新潟の地域文化を紡ぎ繋げる 新潟文化物語

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file-99 おふだにねがいを(前編)

  

おふだの変遷~最古のおふだから現代まで~


 古来、人は神さまの力が宿ったものを身近に置くことで、災害や危険から身を守ることができると信じてきました。様々なおふだとそれにまつわるお話を紹介します。

おふだは神様の分身

神宮大麻

神宮大麻
日本の総氏神・伊勢神宮のおふだ

白山大神

白山大麻
新潟の地域の守り神。氏神さまのおふだ

黄龍大麻

黄龍大麻(おうりゅうたいま)
災難除け、八方除け、方除けの神さまのおふだ

黄龍大権現

黄龍大権現

 新潟総鎮守として多くの人に親しまれている白山神社。毎年お正月には17万人以上の人が初詣に訪れます。「おふだは神さまの分身です」と禰宜(ねぎ)の小林慶直さん。「家や会社にはおふだをおまつりする神棚があります。神棚は、家や会社が安全で悪いことが起こらないように守ってくれる守り神さまなのですが、その中にお入れするおふだは、神さまの分身と言われるくらい有り難いものなのです」と教えてくださいました。

 和紙に様々な「神」の字が書かれている神社のおふだですが、いったいどんな違いがあるのでしょう。「おふだにはそれぞれ意味があり、白山神社では境内にある3つの神社のおふだも合わせて7種類のおふだをお守り所でお渡ししています。なかでも全国の神社でお渡ししている『神宮大麻(じんぐうたいま)』という伊勢神宮のおふだが最も多く求められています」と小林さん。新潟県は神社の数が全国で一番多い県ですが、神宮大麻を求める方の数は東京、北海道などに続き全国で5番目に多いということです。人口の割合で考えると非常に高いことがわかります。神宮大麻は平安時代の末期に配布された「御祓大麻(おはらいたいま)」が起源と言われ、おふだは版木を使って版画のように刷られていました。印刷技術が進歩した現代でも一枚一枚押印しているそうです。押印したおふだは、宮司が祝詞(のりと)を上げてお祓いをした後に私たちに渡されます。2017(平成29)年は白山が開山して1300年の年。白山神社では版木で作ったおふだの復刻を計画しているそうです。

新潟ならではのおふだ

 地域や発行される所によって様々なおふだがあります。どういうおふだがあるのでしょう。虫除け(大里一宮神社・南魚沼市)や鼠除け(八海山尊神社・南魚沼市)など米どころならではのおふだが現在も発行されています。また佐渡市や阿賀町では、災厄の侵入を防ぐために特定の日に集落の入り口などに草履やわら人形と一緒におふだを設置しています。上越市の猿供養寺にある地すべり資料館に隣接する人柱供養堂では、すべり止めのお札が授けられ受験生に人気だそうです。
八海山尊神社のおふだ(個人蔵)

八海山尊神社のおふだ(個人蔵)

佐渡市大倉谷の大草鞋(新潟県立歴史博物館蔵)

佐渡市大倉谷の大草鞋(新潟県立歴史博物館蔵)
160cmもあるジャンボサイズ

約1200年前の「蘇民将来符(そみんしょうらいふ)」を見に行こう!

三国さん

「おふだには惹かれるものが数多くあります」と語る三国さん

 新潟県立歴史博物館では、企画展「おふだにねがいを―呪符―」が4月23日(土)から始まりました。主任研究員の三国信一さん(民俗学)に企画展の見どころと新潟のおふだについてお話をうかがいました。

 「今回の企画展では『蘇民将来符』というおふだを大きく取り上げています。奈良時代に編纂された備後国風土記(びんごのくにふどき)には、神様が旅人として蘇民将来という兄弟に宿を求めに来たところ、それを断った方は後にその家族もろとも滅ぼされ、受け入れた方は『今後、疫病があっても蘇民将来の子孫といって茅の輪を腰につければ、難を逃れる』と言われたという物語が載せられています。このように蘇民将来符とはもともと疫病を避け災いを避けるおふだでしたが、中には時代の変遷とともに五穀豊穣や家内安全といった一般的なご利益を願うおふだに変わっていったものもあります。現存する最古の蘇民将来のおふだは長岡京跡で発掘された1200年前のものです。新潟県にも遺跡で発掘された蘇民将来符(木簡)が多くあります。現代の蘇民将来符も展示しますので、比較しながら見ていくとおもしろいと思います」と三国さんは言います。
蘇民将来のおふだ

蘇民将来のおふだ

信濃国分寺の蘇民将来符

信濃国分寺の蘇民将来符
企画展中は会場でビデオ映像を放映します

 

おふだの書き方が記された秘書(個人蔵)

おふだの書き方が記された秘書(個人蔵)

版木(個人蔵)

おふだはもともと手で書いたり、版木で刷ったりして作られていたそうです。胎内市の指定文化財にもなっている版木(個人蔵)も展示されます。

 遠い神話の世界に感じられたおふだの話も、近世に入ると次第に身近に感じられます。「もともとおふだは限られた宗教者のものだったと考えられます。これがだんだん時代を下って、江戸時代になると宗教者たちが、いろいろな相談にのってまじないやおふだを発行するようになりました」と三国さん。一般の人たちがおふだの書き方を見ながら自分で作る動きもあったそうです。今回の企画展では、これに関連して国立歴史民俗博物館 教授の小池淳一氏の講演会が5月22日(日)に開催され、まじないと文字文化についてのお話がうかがえるとのことです。

 企画展「おふだにねがいを―呪符―」は、おふだの歴史や、今まで生きてきた人々が不安や災いにどう折り合いをつけて暮らしてきたかを見直すことで、これからの暮らしのヒントを見つけられないかなという意図で企画されました。小さな絵馬やおふだでストラップを完成させる体験コーナー(予約不要・土日のみ)や新潟の昔話「さんまいのおふだ」のスライドショーも用意され、お子さまにも興味をもっていただける展示会になっています。 長い間人々に寄り添い、人々が願いを託してきたおふだの歴史にふれてみてはいかがでしょうか。

 後編では、より身近なところにあるおふだのエピソードをクローズアップします。

 

おふだにねがいを―呪符(じゅふ)―
開催期間 2016年4月23日(土)~6月5日(日)
開催場所 新潟県立歴史博物館(長岡市)
開館時間 9時30分~17時(入場は16時30分)
休館日 毎週月曜日(5月2日は開館)
観覧料 一般720円(570円)、高校・大学生500円(400円)、中学生以下無料
    ※(  )は20名様以上の団体料金
URL http://nbz.or.jp/?p=12003

■ 取材協力
新潟総鎮守 白山神社
新潟県立歴史博物館

■ 参考資料
展示図録『おふだにねがいを―呪符―』新潟県立歴史博物館



後編 → 文字を使ったおまじない・おふだに願いを(後編)
『誰かの「勇気」や「本気」を後押しする、大切な一枚。』

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