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file-18 雪国の暮らしと文化 ~未来につなぐ雪国文化


未来につなぐ雪国文化

 最新の科学を応用した利雪の取り組み、そして雪国と宗教、雪国と人の暮らしのあり方など、よりグローバルな視点に立った雪国文化の見直しが始まっています。


  

 「冬になると雪は零度の固体として降ってきますが、これが零度の液体になるためには膨大なエネルギーを要します。これまでは太陽エネルギーによって単に『溶ける』のを眺めているだけでしたが、この時発するエネルギーを冷熱として取り出すことができたら、雪国の概念は劇的に変わるかも知れない」と話すのは雪だるま財団(上越市安塚区)チーフスノーマンの伊藤親臣さん。雪だるま財団は利雪や雪国の文化を研究・発信する財団法人で、雪冷房システムの設計やコンサルティングなども行っています。また、雪発電も現在富山大学で研究が進められており、雪の可能性は広がりつつあります。

 雪が育んだ風土や精神性にも注目が集まってきています。過大な労働を強い、時には生命も脅かす雪ですが、画家富岡惣一郎(1922-1994)が白と黒だけで雪の世界を描き世界中から賞賛を浴びたように、大地を覆う雪は別世界を作り出します。

 雪の持つ両極性が、宗教を育んだのではないかという指摘もされます。新潟県は日本の宗教界を代表する親鸞(1173-1262)、日蓮(1222-1282)が過ごし、良寛(1758-1831)を生み育てました。立正佼成会の開祖庭野日敬(1906-1999)も豪雪で知られる十日町市の出身です。

 半年近くを屋内で過ごさざるを得なかった雪国の暮らしの中で、農村の人々の中に俳句や短歌が広がりました。閉ざされた長い時間は文学や芸術にも費やされ、多くの偉人を輩出しています。数十年の歳月を費やし完成に至った世界最大の漢和辞典「大漢和辞典」を著した諸橋轍次(1883-1982)、いまだに地名辞典の金字塔といわれる「大日本地名辞典」を著した吉田東伍(1864-1918)も新潟県出身です。

 「利雪よりも、本当に大事に未来につながなければいけないのは結(ゆい)の精神」と伊藤さんは言います。「結」というのは、集落内の相互扶助のこと。農作業や住まい、道路、水路の普請など、集落が共同作業をしなければならない場面が多いため育まれてきた絆ですが、豪雪地ではさらに雪下ろしや雪崩、急病人の搬送など冬場は雪によって生命に関わる事態が起こるため、一層強固といわれています。1961年(昭和36年)の三六豪雪の際、上越線が雪でストップし、正月を故郷で過ごそうといら立った人々が栃窪峠(十日町市と南魚沼市塩沢との境)を徒歩で越えて家に帰ろうとしたことがありました。軽装では越えられるはずのない峠越えの大規模遭難を救ったのは、二ッ屋集落(十日町市)の人たちでした。集落ぐるみの迅速な対応で数十人を救助して一人の死者も出さなかったのです。

 中山隧道(長岡市)は、集落の人々が16年の歳月をかけて900メートルを手掘りで通したトンネルです。いずれも結の精神があってこそ実現したものでした。2004年に豪雪地を襲った中越大震災でも、集落単位で倒壊した家屋から人を助け出したり、土砂崩れで塞がった道路を自力で修復したり、そうした例は少なくなりません。

 道路除雪やインフラ整備など、雪が降ることによる経済的な負担は大きく、大雪の年には雪下ろし中の不幸な事故もなくなってはいません。しかし雪の害だけではなく、雪がもたらす良さに着目しようという動きは確実に広まっています。そして雪があることの良さは、雪国からしか発信できないということを忘れてはなりません。



 

 ■雪国の文化を知るリンク

 

  雪だるま財団 

  新潟県立歴史博物館 

  鈴木牧之記念館 

  トミオカホワイト美術館 

  吉田東伍記念博物館 

  諸橋轍次記念館 

 

  良寛  特集記事「永遠の良寛」参照

  中山隧道 

  十日町雪まつり 

  婿投げすみ塗り 

  大石どもんこ祭り
  2009年2月14日(土)、関川村大石ダム周辺を会場に行われます。
  お問い合わせは「大石、山と川に親しむ会」0254-64-2170(ファクス兼用・担当/高橋)




協力:雪だるま財団
写真協力:小千谷市 大石、山と川に親しむ会
 

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