新潟の地域文化を紡ぎ繋げる 新潟文化物語

特集

  1. 新潟文化物語HOME>>
  2. 特集>>
  3. file-104 味わう!新潟のクラフトビール(後編)

file-104 味わう!新潟のクラフトビール(後編)

 

クラフトビールとの出会いの場が増加中!


 新潟のクラフトビールブームは、醸造家だけでなく、彼らのポリシーやこだわりに共感し、多くの人に届けたいと行動を起こした提供者の存在なくしては語れません。クラフトビールが飲める専門店やビールイベントを立ち上げ、ブームを盛り上げる仕掛け人たち。その取り組みに迫ります。

仕掛け人の行動力

ビールを味わい、料理とともに楽しむ

島田さん

「ビアバーなんですが、意外にも顧客層は女性が多め」と島田さん/クラフトビアバーSBR

 新潟市古町でダイニングバー「ROCK SUN」を経営する島田達也さん。10年ほど前にクラフトビールの提供を始めました。最初、地ビールを「観光地のお土産ビール」くらいに考えていた島田さんの価値観を変えたのは、オレンジの香りを持つクラフトビール「湘南ゴールド」との出会い。「アロマと飲んだ後のフレーバーが、それまで知っていたビールとは大きく異なり、驚いた。ハッとしました。」すぐに、神奈川県の醸造所を訪ねて、取り扱いをスタートしました。「ビールがあまり好きではない人に、『絶対に新しい楽しみが増える』と提案できる。それほどのビールです。」と言い切ります。
 今も一番のおすすめはこの醸造所のビールです。季節に合わせて、オレンジや焼きリンゴ、チョコレートなどのフレーバービールを仕入れます。「季節を感じつつも、ビール本来の良さを残しているから、味が安定している。多様性と安定性の両面を持ち合わせていることが、大きな魅力です。」

 

注がれたビール

「華やかな香りと色、惚れ込んでいる湘南ビールです」/クラフトビアバーSBR

 もうひとつ、飲み方のおすすめは、料理と一緒にビールを楽しむこと。
 「クラフトビールは味わいが濃いから、料理に負けない。旬の野菜や魚の料理と合うんですよ。好相性の料理を提案して、ビールの楽しみ方の幅を広げたい。もっと若者や女性層にアプローチしていきたいですね。」
 そのために、島田さんは、ビールの知識とテイスティング力を持つ「ビアテイスター」と、ビールと料理の組み合わせを指導・アドバイスする「ビアコーディネーター」の2つの資格を取得。バーテンダーならではの一歩先の味わい方を示したいと思っているそうです。

 島田さんに何度もそのクラフトビールを勧め、魅力に気づかせたのは、新潟市の清水酒店店主・清水勇太郎さんです。「飲み手と作り手をつなぐ会やイベントを企画したり、新しい酒の飲み方を提案したり、いろいろチャレンジする人。クラフトビールブームの黒幕的な存在だと、僕は思っています。」と、島田さん。
 「黒幕なんて、そんな」と、清水さんは笑います。実家の酒屋を継ぐために東京から新潟に戻ってきたとき、「新潟の地酒や地ビールを調べていて、スワンレイクビールを知って驚いたんです。」まず、そのおいしさに。次に世界の評価の高さに。「それなのに、地元の新潟では知られていない。このギャップは何なんだと。」これがきっかけで清水さんはクラフトビールに注目。おいしいビールを探し出してはSNSでの発信や飲食店・販売店への提案を続け、ブーム再燃化の土壌を作っていきました。

8000人が集まるイベントを作り上げた

 春に「新潟酒の陣」があるなら、夏はビールだ――平成24年(2012)夏、新潟に新しい酒イベントが生まれました。それが「第1回新潟クラフトビールの陣」です。

 

スモーク 板場さん

「ベルギービールがきっかけでクラフトビールにはまりました」と板場さん/スモークカフェ

 実行委員長は、経営するビアレストラン「SMOKE CAFÉ」や居酒屋「跳ぶが如く」にいち早くクラフトビールを仕入れ、クラフトビールの飲み放題プランを提案するなど、普及を熱心に進めていた板場和幸さん。他地域のビールイベントに刺激され、より多くの人にクラフトビールを知ってほしいという思いから企画しました。公的な支援は受けず、クラフトビールを提供する店の仲間たち(島田さんや清水さんももちろん参加)と一から手作り。醸造所を回って趣旨を説明し、参加を依頼。当時、県内にあった15の醸造所すべてがビールを出店してくれました。ここから、新潟の第二次クラフトビールブームは加速します。
 2回目からは県外からの醸造所も参加。集客も増えました。そして、平成28年(2016)開催の第5回には、北海道から九州まで25の醸造所と、15のフードブースが出店し、2日間で8000人がクラフトビールを堪能しました。

 

注がれたビール
注がれたビール

第5回新潟クラフトビールの陣

 「このイベントでは、味も色も香りも異なる、いろいろなビールの中から好みのものを選んで、飲み比べもでき、醸造所の人と触れあえる。つまり、クラフトビールの魅力全部が味わえるんです。」と、板場さん。
 また、平成27年(2015)には、新潟市2カ所にクラフトビール専門店をオープン。40種類以上の国内外クラフトビールを取りそろえ、いつでも手軽に飲み比べを楽しめる環境を提供しています。

 

スモーク ビン・缶

「今は、苦くて濃厚なインディア・ペールエールが人気ですね」と島田さん/スモークカフェ

 最初の目的、クラフトビールを多くの人に知ってもらう、ということは達成できたのでは、と伺うと、「まだまだですよ。新しいアプローチを考えています。」と返事が返ってきました。
 「実は、ビール醸造免許を取ろうと準備中です。新潟市の中心部で、たとえば地域のお祭ビールとか、記念日のビールとか、地域に超密着したビールを造るために。地域の人にはクラフトビールをもっと身近に感じてほしいし、また、当社の社員のクラフトビールの知識を向上させたい。だから、造るんです。」と、楽しそうに話します。
 沼垂ビールの高野さんも、「ビールは醸造所の煙突が見える範囲で飲め」というドイツのことわざを引いて、「おらがビール」こそ本来のクラフトビールの姿だと語っています。街の中の小さな醸造所での、地域と一体になったビール造り。クラフトビールの原点の姿がここにあります。

 クラフトビールにこうあるべきというルールはありません。「新しい発想による、個性的なビールを世界へ」も、「その時、そこでしか飲めないビール」も、どちらもクラフトビールの魅力です。この柔軟性があるから、クラフトビールはおもしろい――広がるクラフトビールの世界を楽しんでみてはいかがでしょう。

 

投稿はこちらから

  • イベントを投稿する
  • 地域文化データベースに投稿する
  • 投稿の仕方(PDF)
Copyright© Niigata Prefectural Government. All Rights Reserve