第48回 「佐渡國鬼太鼓どっとこむ」を体験!

 
 芸能の宝庫と言われる佐渡。鬼太鼓(おんでこ)や佐渡おけさ、能楽、花笠踊(はながさおどり)などをはじめ、佐渡には驚くほどたくさんの芸能があります。

 そして、昔から各地域で大切に守られている芸能が多い佐渡では、生まれたときから伝統芸能に親しんでいるこどもたちが多いといいます。

 毎年5月に行われる「佐渡國鬼太鼓どっとこむ」は、島内各地の鬼太鼓をはじめ、佐渡の伝統芸能が一堂に集まる大イベント。島内それぞれの地域で、人々が磨き上げた芸能を見ることができるこのイベントには、こどもたちも多く参加しています。
 佐渡の芸能を受け継ぐこどもたちに会いたくて、「佐渡國鬼太鼓どっとこむ」に行って来ました。


 会場は、両津港のすぐ近くにあるみなと中央公園・おんでこドーム。「佐渡國鬼太鼓どっとこむ」では毎年島内各地から20以上の団体500人もの演者が集まり、毎年1万人以上の来場者があるといいます。

大きなドームの中のステージ前。両脇には佐渡のおいしいものをそろえた屋台もずらりと並び、飲食をしながら芸能を楽しむ人たちもたくさんいました。

 

 ステージはドームの中と、青空の下の芝生の広場の2つ。それ以外の場所でもあちこちで演奏や練習をしているため、どこにいてもすぐ目の前で演奏を見ることができます。
 鬼太鼓は佐渡を代表する伝統芸能ですが、島内でも地域によって少しずつ違い、同じものはないといいます。鬼太鼓は各地域の神事のため、観光客はあまり見ることができませんが、それぞれの地域の鬼太鼓を、一度に見られるのはこのイベントの大きな魅力。そして大人たちと一緒に、自分の地域の衣装を着たこどもたちが堂々と楽しそうに演奏をする姿にも驚きます。

こどもたちも自分の生まれ育った地域の団体の衣装を着ています。

立ち止まると、演奏を披露してくれたこどもたち。そのうまさにびっくり!

どの子もみんな真剣。小学校低学年から練習をはじめ、成長するにつれて笛や太鼓なども練習するのだそう。

カメラを向けるとみんな誇らしげにポーズを取ってくれます。

 「佐渡國鬼太鼓どっとこむ」では、鬼太鼓の他にも、こどもたちによる様々な芸能を見ることができます。例えば小学生から高校生の女の子だけの樽(たる)ばやし集団「住吉うしお樽ばやし」や、全国的にも有名な県立羽茂高校の郷土芸能部が登場すると、急に観客が増えて、驚くほど盛り上がります。

住吉地区に住む小学生から高校生までの女の子だけの樽ばやし集団「住吉うしお樽ばやし」。高校を卒業すると後ろの白い法被の「姐樽(あねたる)」として活動するそうです。

平成28年(2016)に全国高校総合文化祭で最優秀賞を受賞するなど、全国的にも有名な県立羽茂高校の郷土芸能部。佐渡民謡の魅力を全国へ、そして未来へ伝える活動をしています。佐渡おけさや花笠踊り、民謡など、高校生とは思えない実力で、演奏が始まるとその歌声に吸い寄せられるように、観客席があっという間に満席に!

 伝統芸能とこどもたち。普通ならあまり結びつかないように思いますが、こどもたちに話を聞くと、小さな頃から年上の人たちを見て、「かっこいいから自分もやってみたい」「あんなふうに踊れるようになりたい」と思ったのだそうです。

衣装や面を直してくれるのは集落の大人たち。郷土芸能を通して地域でこどもを育てているのが伝わってきます。

 どうして佐渡が芸能の宝庫と言われるのか、芸能に親しむこどもがこんなにたくさんいるのか。年に一度、佐渡の芸能が一堂に会するこのイベントに一度でも足を運ぶと、その理由が少し分かるかもしれません。

取材協力/佐渡國鬼太鼓どっとこむ事務局
https://www.sadokoku-ondeko.com

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