四十年近い歳月を費やして完成した「北越雪譜」など多くの著作を遺した文人鈴木牧之は、明和七年(一七七〇)一月、塩沢町に生まれました。
牧之の家は、代々ちぢみ仲買いと質屋を稼業としていました。牧之は父親の影響を受け、幼い頃から学問や文芸の道に励み、俳譜、書画もよくしました。
質素倹約を旨として、稼業に精を出し、飢饉救済にも尽力して、鈴木家を塩沢屈指の地位に築き上げました。文筆活動にもたずさわり、その努力の様子を書き綴り、子孫への教訓としたのが「夜職草(よなべぐさ)」です。 また「秋山記行」は秘境の人々の暮らし、習慣などを客観的に記録したもので、民俗学的にも高い評価を得ています。
牧之の交遊は広く、知り合った諸国の儒者、文人、歌人、画家、国学者、僧侶、役者など二百人余りにあがっています。作家の山東京田と弟の京山、十返舎一九、曲亭馬琴、画家の鈴木芙蓉、岡田玉山、谷文晁、狩野梅笑、書家の沢田東江、亀田鵬斎、俳人では村上道彦、芭蕉堂蒼虬、役者では市川団十郎といったそうそうたる顔ぶれです。
出典:
『鈴木牧之記念館パンフレット』
提供元:鈴木牧之記念館
画像提供元:
鈴木牧之記念館