file-54 新潟で楽しむアートイベント:前編~アートで面白く! 元気になる! 「大地の芸術祭」

  

アートで面白く! 元気になる! 「大地の芸術祭」

自然の中で、人と出会う喜び

 
十日町市松代

棚田に溶け込むアート作品(十日町市松代)
作家名:イリヤ&エミリア・カバコフ
作品名:棚田

 今年で5回目の「大地の芸術祭」が7月29日(日)~9月17日(月・祝)まで開幕される。44の国と地域から318組のアーティストが参加。約360の作品が点在し、越後妻有全体が美術館になる芸術祭だ。これまでも大地の芸術祭が取り上げてきたのは、昔からこの土地にあるものだった。例えば、廃校や空家を使った作品、地元のお母さんたちが作る郷土料理、棚田に置かれる作品。そして、過疎高齢化で担い手を失いつつある棚田の里親になり農作業体験ができる「まつだい棚田バンク」などのプログラムを実施してきた。回を重ねるごとに来場者数も増え、国内外から評価を得てきた。アートで地域の魅力を再発見し、発信すると、それを楽しもうと人が訪れる。そこで地元の人やアートに触れて元気になる人も多いとか。大地の芸術祭のスタッフ・ウォラル美和さんは総合ディレクターの北川フラム氏の言葉を教えてくれた。「アートは何が正しくて、何が間違っているということがありません。アートは唯一、人と違うことが褒められるもの。いろいろな作品に触れ、地元の人と交流することで、みなさん自然と元気になります」。大地の芸術祭は自然に包まれながら、人との温かな交流を通して、素直な自分になれる場所なのかもしれない。

地域の魅力を伝えたい

 「越後妻有での暮らしや自然、地元の人の温かさ、知恵を伝えていきたい」と、東京から越後妻有の地へ移住した女性がいる。かつての小学校を宿として再生した三省ハウスのスタッフの飛田晶子さんは、12年前の2000年の大地の芸術祭に参加したのをきっかけに、こへび隊として活動を続け、6年前に妻有に引っ越してきた。「芸術祭に参加して、今までの価値観と違うものを知りました。さまざまな人との関係が広がったのも面白かったんです」。収穫した食材を保存して冬に備え、どこかへ出歩かなくても暮らしていけるライフスタイルを今もなお続けている人たちから学ぶことが大きかった。集落ならではのルールや豪雪地帯での生きる術に戸惑いながらも、少しずつ地元の人に教えてもらい、この地で生活し三省ハウスに訪れた人たちへ温かなおもてなしをしている。

アートの力 ~人と人、人と場所をつなぎ復興を~

 今年は「震災からの復興」として、昨夏から継続している越後妻有の林間学校に被災者を招待したり、倒壊したオーストラリア・ハウスの日豪協力による再建にも取り組んでいる。新潟県と越後妻有地域は中越大震災(2004)、中越沖地震(2007)、そして長野県北部地震(2011)を経験し、その過程で国内外から多くの支援を受けてきた。アートの力とは、人と人、人と場所をつなぐこと。だからこそ、東北の人たちとつながり、助け合い、生きる証としてのお祭りを続けていこうと取り組んでいる。

地元にある資源×アート~魅力の再発見

下条茅葺の塔

JR飯山線下条駅は、「かつて人がにぎわっていた」と地元の人は言う。もう一度、駅前ににぎわいをと「下条茅葺きの塔」を計画した。
作家名:みかんぐみ+神奈川大学曽我部研究室
作品名:下条茅葺きの塔

手繰りそば

「手繰りそば」のコンセプトは「織物の『織り』と、日本伝統の包装礼法の『折り』をつなぐ」。それを織物を拡大したように立体的な折りが入った掛紙として表現した。
商品名:手繰りそば
魚沼 手繰りそば 布乃利つなぎ
designed by 黒栁 潤

 JR飯山線アートプロジェクトは、今年初の取り組みとして注目が集まっている。利用者が減少している現状を踏まえJR飯山線の周辺にアートを配し、列車にもアートを施すことによって、鉄道そのものが交流の舞台となることを目指す。今回は越後妻有圏域内の2駅の駅前に、それぞれ作品が配される。下条駅では、高さ約11メートルの茅タワーが駅前に出現。この地域には、かつて多くの茅葺職人がいた。今では一人もいないが、人が集う場所としての茅葺きタワーを計画している。越後田沢駅では、河口龍夫氏の作品「時の航海」など、「水」をテーマにした作品を収蔵する納屋が駅前に出現。アーティストが地元のお母さんと相談しながら、郷土料理を提供する予定だ。列車はジャン=ミッシェル・アルべローラ氏がデザインを担当し、コンセプトは「都市と地域の交流」。複数の人の顔とメッセージを取り入れたものを予定している。

 場所だけではない。地域の名産品もまた、アートの力で再生する。越後妻有の名産品と国内外のクリエイターが手を組み、新しくパッケージをデザインすることで売上げ増を目指す「Roooots 名産品リデザインプロジェクト」は、2009年からスタート。今回も13商品の25デザインが採用された。スタッフのウォラルさんは「おいしい食材や豊かな織物、優れた技術があっても現代のマーケットに合わず売上が伸び悩むものがあります。発表の場を待っているデザイナーもいる。これらをうまく結びつけて、前回はデザインを一新したすべての商品が売り上げを伸ばしました」。このプロジェクトは大地の芸術祭が目指す「地域の活性化」に一役買っている。Rooootsの商品は、まつだい「農舞台」内のミュージアムショップおよび、今年の芸術祭を機に新しくオープンする越後妻有里山現代美術館「キナーレ」のミュージアムショップでも取り扱いを開始する。

 まつだい「農舞台」
十日町市松代3743-1
Tel: 025-595-6688 
開館時間/10:00〜17:00
休館日/水曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始

file-54 新潟で楽しむアートイベント:前編~大地の芸術祭~おすすめスポット

  

大地の芸術祭 ~おすすめスポット~

新しい美術館が誕生!~越後妻有里山現代美術館[キナーレ]~

 越後妻有交流館キナーレでは、2階を改装し、「越後妻有里山現代美術館[キナーレ]」としてリニューアルオープンする。山間部であり、かつ豪雪地の越後妻有を象徴するカマボコ型車庫をモチーフにした体験型の作品や、越後妻有で採取した植物を炭化させた彫刻作品、映像を駆使するアートなど見どころ満載。越後妻有地域の自然や風土などをテーマにした作品を展開し、通年で越後妻有を体感できる現代アートの美術館となる。レストラン&カフェ「越後しなのがわバル」やミュージアムショップも併設。妻有のアート散策の拠点にしたい新スポットだ。

越後妻有里山現代美術館「キナーレ]

越後妻有の多様な資源や大地の芸術祭の魅力を凝縮した新しいミュージアムが、大地の芸術祭と同時に一般公開される予定。
作家名:原広司+アトリエ・ファイ建築研究所/作品名:越後妻有里山現代美術館[キナーレ]
撮影者名:安齋重男

子ども連れにオススメ ~絵本と木の実の美術館~

 山に囲まれた小さな集落「鉢」に残る唯一の小学校「真田小学校」が、村の過疎化により2005年春に廃校になった。この小学校が取り壊されようとしていたとき、残したいという集落の人たちの熱い想いと、絵本作家の田島征三氏によって2009年に作品として再利用されることになった。作品は、最後の在校生3人と学校に住みつくオバケたちとの物語を描いた、空間絵本『学校はカラッポにならない』。校舎内のあちこちに配したオブジェは、伊豆半島の海辺と日本海で集めた流木や木の実などの自然物に絵具を塗ったもの。天井につるされたワイヤーが入口にある巨大なししおどし「バッタリバッタ」とつながっており、鉢の山からの湧水で「バッタリバッタ」の頭がいっぱいになると、バッタがお辞儀。その動力がワイヤーを伝わり、体育館中の流木オブジェが踊り出すという壮大な仕掛け。
http://www.echigo-tsumari.jp/artwork/hachi_seizo_tashima_museum_of_picture_book_art/

絵本と木の実の美術館

作家の田島征三氏は、かつて学校で生活をしていた先生や生徒、オバケまでも再現した。
作品名:絵本と木の実の美術館/撮影者名:宮本武典+瀬野広美

好評だったイベントの再演:さまざまな人との共演に注目!~鬼太鼓座~

 2003年より大地の芸術祭での公演を行ってきた鬼太鼓座は、芸術祭以外の年でも越後妻有と深く関わり活動を続けてきた。今年は様々な地域からの参加者との共演を見ることができる。幅広い年齢層を対象に入門ワークショップなども実施予定。誰でも楽しく気軽に伝統芸能に触れることのできるプログラムは見逃せない。

 鬼太鼓座新潟文化祭2012 地域伝統芸能フェスティバルin越後妻有
開催日:終了
場 所:川治集落 妻有神社、まつだい「農舞台」ピロティ
料 金:無料

除雪車がバレエを踊る ~スノーワーカーズ・バレエ~

 ミエレル・レーダーマン・ユケレス氏の「スノーワーカーズ・バレエ」は、なんと除雪車13台がバレエを披露するというパフォーマンスで、2003年の大地の芸術祭で圧倒的な人気を博した。シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」をモチーフに、除雪車が優雅に舞う。雪国ならでは、この芸術祭ならではのパフォーマンスは、一見の価値あり。

 スノーワーカーズ・バレエ
開催日:終了
場 所:十日町 妻有大橋 信濃川河川敷
料 金:一般 1,500円 、中学生以下 500円
    作品鑑賞パスポートをお持ちの方 1,000円

 このほかにも越後妻有初演となる演劇作品やダンス作品など、様々な公演が行われるので、ぜひ足を運んでみていただきたい。きっとそこにはまた、素敵な人や景色、アートとの出逢いが待っているだろう。

 大地の芸術祭 公式HP

 新潟文化物語の大地の芸術祭特集(バックナンバー)
・ File.25
「大地の芸術祭~里山の挑戦~」

・ File.1「越後妻有アートトリエンナーレ~大地の芸術祭はいつでも楽しめるんです」

file-54 新潟で楽しむアートイベント:前編~地域の「いいもの」を次世代へ伝える「水と土の芸術祭」

  

地域の「いいもの」を次世代へ伝える「水と土の芸術祭」

新潟の文化をアートの力で発信

 新潟市の万代島旧水揚場をメイン会場に、旧齋藤家別邸や信濃川やすらぎ堤など、水と土の文化に触れられる場所が舞台となる「水と土の芸術祭2012」は7月14日(土)~12月24日(月・祝)の開催。水と土に支えられてできた新潟の文化をアートの力で発信することを目的とし、2009年に続き2回目となる。会期中は、プロジェクトを「アートプロジェクト」、「市民プロジェクト」、「シンポジウム」の3つに分け、各所で約65の作品展示と参加型プロジェクト、パフォーマンスなどが行われる。

水と土の記憶が消える前に、市民が動いた

田中寛さん

実行委員のひとりの田中寛さん。「自分の手でモノを作る喜びを知ってもらいたい」と笑顔で話す。

 かつて「地図にない湖」と呼ばれた亀田郷は、低湿地が「湖」のように広がっていた。そこは、水・土と人との過酷な闘いがあった。その記憶を形にしたのが2009年の「水と土の芸術祭」で発表した「水の記憶プロジェクト」だった。作家・酒百(さかお)宏一氏の指導の下、市内各地で地域にある古い道具や水門跡、排水機場跡など、水の記憶にまつわるものにフロッタージュ※という写し取りの技法を使い、新潟の水と土の記憶を描き、市民が集めたその記憶を繋ぎ合わせ、広い水面を表現した。翌2010年には、取り壊される旧木津小学校体育館でもフロッタージュを行った。その後、旧木津小学校体育館は解体されたが、市民の心には先人たちが水と闘い生きてきた記憶が心に刻まれた。

※フロッタージュとは、木の板や石など、凹凸のある場所の上に紙を置き、色鉛筆でこすり、その形を浮かび上がらせる「こすり出し」のこと。色鉛筆は水と土に関係する12色を使った。

湯浅能活さん

湯浅能活さん。阿賀野高校1年生。「いろいろな場所でフロッタージュして、残すということが楽しい」と休日を使って参加した。

 その思いは今年の水と土の芸術祭にもつながっている。旧亀田町役場庁舎が2013年度中に取り壊されることを知った地元の人たちが、「旧庁舎の歴史を残したい」と「水の記憶プロジェクト」に参加した実行委員のひとりの田中寛さんに話を持ちかけた。そして、田中さんは地元の人の思いを汲んで作家・酒百氏の住んでいる東京まで足を運び相談し、今回の水と土の芸術祭の市民プロジェクト「亀田町役場の記憶」として開催することが決定した。

 旧庁舎はコンクリート造りで1929年に完成し、「芦沼」と呼ばれた亀田の地を守り、水と土との闘いを生き抜いてきた。この建物や亀田郷で使われていた木の舟、農具などを、地域の人や小中学生にフロッタージュしてもらい、その作品を5000枚集め、作家・酒百氏が大きな水面を表現した。田中さんは「これを通じて亀田の歴史を考えるきっかけになったり、住んでいる地元を好きになってもらえたら嬉しいですね」と、作品完成まで自らの時間のほとんどを使って奔走。阿賀野高校1年の湯浅能活さんも空いた時間を見つけて、作品づくりの手伝いをした。「きっかけは旧木津小学校のフロッタージュ体験でした。こするだけの単純作業だけど、昔の道具や木の板からいろいろな絵が浮かび上がって歴史の深さを感じます」。
 
 地元の小中学生も積極的に協力した。6月29日には、亀田東小学校の4年生の138名が旧庁舎に訪れ、フロッタージュを体験。作家・酒百氏は「先人たちが営んだ歴史がそこかしこにあります。ただ教科書で歴史を勉強するのではなく、そのものと向き合い、その土地、そこに住んでいた人に思いを馳せるきっかけになればいい」と言う。木の板を真剣にこすっていたある女の子は、「絵が浮き出るのが楽しい。作品が完成したらもう一度、ここに見に来ます」。亀田を見守り続けた「そのもの」である旧庁舎の記憶が約5000枚のフロッタージュとなり、大きな水面になった。
 絵本と木の実の美術館
作家・酒百氏のアドバイスのもと、亀田東小学校の4年生がフロッタージュ体験をした様子。
にぎやかに、でも真剣に取り組んだ。酒百氏は大地の芸術祭で「みどりの部屋プロジェクト」にも取り組む。

亀田町役場の記憶
開催日:終了
主催:旧亀田町役場庁舎を活用した地域プロジェクト実行委員会
問合せ:がっとこむかめだ Tel025-381-6119

file-54 新潟で楽しむアートイベント:前編~地域に根差す伝統と文化に芸術祭で触れる

  

地域に根差す伝統と文化に芸術祭で触れる

地域の伝統文化も文化の歴史

高森いざや神楽

「高森いざや神楽」は、新潟市の無形民俗文化財に指定されている。春秋の祭りでは、村内安全、無病息災、五穀豊穣を祈願して高森薬師堂、高森稲荷神社への奉納と村内の各家々を祓い清めている。

高森いざや神楽

2009年水と土の芸術祭の「新潟獅子神楽まつり」は、老若男女問わずたくさんの人が訪れた。

 新潟市内各地に伝わる伝統芸能の「獅子舞神楽」を、北区の1300 年の歴史をもつ「高森の丘」に集結させ、特徴ある神楽舞を披露する「新潟獅子神楽まつり」が今年も「水と土の芸術祭」のイベントとして開催される。2005年に北区の「高森いざや神楽」が300年の歴史を迎え、その祭りとして旧豊栄地区の5つの神楽保存団体が集まったことがきっかけで、高森神楽保存会が2009年の水と土の芸術祭で「北区を越えたイベントにしよう」と手をあげた。市内各地の神楽保存団体に声をかけ、8つが集まり力強く個性ある神楽舞を披露。地元の人はもちろん、訪れた人からも「いろいろな舞があって楽しかった」と好評だった。県内や新潟市内にはたくさんの獅子神楽、獅子舞はあるものの、それぞれの地で活動しているため、ひとつの場所に集まり舞を披露することは少ない。高森神楽保存会の山崎剛さんは「それぞれの団体は一生懸命に活動しています。伝統芸能を後世に残し、子どもたちに伝えていきたい」と、各地に根付く伝統芸能を広く発信できるよう、今年は新潟市内全区からの出演と10団体を目指し交渉中だ。

 山崎さんが所属する「高森いざや神楽」とは、1704(宝永元)年に高森薬師如来の製作を依頼された京都の仏師・辰巳藏之助が翌年に高森に着いた記念として神楽を1体寄付し、京都の「いざや神楽」を伝授したと伝えらえている。現在では、地元の小学校の学習の一環して、その歴史や舞を教えることもあるそうだ。連綿と続く各地の伝統芸能が見られるこの機会に、足を運んでみてはいかがだろうか。
 
高森の丘発「新潟獅子神楽まつり」
開催日:終了
場 所:高森の丘公園 新潟市北区高森432

芸術祭を通して再建する地域の「いいもの」

 水と土の芸術祭は、地域に伝わる「いいもの」を掘り起こしてきた。代表的なのは、西蒲区巻地区に江戸時代末期から伝わる郷土玩具「鯛車」の復活であり、2009年の水と土の芸術祭では、30台の鯛車を信濃川沿いに並べ明かりを灯し、赤く染まる幻想的な景色が広がった。また、1999年に全線が廃止された新潟交通旧電線の旧月潟駅には、黄色と緑の配色で「かぼちゃ電車」として親しまれた電車が駅舎とともに保存されている。前回の芸術祭では、旧月潟駅が小さなFM局になり「聴く芸術」として作品になった。どちらも懐かしいと思う人もいれば、初めて見る人もいる。水と土の芸術祭は、その地域に昔からある「いいもの」を再発見するきっかけにもなるのだ。

見て、食べて、楽しむフェスタ

アートフェスタイン松浜

アートフェスタイン松浜。風で音が出る竹素材の作品「サウンドオブジェ」制作中の様子。商店街の店舗などに展示予定。

 北区松浜本町商店街や公園などでは、松本秋則氏と金属造形家の川嶋宣彦氏のアート作品が展開される。同商店街では昨年9月に水と土の芸術祭2012のプレイベントとして「心意気ARTフェスタ」を開催した。参加作家48人が無償で作品を提供したり、チャリティーオークションを実施したり、その売上を全額義援金にあてた。まさに「心意気」が伝わったイベントだった。今回も地域の人たちが商店街を盛り上げようと、市民プロジェクトとして参加。同期間中には松浜名物B級グルメ「ござれやきそば」も登場予定。

開催地域:北区松浜本町商店街ほか、町内全体

日本の原風景をただ今、制作中!

「Tears of my Father」=「わが先祖の涙」

水と土の芸術祭2009出展作品。作家自ら1カ月半も滞在し、地元の人と作り上げた。
作家名:クイビーン・オフラハラ
作品名:「Tears of my Father」=「わが先祖の涙」

 地元と協働して制作中の地域密着型の作品がある。前回の芸術祭から引き続き参加したアイルランド出身の造形作家クイビーン・オフラハラ氏は、良寛が愛した日本の原風景を、屋外建造物として7月下旬まで制作中。地元産の竹木葦草を使用して、豊かな自然のある西蒲区福井集落の湿地で作業をしている。現在(7月15日現在)もまだ制作中なので、ぜひ参加してみては。

作品制作・展示:終了
場所: 西蒲区福井 矢垂川(やたれがわ)沿いの里田
作業: 布裂き、材料の運搬や建設手伝い等の軽作業など
http://www.mizu-tsuchi.jp/artp/k_ofrahara/

 水と土の芸術祭では、このほかシンポジウムや子どもプロジェクト、ワークショップなど市内各所で開催している。ホームページをチェックして、足を運んでみてはいかがだろうか。

取材協力/関連HP

▷ 大地の芸術祭2012

▷ 水と土の芸術祭2012

▷ 旧亀田町役場庁舎を活用した地域プロジェクト実行委員会

▷ 高森神楽保存会

▷ アートフェスタイン松浜

▷ うまさぎっしり新潟夏2012

file-56 新潟で楽しむアートイベント:前編 県立図書館おすすめ関連書籍

県立図書館おすすめ関連書籍

「もっと詳しく知りたい!」、「じっくり読みたい!」という方、こちらの関連書籍はいかがでしょうか。以下で紹介しました書籍は、新潟県立図書館で読むことができます。貸し出しも可能です。ぜひ、県立図書館へ足をお運び下さい。

▷『水と土の芸術祭2012ガイドブック』

(水と土の芸術祭実行委員会発行 2012年)請求記号:N708/O24

▷『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2012公式ガイドブック』

(美術出版社発行 2012年)請求記号:N709/D14/12
 こちらの2冊は、今年県内で開催される大規模な芸術祭のガイドブックです。作品紹介のほか、会場までの交通アクセス、作品所在地の地図、宿泊情報などが載っていますので、芸術祭の全容を知りたいときや実際に足を運ぶとき等にご覧になってみてはいかがでしょうか。

▷『大地の芸術祭 ディレクタ-ズ・カット 現代美術がムラを変えた』

(北川フラム/著 角川学芸出版 2010年)請求記号:N709/Ki63
 十日町市と津南町からなる越後妻有地域で、3年に1度開催される「大地の芸術祭」。2000年の第1回から数えて5回目となるこの芸術祭が、7月29日から開催されます。
 本書は「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」の総合ディレクターを務めてきた北川フラム氏が、第1回の準備段階から第4回までの取組をまとめた内容です。越後妻有地域と芸術祭についての紹介、アーティストや地域住民、サポーター等との関わりについて書かれています。
 

▷『現代アート事典 モダンからコンテンポラリ-まで・・・世界と日本の現代美術用語集』

(美術手帖/編 美術出版社2009年)請求記号:702/B42
 本書の内容は大きく「準備体操編」と「本編」に分かれています。「準備体操編」では「モダンアートから現代アートへの入門講座」と題し、美術の歴史についてQ&A形式で説明されています。「本編」では、40のテーマごとにキーワードとその解説、さらに詳しく知りたいときに参考となる本が紹介されています。カラーページで写真やイラストも多く、解説もわかりやすいため現代アートの入門書として役に立つ内容です。
 

▷『ビエンナーレの現在 美術をめぐるコミュニティの可能性』

(暮沢剛巳、難波祐子/編著 青弓社 2008年)請求記号:706/Ku59
 本書は、2006年から発足したキュレーターや美術評論家、社会学者などが集まって組織された「国際展の文化政治学」という研究会の研究発表をもとにまとめられた内容です。「ビエンナーレ」を「周期的に開催される大規模な国際展の総称」の意味で用い、周期の違う「トリエンナーレ」についても取り上げています。「越後妻有アートトリエンナーレ」や「横浜トリエンナーレ」、「アジア太平洋トリエンナーレ」、「北九州ビエンナーレ」についてさまざまな視点から論じた内容となっています。

ご不明の点がありましたら、こちらへお問い合わせください。
(025)284-6001(代表)
(025)284-6824(貸出延長・調査相談)
新潟県立図書館 http://www.pref-lib.niigata.niigata.jp/

 

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