密蔵院(みつぞういん)

「ここは照明寺という真言宗の寺で、寺泊では屈指の大寺である。旧道から切通しになっている坂を入ってゆくと左手に照明寺の石段登り口がある。良寛は生涯のうち三度ほどここに移り住んだとつたえられる(中略)密蔵院はその境内の高台にある」
(水上勉著「良寛を歩く」より)
諸国放浪を終えた良寛が、漂然と越後に帰った最初の宿は郷本の空庵でしたが、半年ぐらいでやがて行方を絶ってしまいました。そして再び寺泊に帰ってきて、仮住いしたのがこの密蔵院です。
密蔵院は、平屋建ての小さな庵でいかにも簡素至極な風情をたたえて、眼下に海を望む高台にひっそりとした佇まいをみせています。茶室風の部屋とゆかりの軸物などがあり、良寛はここに住んで托鉢に出たり、掃除をしたりして悠々自適の生活をおくっていたようです。そして、ここが気に入ったとみえて、多くの詩歌をのこされています。

おほとのの はやしのもとをきよめつつ
きのふも けふも くらしつるかも

これは、境内の歌碑に彫られており、良寛がこよなくここを愛して「大殿の森の下庵夜あくれば 鴉鳴くなり朝清めせむ」とも詠んで、いつも庭をはききよめて日々を送っていた様子がしのばれます。
良寛の寺泊での逸話は多く知られていますが、なかでも良寛が托鉢の最中、遊女に呼びとめられて、おはじき遊びに興じたり、お金を貸していた男から借金の催促をされ、良寛はしかたなしにちびた筆で歌を書いて借金を帳消しにしてもらったなど、人間良寛の寺泊での暮しぶりがほのぼのと伝わってくるようです。

出典:長岡市寺泊支所地域振興・市民生活課
提供元:長岡市寺泊支所地域振興・市民生活課
画像提供元:長岡市寺泊支所地域振興・市民生活課

所在地

長岡市寺泊片町

詳しくはこちら

アクセスマップ

投稿者: 新潟県文化課
掲載日時: 2015年4月12日 16:42

一覧へ戻る