関川・新発田 歴史と癒やしの県北散歩
新潟県のグルメ、観光を紹介しているインフルエンサーのkumikoさん。夫・将智さんと小学3年生の息子ゆうと君と3人で下越地域のミュージアムををめぐりました。視点が違う3人で巡れば楽しみも3倍!
渡邉邸
まず訪れたのは、米沢街道に面し県内最大級の豪農の館である渡邉邸。街道沿いにおよそ100mも続く邸宅の豪壮な構えにびっくり。母屋が国重要文化財、庭園は国名勝と、そろって国指定。映画『峠 最後のサムライ』(2022年)、『蔵』(1995年)のロケ地に選ばれた場所でもあります。
大空間の土間は、高い天井の梁が見事。こんなに広い場所も、最も多い時で75人の使用人が働いていたそうですから、狭く感じたことでしょう。一年中囲炉裏に火がともされ、その煙で杉板の腐食を防いでいます。
渡邉邸の庭園は江戸中期に京都から遠州流の庭師を招いて造られたもので、この庭を愛でる客間には数百年の間どんな貴人、文人が座ったことでしょう。「庭は座った高さが一番美しく見えるように造られました」と教えられ、座って鑑賞する3人。2階に上ると、また違った角度から楽しめます。
邸宅のあまりの広さに、ゆうと君は「ここでかくれんぼしたい!」とわくわく。今の生活では見慣れないものたちに興味津々です。囲炉裏の傍らに見つけた火吹き竹を吹いてみたり、一本の丸太が真ん中からぱかっと割れてはしごに変わる「隠し梯子(はしご)」を登ってみたり。貴重な体験ができました。
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せきかわ観光情報センター「にゃーむ」
渡邊邸から歩いて2~3分、道の駅 関川や公園、日帰り温泉と同じ敷地に建つせきかわ観光情報センター、愛称「 にゃーむ」では、関川村猫ちぐらの会の皆さんの作業を見学。
猫ちぐらとは、ワラで編んだ猫のおうちのこと。関川では昔から作られていた伝統工芸品で、全国の愛猫家に大人気。同様に編んだおひつ入れは、全国の高級寿司店などで使われているそうです。
ゆうと君は部屋に入るなり猫のさくらちゃんに首ったけ。ここで飼っている保護猫で、さくらちゃん目当てに訪れる人もいる癒やしキャラ。猫ちぐらより、ゆうと君のおひざが気に入ったみたい。
◯概要
住所/岩船郡関川村上関1252-1
営業期間/10:00~15:00
休館日/1月1日、土曜日
電話番号/0254-64-3311
関川村猫ちぐらの会公式サイト
清水園
関川村から新発田市に移動して、二つ目の国名勝(庭園)清水園へ。きれいな水が流れる新発田川をはさんで左側の建物は、新発田藩下級武士の集合住宅、足軽長屋(国重要文化財)。風情があって、つい橋の上に佇んでしまいます。そして橋を渡ると清水園。新発田藩の殿様の別邸だったところで、かつては清水谷御殿と呼ばれていました。
庭園に面して建てられた書院は、豪農の館渡邊邸とはずいぶん趣が異なって、柱は細く武家らしい簡素さ。欄間には、新発田藩溝口家の家紋、五階菱があしらわれています。
池の畔に見える小さな建物は庭園内に五つ点在する茶室の一つ、夕佳亭。普段は鍵がかかって中を見ることはできませんが、茶会が催される時には公開されるそうです。こんなところでお茶がいただけるなんて素敵です。
庭園は幕府茶道方の縣宗知(あがた そうち)の指南で築造され、戦後荒廃していたものを昭和の庭匠田中泰阿弥が資料などをもとに復元したものです。足元の苔もしっかり手入れされて美しく、kumikoさんはたくさん写真を撮っていました。
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鮨 和食 ながしま
JR新発田駅前の鮨 和食 ながしまでランチタイム。しっとり落ちついた和の店構えですが、店内は広く、子ども連れでも入りやすい雰囲気です。奥の個室で、ゆうと君はざるそばを、将智さんとkumikoさんはそばとお寿司のセットをいただきます。
kumikoさんはちょっと食感の変わったお寿司が気になった様子。お店の方に尋ねてみると、実はシャリの代わりに炒ったおからを使った「から寿司」でした。「新発田の郷土料理なんですが、あまり知られていないみたい」とのことでしたが、kumikoさんは「お米のお寿司とは別物だけど、甘酸っぱくて美味しい」。ぜひお試しください。
◯概要
住所/新発田市諏訪町1-2-10
営業時間/
月・水~日・祝前日・祝日 ランチ 11:30~14:00
月・水~日・祝前日・祝日 ディナー 17:30~21:00
定休日/火曜日(月1回連休あり)
電話番号/050-5485-0456
公式サイト
五階菱
清水園から歩いて数分のところにある五階菱は「体感型酒蔵リゾート」という複合施設。王紋酒造が手掛けています。名前はもちろん新発田藩溝口家の家紋から。
最初に案内されたのは大きな蔵の中で繰り広げられるプロジェクションマッピング。映像に包まれて別世界に行ったような感覚に3人とも感動!これは必見です。
そこから出る通路の途中にはなんと、鏡開き体験。ちょっと戸惑いながらおそろいの法被に手を通すkumikoさん一家でしたが、やってみると「これ楽しいかも!」「もう一回いいですか?」と大盛り上がり。記念撮影はぜひここで。(注:たるの中にお酒は入っていません)
続いて試飲・販売コーナーへ。有料試飲では王紋酒造の限定酒や高級酒も試せ、気に入ったお酒は販売コーナーで購入も可能です。新発田を中心に県北地域の厳選された名産品や王紋酒造のオリジナルグッズなども取りそろえられており、楽しく迷いながらお土産選び。
そして土蔵づくりのカフェ「諏訪ノ森喫茶室」へ。カレーやスパゲティなど懐かしめなカフェメニューもあって、地元のお客さんも多いそう。3人はオリジナルのジェラートで一息。一番人気の酒粕フレーバーを選んだ将智さんは「まさに酒粕!」と驚いた様子でした。
◯概要
住所/新発田市諏訪町3丁目1番地17号
営業時間/9:00-18:00
定休日/年中無休
電話番号/ 0254-22-5150
公式サイト
刀剣伝承館 天田昭次記念館
そして月岡温泉エリアに足を伸ばします。月岡カリオンパーク内にある天田昭次記念館は、新発田市出身で人間国宝となった刀匠・天田昭次の足跡をたどる施設です。
輝く日本刀に男性チームは大盛りあがり。横綱北の湖関の土俵入りで使った太刀や、伊勢神宮の式年遷宮の際に奉納された太刀(昭和48年伊勢神宮式年遷宮御神宝大刀)も天田昭次が鍛えたものだそう。昭和から平成にかけて日本を代表する刀匠の作品の数々に、kumikoさん、将智さんともに「まさか新潟にこんなすごい刀匠がいたとは!」と驚いた様子でした。
2階の展示室には、天田昭次の工房や作刀の構想を練った自室が再現されています。また天田は砂鉄から玉鋼(たまはがね)を作る自家製鉄の技術を研究したことでも知られ、その工程も展示されています。近頃はアニメやゲームなどをきっかけに刀剣に興味を持つ方も多いそう。至高の日本刀を見に訪れてみては。
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湯足美(ゆたび)
旅の締めくくりは月岡温泉の「湯足美」で、ゆっくり足湯に。
…となるはずでしたが、お湯が思ったより熱かった!源泉のすぐそばにあるので、気温が高いとお湯も冷めにくいようです。お家へ帰る前に一日の疲れを癒やし、大満足の3人でした。
◯概要
住所/新発田市月岡温泉552-22
営業時間/8:00〜21:00
定休日/年中無休
料金/無料(周辺旅館でタオルの販売あり)
電話番号/0254-32-3151