して操業を休止していたレインボータワー。平成30年(2018)11月に姿を消しますが、これは万代シテイの進化の序章にすぎません。45年間での成長をステップとして、どのように変わっていくのか。その未来予想図に迫ります。
街の風景をリデザインする
新しい万代シテイの始まり

2階建てのキャビンが回りながら上下。座ったまま360度の眺めが楽しめた/レインボータワー

「音楽、グルメ、放送局とのコラボなど、開催イベントは多彩です」/田中さん
具体的には、街区のデザインを統一し、万代シテイパークや万代シテイ通りを、人が憩える開放的な空間へ。バスターミナルは、明るく「人にやさしい」バス待ち空間へとリニューアル。そして、イベントの種類や開催を増やし、幅広い人々を引き付ける――万代シテイの進化は多岐に及びます。「今まで少なかった飲食店も増やし、見て楽しんで買い物をして食事して、一日中滞在できるエリアを目指しています」

2023年、より大人っぽく生まれ変わった「万代シテイ」に会える(完成予想図)

40周年記念の一般公募によって生まれた、万代シテイの猫キャラ。土日にシテイに出没。
「リニューアルしても『虹の街』のモチーフは継続するので、まだ計画段階ですが、レインボータワーも何らかの形で記憶を引き継ぎたいと思っています」
街としての力が試されるとき

昭和59年(1984)新潟伊勢丹オープン。2年前の広告から待ちわびたファンが駆け付けた。

「伊勢丹ならではのイベントやサービスを強化し、お客さまのご期待に応えたい」/長谷川さん

『越品(えっぴん)』は、新潟の誇りを具現化した伊勢丹発のブランド。
「伊勢丹を目的として万代シテイに来ていただくためには、伊勢丹にしかない強み、個性を磨き上げていくことが大切です」。新潟の特産・工芸品を掘り起こしてブランド化する動きを強化し、新潟県内だけでなく、近隣県や首都圏からの人々にもアピール。その際には、新潟駅から近く、バスセンターに隣接するという地域特性がプラスになります。そして、万代シテイに訪れた幅広い年齢層を、洋服や化粧品などのモノがどのように生活を楽しく変えるのかという、ソフトも含めた提案によって引き付ける――と、『次』への動きを加速しています。

連絡ブリッジでつながるラブラ。イベント開催時は、周辺の道路が歩行者天国に。

「万代シテイ各館の相乗効果で、さらに活性化を図りたいです」/草野さん
「新潟の方には当たり前かもしれませんが、これだけの頻度で歩行者天国になることだけでもすごく、恵まれた環境です。今後は、この恵まれた環境を生かし、ラブラのみならず万代シテイ全体がもっとにぎやかになればうれしいですね」

ハロウィンイベントでは、思い思いの衣装をまとった人たちが万代シテイ交差点に集結!
平成最後の11月にひとつの節目を迎えた万代シテイ。スクラップ&ビルドの中で、新しいものに注目が集まりがちですが、ここには、長く続いているもの、受け継がれたものもたくさんあります。その新旧が共存し、個性を際立たせ合い、合わさって、長い間多くの人たちを引き付け続けているのです。また行きたくなる街、誰にとっても夢のある街は、2023年、どのような表情で50周年を迎えるのでしょう。その成長の過程も併せて見守っていきませんか。
■ 取材協力
田中栄太郎さん/新潟交通株式会社 事業部 事業課 課長
長谷川順哉さん/株式会社新潟三越伊勢丹 営業政策部 部長
草野真行さん/ラブラオペレーションセンター スーパーバイザー