越後の三角ダルマは、その独特の形から全国のダルマ玩具の中でも異色の存在だ。かつては高田、柏崎、見附今町など各地で作られていたらしい。「三角のオキアガリコボシというのは、180年くらい前からあったんですよ。それを先代が今の三角ダルマの姿にしたんです。」
制作しているのは阿賀野市山口にある今井家、通称「鳩屋」。現在、7代目伝三氏が当主である。初代今井伝十郎が人形作りを始めたのは、文化年間(1806)という。山口人形は京都伏見人形の流れを汲む土人形で、粘土で型を作って丸一日焼き、漆を混ぜた絵の具を塗ったもの。時代の流れにつれ色彩に工夫がこらされ、素朴な中にも郷土色の濃い芸術作品として、生まれ変わってきた。
6代目徳四郎のとき、戦争などの理由で製作が中断されたが、昭和31年に地元水原町(当時)の力強い支援を受けて、製作を再開。三角ダルマの名が天下に響くこととなった。「ひょうきんな表情が魅力でね。縁起物だから、結婚式や出産の祝につきものだった。こういうおもちゃ、今は少なくなってきたね」。伝三氏は父の意思を継ぎ、退職した12、3年程前から手伝い始めたという。現在、8代目の和博氏が後継者として修行中だ。
郷土玩具は土地土地の生活風俗や、祖先の願いを反映して作られてきたもの。三角ダルマも味わいのある玩具として、水原の人々に愛され、育てられてきた。その表情を見ていると、手作りの愛情が伝わってきそうだ。
出典:『阿賀野市ホームページ』
提供元:阿賀野市 商工観光課