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file->30 新潟淡麗~新潟清酒がおいしい理由~ 新潟清酒の今と未来



新潟清酒の今と未来


酒の陣

毎年3月、新潟市の朱鷺メッセで開かれる酒の陣は、毎年県内外から日本酒ファンが集まる。普段なかなか手に入らない酒が買えることや、試飲しながら酒蔵と直接対話できるのが魅力だ。

 「最近、透明な酒は自然ではないとか、新潟の酒はきれいすぎて味がしないなどと言われることがあります。つくり手からすると、丁寧につくった酒はこうなるんだと言いたいんですけれどね」と渡邊場長。

 清酒を巡る状況は、楽観できるものではありません。日本ではビール、ワイン、焼酎などアルコール類が多様化している上に、人口減少でアルコール消費量自体が減少傾向にあるのです。新潟の酒造場も他県ほどではないにしても、少しずつその数を減らし、出荷量も減少傾向にあります。そうした中で新潟では業界団体である新潟県酒造組合と県醸造試験場が共同でさまざま試みを行っています。

 一つは海外展開。ハリウッド映画に登場した久保田(朝日酒造)、俳優ロバート・デ・ニーロが買い付けに訪れる北雪(北雪酒造)、エールフランス航空ファーストクラスの機内酒に採用された真野鶴(尾畑酒造)など、海外でもその名を知られる銘柄は既に存在していますが、これをさらに進めるため組合はヨーロッパ、アメリカなどで試飲会を開いたり、展示会に出展したりしています。「酒造組合で昨年スペインに行ったのですが、sakeの名はある程度知られていても、良質な日本酒が少ないため、新潟の酒は大変好評でした」と渡邊場長は好印象を語ります。良質な日本酒=新潟清酒というイメージづくりを大事にしているといいます。

 そして「オール新潟」の取組。新潟の米と新潟の水、新潟の技術で仕込んだ酒づくりを目指す取組です。以前から市販酒には県内で栽培された五百万石が多く使われていましたが、品評会用の酒の多くは兵庫県などから山田錦を買って仕込んでいました。品評会での評価は山田錦で仕込んだ酒が上位を狙いやすい傾向にあるからです。

 新しい新潟の酒米「越淡麗」は、新潟県醸造試験場、新潟県農業総合研究所作物研究センター、新潟県酒造組合が連携して開発に取り組み、15年以上の歳月を経て2004(平成16)年に誕生しました。新潟の気候に合って、粒が大きく、高度の精米にも耐える特長があります。又、膨らみのある味に仕上がる傾向を持ち、新潟県内のみで栽培される酒米です。既に多くの酒造場でこの米を使った醸造が行われ、品評会にも出品されて評価が高まっています。「大吟醸酒造りは不確定要素をなるべく避けたいので、新しい品種は参入しづらい傾向があるんです。主食用の米は新しい品種がどんどん生まれているけれど、現在も主流である山田錦は戦前、五百万石は昭和32年にできた酒米。そうした中で越淡麗は着実に実績を上げつつあります。山田錦は実績のある良い米ですが、越淡麗も早くこれを上回るレベルに到達して欲しい」と渡邊場長は話します。そして越淡麗が一気に広がったのには、業界を挙げて「オール新潟」に取り組む姿勢ができていたこと、試験醸造の過程で各酒造場が情報を共有できる環境が整っていたことの効果だと言います。醸造試験場と酒造場共同での商品開発は「あかい酒」(1970年)など既に実績がありますが、現在は酒粕を乳酸発酵させた食品の開発に取り組んでいます。

 さらには環境、文化など地域に根ざした取組。各酒造場によってさまざまですが、地域の水質を守る運動や、農業活性化、食文化や歴史文化のPR活動などを独自に繰り広げています。

 これらささまざまな取組によって目指しているのは「新潟清酒」のブランド化。「ボルドーやブルゴーニュなど、ワインは醸造元や銘柄ばかりではなく地域の価値も評価されます。自然環境や文化も酒の価値にしっかり含まれている。新潟も、『新潟産なら良い酒だ』と世界中から納得されるようになっていきたい」と渡邊場長は話しています。


新潟清酒を知るリンク

新潟県酒造組合
見学できる酒蔵一覧や2010年の酒の陣の情報が掲載されています。

坂口記念館
発酵の権威で上越市出身の坂口謹一郎氏を顕彰したミュージアム。

よしかわ杜氏の郷
新潟県上越市吉川区(旧吉川町)にある施設で、「酒蔵のある道の駅」としても知られています。
旧吉川町には、かつて多くの酒造技術者を輩出し、醸造科を有していた県立吉川高校がありました。


協力:新潟県醸造試験場


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