Q．會津八一は何をした人？
A.　八一は、新潟市・古町の料亭に生まれました。はじめは俳句はいくで才能さいのうを見せましたが、やがて短歌たんかに力を入れるようになります。早稲田大学わせだだいがくに進学しんがくし、生涯しょうがいの師し・坪内つぼうち逍遙しょうように出会い、卒業そつぎょう後は英語えいご教師きょうしを経へて早稲田大学で 東洋とうよう美術びじゅつ史しの先生となりました。古都こと・奈良ならの寺院じいんや美術に感動かんどうして、多くの有名ゆうめいな短歌を詠よみました。また、法隆寺ほうりゅうじの研究けんきゅうで、文学博士ぶんがくはくしになっています。

會津八一記念館ではさまざまな書や作品をみることができます。

Q．こどもの頃ころから字が上手じょうずだった？
A.　八一は小学校の習字しゅうじの授業じゅぎょうで、先生から「お前くらい下手へたなのは見たことがない」と言われてしまいました。当時は手本通りに書くことが大事だいじにされていた時代じだい。先生が涙なみだを浮うかべるほどだったそうですから、手本とかけ離はなれた字だったのでしょう。しかしその後、八一は 書家として有名になりました。この体験たいけんから、後に弟子でしたちに「手本通りではなく、自分らしさが大事だいじだ」と、話していたそうです。

八一は、筆・墨すみ・硯すずり・紙についてとても詳しく、大切に使用していました。使いやすい道具を好んでいたそうです。

Q．どんな人だった？
A.　ときには門下生もんかせいを大きな声で叱しかり、門前払もんぜんばらいをしたこともありましたが、貧まずしい生徒せいとを助たすけるなど、あたたかい心も持もっていました。あるとき月謝げっしゃを払はらえず泣ないていた生徒せいとに、自分のお金を渡わたし「親の悪口わるくちを言った事務じむ員いんのかわりに、私わたしを殴なぐりりなさい」と言った話が残のこっています。「怖こわくて優やさしい先生」と言われた、八一の厳きびしさと優しさが伝つたわるエピソードです。

明治の終わりから大正たいしょうのころ、八一は全国を旅しました。持ち歩いていた布ぬのカバンのうら面には、奈良・大津・九十九里浜くじゅうくりはまなど歩いた土地が書かれています。

Q．八一の作品さくひんは今も使つかわれているの？
A.　東京で活動かつどうしていた八一は自宅じたくが空襲くうしゅうで全焼ぜんしょうした後、新潟に疎開そかいします。そのため彼かれの書は、新潟の新聞社しんぶんしゃの題字だいじやお店の看板かんばん、商品しょうひんの名前など、身近なところで目にすることができます。作品を書くときには、ノートに何度なんども書いてイメージを考え、一番良よいものを世よに出したそうです。

八一の住まいの名前を「秋艸堂」と名付け、自宅の玄関に飾っていました。

Q．好すきな食たべ物ものはなんだった？
A.　料亭に生まれた八一が好きなものは、どんなごちそうかと思いきや、私たちにも身近な存在であるそばでした。新潟市古町にある「山文やまぶん」というお店にたびたび通っていたと伝えられています。山文の五代目のご主人・酒井雅史さかいまさしさんによると、酒井さんのおじいさんと仲が良くて、よく将棋しょうぎをしたりお茶をしていたようで、そのついでにそばを出していたのではとのことです。
　弟子が八一について書いた本にも、もりそばばかり食べていたと書かれています。

【取材協力しゅざいきょうりょく】
會津八一記念館
https://aizuyaichi.or.jp/
新潟市中央区万代3-1-1メディアシップ5階

そばの山文
新潟市中央区古町通６番町974