ミュージアムを楽しもう! 学芸員に聞くミュージアムの楽しみ方
これからミュージアム巡りを始める方におすすめの楽しみ方を、美術館・博物館の学芸員さんに教えてもらいました。芸術作品や展示物の鑑賞に正解はありません。自分なりの楽しみ方を見つけましょう!(2022.1.12更新)
美術館の楽しみ方
新潟県立近代美術館 専門学芸員 宮下 東子さん
長岡市生まれ。専門は「鑑賞教育」
Q.美術館の魅力はどんなところにありますか?
美術館がお好きな方に聞くと「美術館は癒し」だとおっしゃいますね。好きな作品を見るのもそうですし、美術館は他とはちょっと違う独特の雰囲気を持った空間になっているので、そこに浸ることが癒しになるようです。また、美術館は学びにいくつもりはなくても、自分なりの発見や学びを持ち帰ることができる場所だと思います。
Q.美術鑑賞するときの心がまえとは?
「美術は知識を持っていないと、見られないと思っていました」というお声を聞くことも多いのですが、そういう気持ちは捨てて、本当に気軽に見ていただきたいですね。専門家の解説通りに理解する必要はなくて、自分が思うように見ていいのです。
展覧会にはたくさんの作品が並びますが、端から全部きっちり見ると疲れてしまうでしょうから、気になった作品だけをしっかり見るほうが、発見があると思いますよ。一緒に行った人と小さい声でなら、「これってこう見えるよね」と互いの感想を話しながら見るのも楽しいものです。
Q.美術館をさらに楽しむコツを教えてください。
「せっかく美術館に行くなら、お洒落して行こう」というのは素敵だと思います。日本画の展覧会に和服でいらっしゃる方もいますし、当館でウィリアム・モリスの展覧会を行ったときは、花柄の洋服の方が多いなと感じました。ただ、意外にうっかりするのが靴で、歩くとカツカツと音がするものは、展示室で響いて他のお客様の耳に障るので、音の静かな歩きやすい靴でいらしてください。また、屋外展示や、建物、周辺の環境も含めて楽しむのもおすすめですよ。
博物館の楽しみ方
新潟市歴史博物館 学芸員 安宅 俊介さん
新潟市生まれ。専門は「近世日本史」
Q.博物館の魅力はどこにありますか?
実物を見ることができる、ということだと思います。書籍やテレビで語られていることも、突き詰めるとすべて実物から引き出された情報が元になっています。博物館は、その実物が目の前にあるということが最大の魅力ですね。また、博物館の常設展示は、各館が特に情熱と時間をかけて作っているものなので、ぜひじっくりご覧いただきたいです。
Q.博物館の説明は難しくないですか?
展示物の解説文が多いと、読むのが大変と思われるかもしれませんが、最近はイラストや映像、ジオラマなどを使い、来場者が理解しやすいように工夫された展示が増えています。
また、ボランティアガイドを置いている博物館もあります。ひとりで見ていくよりも、教えてもらいながら回っていくと、より深く知ることができて楽しいと思います。一度自分で見た展示でも、視点が変わって新たな気づきがあるはずです。そうしたサービスを行っている博物館があったら、ぜひ利用してみてください。
Q.博物館をさらに楽しむコツを教えてください。
展示を見ていくと、解説に書いてあること以外にも疑問が湧いてくることがあると思います。ぜひ、その疑問を大切にしていただきたいですね。そして、博物館のスタッフに気軽に質問してみてください。学芸員に時間があればその場でお答えしますし、自分で調べることができる資料室を用意している博物館も多いです。当館では質問カードを置いていますが、特にお子さんから純粋な疑問をもらうと、大人とは違う視点に気付くことができて、私たちもうれしいです。