
file-30 新潟淡麗~新潟清酒がおいしい理由~ そもそも清酒とは


県醸造試験場には全酒造場の酒瓶を展示している。酒蔵の数と多様性では他県を圧倒して全国一だ。
酒税法上の分類では「米、米こうじ、水(及び清酒かすその他政令で定める物品)を原料として発酵させてこしたもので、アルコール度数22%未満のもの」として定義されています。日本に昔からある酒類には、他にみりん、焼酎などがありますが、米、米こうじを原料として造られた酒を漉したり、上澄みを取ったりして濁りを除いた酒が現在の清酒の母体とされています。
アルコールは酵母が糖を発酵することで生成します。酵母は果実の皮や土などに自然に存在している菌で、これによる発酵作用を利用して世界中で酒が造られてきました。ワインは果実の糖分を酵母がアルコール発酵することでできる酒ですが、麦や米など穀類を原料とする酒は、主な成分であるデンプンを糖化する必要がありました。酵母はデンプンを直接発酵できないからです。その働きをするのが、ビールでは麦芽、清酒では米麹です。
清酒の製造工程は複雑ですが、おおざっぱに分けると①原料処理(米をといで蒸す)、②製麹(蒸米に麹菌を生やして米麹を作る)、③酒母(酵母を培養する)づくり、④発酵(蒸米、米麹、酒母、水を混合してもろみを仕込み発酵させる)、⑤上槽・熟成(発酵が終わったもろみを搾って酒粕を分離し、寝かせて熟成させる)の順になります。
酵母や麹菌はもともと自然に存在する微生物ですが、長い間に酒造りに適するように飼い慣らされ、優秀なものが選抜されて使われています。
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