雪国の暮らし
Q. 「雪室」って何?
A. 雪室は、冬の間に降り積もった雪で山をつくり、藁などで雪を囲った天然の冷蔵庫です。雪室は、電気冷蔵庫が使われるようになるまで、各地で使われていました。
雪国では、昔から野菜などの鮮度を保つため、雪の中で貯蔵してきました。雪室の中は太陽の光を通さず、気温0℃で湿度も高く保たれているため、食材などを保管する施設として、雪国では長く利用されてきました。
Q. 「雁木」って何?
A. 雁木は、家や商店の前の通路まで庇をはり出し、下を通路にしたものです。それぞれの家が協力して庇を連続させることで、道路が雪で埋もれていても、人々が行き来できるような通路を確保するために生み出されました。
新潟県上越市の高田地区は雁木発祥の地といわれ、今もある雁木の合計は約16kmもあり、その長さは日本一です。昔は水道や電話線も雁木の下に埋まっていました。
Q. 「雪下ろし」ってどんなことをするの?
A. 新潟の山沿いでは、ひと冬に数mの雪が積もるところがあるため、雪の重みで家がつぶれないように、屋根に積もった雪を屋根から下ろす作業を昔から行ってきました。これを「雪下ろし」や「雪掘り」といいます。
昔は、雪が1mほど積もったら、足が雪に沈まないよう、小型のカンジキなどを履いて、雪下ろしをしました。
雪下ろしは、雪が降り止むのを待って行いますが、昼夜降り続ける場合は、天気や時間に関係なく、吹雪の中でも行わなければなりませんでした。
Q. 他にも雪国の暮らしの知恵はあるの?
A. 新潟県には、雪国特有の生活の知恵が他にもあります。
○雪を利用して作る調味料「かんずり」
新潟県の上越地方には、とうがらしを使用した伝統的調味料の「かんずり」があります。「かんずり」は、一年で最も寒い大寒(1月20日頃)に、塩漬けにしたとうがらしを雪の上にさらして天日干しする「寒ざらし」をした後、とうがらしをすりつぶして米糀やゆず、塩と混ぜ合わせ、3年かけて発酵・熟成させるものです。
○雪国の住宅
住宅にも雪国の暮らしの知恵は活かされています。積雪が多い地域では、家の一階部分を車庫などにして、二階に玄関を作る家もあります。落ちてくる屋根の雪や積もった雪で一階や玄関が埋まらないようにするための工夫です。
○道路の雪をとかす消雪パイプ
昔は除雪をしても雪の捨て場がなく、道路に雪を積み上げていたため、通れなくなっていました。昭和30年代の初めに「消雪パイプ」が登場し、地下水をポンプで汲み上げ、道路に流して雪をとかすことができるようになってからは、冬でも車が通れるようになりました。
雪国の暮らしは不便なこともありますが、新潟ではこのように昔から雪をうまく利用して、雪とともに暮らしてきました。