栃尾の伝統を今に伝える「栃尾あぶらげ」事始
秋葉神社の参詣土産に
栃尾のあぶらげの起源には諸説ありますが、今から250年ほど前に、当時の豆腐屋・林蔵が秋葉三尺坊大権現の別当常安寺住職から、「参詣者の土産物を考案してほしい」と頼まれたのがきっかけだったと言われています。火伏せの神様として広く信仰されていた秋葉神社は、県内はもとより、全国から参詣者が訪れていました。依頼を受けた林蔵は江戸で修行を積み直し、栃尾の良質な大豆と名水を生かした、独自のあぶらげを創り出したと伝えられています。林蔵のあぶらげは後に低温・高温の二つの揚げ油を使うなどの工夫が加えられ、やがて秋葉神社の土産物として定着していきました。
馬喰たちの豪快な手打ち
そのほか、栃尾の馬市から生まれたという説もあります。江戸時代、栃尾では盛大な馬の競り市が開かれていました。開催日が秋葉神社の例大祭と重なることもあり、多くの人出で賑わったようです。このとき、馬の仲買いをする馬喰(ばくろう)たちが売買成立の証文代わりに酒を酌み交わし、その酒の肴に食べたのがあぶらげだったと言われています。高価な馬の売買をする馬喰たちは、あぶらげを手づかみで食べたらしく、そんな彼らの豪快さに合わせて、あぶらげも徐々に大きくなっていったようです。現在では、秋葉神社の土産物として始まり、それが馬喰たちの酒の肴にもなったという説が有力視されています。贅沢品だったあぶらげを手づかみで食べる姿は、華やかな祭りにふさわしい光景だったことでしょう。
出典:長岡市栃尾支所商工観光課
提供元:長岡市栃尾支所商工観光課
画像提供元:長岡市栃尾支所商工観光課