雪用のカンジキは、積雪量・雪質や使用目的によって形態が異なります。積雪の少ない新潟市などの海岸部では、田用と共用できるすだれ編型のカンジキが用いられました。魚沼地方などでは雪踏み用として大型のスカリやゴカリが、小型のカンジキとともに二重にして用いられました。東北北部ではアイヌが使用するカンジキと同種のカンジキが使用され、周辺地域との交流がうかがわれます。山間や堅雪用には爪をつけたり、傾斜地の歩行に便利なように前部を反りかえした形態もあります。
雪用の「カンジキ」の発生については、湿田用の田下駄とも深く関係しています。古いものには簾状や板状の形態があります。後に稲藁などの植物繊維で編んだ桟俵状となり雪踏み用として発達します。一方、輪カンジキも同時期に使われ始めますが、円形が早くから用いられ、より歩行に適する楕円形が後に生まれたと考えられていました。しかし、縄文時代の是川中居遺跡(青森県八戸市)からツル製の楕円形カンジキが出土したことにより再考の必要が出てきました。鉄製の鉄カンジキは、近代登山で使われ始めたアイゼンの発明よりも一足早い江戸時代後期に遡ります。積雪量・雪質や使用目的によってカンジキの形態が異なっています。周辺地域と同種のカンジキの使用には互いの交流・影響が窺われます。
出典:
『新潟県立歴史博物館ホームページ』
提供元:新潟県立歴史博物館