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「豪雪の里山暮らし」の伝統文化を体験「豪雪の里山暮らし」の伝統文化を体験

記録的な暖冬となっている2020年、豪雪地域と呼ばれる十日町市松之山でも、体験取材当時の積雪は20cmほど。例年2~3m近くの雪が降る豪雪地域の姿は鳴りを潜め、白と茶色が混じった初春のような景色の中、十日町市松之山三省地区の「三省ハウス」を中心とした場所で、小正月に行われる行事や里山暮らしの伝統文化を体験しました。

ここが豪雪地域?記録的な暖冬で、冬景色にはちょっと物足りない初春のような風景。

冬の体験プログラム(1泊2日)の参加者は、関東方面のファミリーを中心に、シニアの二人組や個人、ベトナムからの留学生など、約20名が「三省ハウス」に集合。

1989年に閉校した三省小学校は集落の丘の上に立つ築50年余りの木造校舎。三省ハウスはこの小学校を2006年に改築し、新たな歴史を刻み始めた体験交流施設です。

まずは、昔ながらの臼と杵を使った「お餅つき」が行われました。
「ヨイショ!ヨイショ!」の掛け声とともに、地元の人が手際よくついていきます。
プログラムに参加した子どもたちも加わり、餅つきを体験します。

蒸した餅米を少しずつ杵で練るように均し、餅状になってきたらテンポよく力を入れて突きあげます。

杵を持って餅つき体験。出来上がりまではもう少しかな。

餅米の粒感がなくなり、餅全体がなめらかになってきたら完成です。

餅にコシを出すためのひと手間。このこだわりで美味しい餅に仕上がります。

山菜がたっぷり入った雑煮と、あんこ餅、きなこ餅。地元で収穫されたお米で作られたごま塩と青のりのおにぎり、なますとお漬物は食べ放題です。 お餅のもちもちとしたコシのある食感は、つきたてならではの格別な味わいです。

お餅でお腹がいっぱいになった後は、雪遊びです。
少雪ながらも、施設の体育館の裏と校庭には雪があり、子どもたちは思い思いに、大人も童心に帰り雪遊びを始めました。

快感!家族で楽しむソリ遊び。

とりあえず掘ってみる。かまくらづくりを始めたようです。

子どもたちは冬の寒さにも負けず、雪を遊びの道具に変えます。

雪だるまづくりに挑戦。表情豊かに出来ました。

十日町地域に伝わる「チンコロ」づくり体験です。
チンコロは、十日町地域に伝わる米粉を原料にして作った細工物で、干支にちなんだものが多く作られています。かつては福を招く縁起物として飾られたり、囲炉裏で焼いて食べられていました。
今は飾り物として作られ、細工物にヒビが入るほど縁起が良いとされています。

参加者の大半が初めての体験。説明を真剣に聞いて作業に取り掛かります。

見本を見ながら、細かい作業に悪戦苦闘です。

だんだん、完成に近づいていきます。

できあがったチンコロは一旦蒸します。あら熱をとったら完成です。

餅花は日本各地に伝わる伝統的な飾り物で、柳の木の枝に、食紅などで色付けされた色とりどりの餅や団子を小さく丸めてつけます。

冬の寒々しい空間を華やかに彩ってくれます。

鳥追いは、地域毎に小正月(1月14日・15日)に行われる行事です。田畑の作物を鳥の被害から守り、五穀豊穣を祈願する伝統行事で、地域の子どもたちが中心となって行われますが、近年は地域の人口減少や、担い手不足から実施されない地域もでてきています。
地域外の人が伝統文化の体験を通して、地域の人と一緒に継承していく姿に変えている地域もでてきています。
※五穀とはこの地域では「米、麦、稗(ひえ)、粟(あわ)、稷(きび)」の穀物をさします。

鳥追いの歌の練習。難しそうな言葉と素朴なメロディーが頭の中でループします。

子どもたちは、「すげぼうし」と呼ばれるかぶり物を身に着け、昔ながらの「藁沓(わらぐつ)」を履いた格好になります。
そして、提灯を持って、拍子木に合わせながら「あーわんどりぃ、へんどりぃ、てんじくまでたちあがれぇ、ほーい、ほいっ」と鳥追いの歌を歌いながら地域を回ります。
※鳥追いの歌は地域によって異なります。

見たこともない道具に興味津々。不安と笑顔が交差します。

提灯を持って出発。大人の拍子木に合わせて、子どもたちは鳥追いの歌を歌いながら家々を回ります。

日本の田舎版「ハロウィーン」といった感じでしょうか。地域の人は子どもたちを玄関で出迎え、お菓子などを差し上げます。
今回は地域の7軒を訪問し、伝統文化を体験、そして継承されました。

子どもたちは恥ずかしさもあって緊張した様子でしたが、最後までやり遂げました。

一緒に回ってみて感じたことは「自然に対する敬意」と「地域の和と絆」です。
五穀豊穣を祈願する伝統行事ではあるが、地域のコミュニティーを確認しながら、地域の風土を体感していく場でもあり、この自然の中で我々は暮らし、その恩恵を受けて生活しているのだと感じることができました。

幻想的な明かりで子どもたちを出迎えてくれました。

お待ちかね!「雪見御膳」の晩ご飯です。昔からこの地域で代々使われてきた本物の漆塗りの御膳セットで、地元のお母さんたちが作った郷土料理をいただきます。

地元のお母さんたちは笑顔も素敵です。

朱色が鮮やかな漆塗りのお膳セットと雪見御膳の献立表。代々使われてきた伝統の重みと様式美を感じることができる。

地域で採れた山菜や野菜、作物をふんだんに使った料理は、冬の保存食としての役割もあり、豪雪の里山暮らしには欠かせないしょっぱい味付けが主流。その味付けが体に染み込み、ほっこりとした満足感がお腹を満たしてくれます。
東京から参加した方も、この「雪見御膳」や地域の人達との交流を楽しみにしていたとのこと。
盛り皿の料理は、食べ放題。地元のお母さんたちやスタッフの方がお替りを持ってきてくれ、食べきれないくらいのおもてなしをしてくれます。

様々な郷土料理で食べきれないほどのおもてなし。

参加者や地域の皆さんとの交流で、和やかな時間を過ごしました。

子どもたちは、早々と鳥追いでもらったお菓子をみんなで分けています。

1日目の最後は、近くの温泉施設で一日の疲れを癒やしました。
ここ松之山温泉は、開湯約700年の歴史があり、美肌効果と薬湯効果を併せ持ち、薬効の高さから有馬、草津と並び日本三大薬湯と呼ばれています。

2日目、朝食をいただいた後、どんど焼きに参加しました。
まず、宮司が祝詞を上げ、地域の区長、年男年女、厄年の人が玉串を捧げます。
そして、塞の神(竹や藁(わら)で組んだやぐら)に、神社のしめ縄や家庭の正月飾り、書き初めなどを組み込み、お焚き上げを行います。書き初めは燃え上がり上へ上へと舞い上がれば、字がうまくなる、学力が向上すると言われています。また、塞の神のまわりでは「スルメ」や「餅花」を焼いている姿が見られ、それを食べると1年間風邪を引かないとも言われています。
地域の皆様の健康長寿・無病息災、そして五穀豊穣を願い、地域の和、絆を深めます。

集落の方々と記念撮影後、お焚き上げが始まりました。多くの人が参加していくことで伝統文化が守られています。

竹が燃え上がると、勢いよく「ポン、ポーン!」と爆発音が響き渡ります。
爆竹の名前の由来は、この爆発音からくるものだと実感します。

燃え上がる塞の神。地域の皆様の無病息災、五穀豊穣を祈願します。

甘酒や漬物、塞の神で焼いたスルメや餅花、手製の竹筒でお燗されたお神酒などが振る舞われます。

三省ハウスに戻り、昨日作成したチンコロを各々が受けとりました。壊れないよう、手作りの入れ物袋が用意されていました。

個性豊かなチンコロたち。

豪雪地域に住む人達の暮らしの知恵や伝統文化を知り、様々な体験をすることで、地域の担い手不足や、人口減少、様々な問題を自分事として感じられました。
また、途絶えてしまう地域文化の継承を、県外からの参加者を募り体験してもらう事で、地域文化が継承されていることも実感できました。
そして、時間の感覚がゆったりと流れている田舎で、都会から参加された皆さんは、生活のリズムや時間の概念をリセットでき、ストレスなどが解消できたのではないでしょうか。
みなさんも年に一度くらい、自分の住む地域以外の文化や伝統に触れ、心の余裕を拡げる機会を作ってみてはいかかでしょうか。

わらぐつ、杵と臼、餅花。

掲載日:2020年2月21日(金)

関連リンク

越後妻有 大地の芸術祭の里/NPO法人越後妻有里山協働機構事務局
新潟県十日町市本町6 越後妻有里山現代美術館[キナーレ]内
電話 025-761-7767

越後松之山体験交流施設 三省ハウス
新潟県十日町市松之山小谷327
電話 025-596-3854

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