県内のお祭りや地域文化をご紹介する「新潟・文化体験リポート」。
第3回は三条市にある「三条鍛冶道場」の体験リポートです。
金属産業の盛んな町として知られる三条。その歴史は古く、製鉄・鍛冶の始まりは約800年前の鎌倉時代とされています。三条市の下田地区にある大林遺跡からは、鍛冶炉の一部や羽口(はぐち=炉に風を送るフイゴの吹き出し口)が見つかり、承元4年(1210)頃には、すでに大規模な製鉄が行われていたことが分かっています。羽口の形状が当時鉄の一大生産地であった出雲の鍛冶炉と似ていることから、三条と出雲に技術の交流があったともいわれます。
また、西大崎の下町遺跡からは鉄鍋の鋳型や生活用品が大量に見つかり、室町時代を中心に「大崎鋳物師(いもじ)」と呼ばれる鋳造を行う職人集団が住み着き、活躍していたことが分かりました。その技術力は非常に高く、三条市井栗の藤ノ木遺跡から発掘された鉄鍋は厚さ約2ミリと、当時としては大変精巧に作られたものです。下町遺跡からは鍛冶工房こそ見つからなかったものの、フイゴや鍛冶炉の破片などがあったことから、近隣で鍛治も行われていたと考えられます。
今回、体験でうかがった「三条鍛冶道場」の館長・長谷川さんによれば、「三条は気候や環境が製鉄、鍛冶に適した地です。縄文時代からのものづくりへのこだわりも、三条の鍛冶技術につながっているかもしれません」とのこと。鍛冶はヨーロッパを含めて寒い地方で発展する傾向があるそうで、新潟県の気温が低く、日照時間の短い気候が適していたそうです。また、三条市を流れる五十嵐川からは砂鉄が採れ、下田地区などでは木炭づくりのほか磁鉄鉱(じてっこう)が採れ、光明山からは砥石(といし)が採れたことから、鉄や製品を造る材料にも恵まれていました。
また、三条市長野地区の旧石器時代(約13,000年前)の中土遺跡からは、頁岩(けつがん)を利用した替え刃式の石器も発見されています。古くからのものづくりに対するこだわりが感じられますね。
今回ご紹介するのは、江戸時代に多くの需要があった和釘の製作体験です。和釘とは伝統的な鍛冶作業によってつくられる断面が四角い釘です。当時、寺社仏閣や家屋の建築をはじめ、火災や災害時などにもたくさんの和釘が必要になったことから、三条でも盛んに和釘がつくられました。寛永年間(1624~1645)には、江戸方面向けに大量に和釘をつくり、特産品となりました。その伝統は現代にも受け継がれ、2013年に行われた伊勢神宮の式年遷宮の際にも、三条から和釘が20万本納品されたそうです。
「三条鍛冶道場」では、この和釘づくりを職人さんの指導のもとで体験できます。それでは写真にて現地体験リポートをご紹介します。
いかがでしたでしょうか。三条鍛冶の歴史を感じられる和釘の製作体験。開館時間内であれば予約無しでも体験できるので、ぜひおでかけください。連絡先や料金、アクセスなど、詳しくは三条鍛冶道場の公式ホームページ(下記リンク参照)をご覧ください。
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開館時間:9時~17時 休館日:月曜(祝日の場合は翌日)、12/29~1/3
それでは動画でも和釘製作体験をご覧ください。