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file-108 進化を続ける、新潟のラーメン文化(後編)

 

新潟5大ラーメンと新たな可能性


 スープや麺や味では大きく異なる新潟5大ラーメンですが、共通点がひとつだけあります。それは、マイナスをプラスにするアイデアです。寒さや出前、立地という課題を克服するアイデアをメニュー考案のフックにして、味に活かし、進化してきた新潟のラーメン。後編では、新潟市と長岡市で、地域にしっかりと根付いた雪国ならではのラーメンを紹介します。そして、これまで登場してこなかった上越地区に注目し、5大ラーメンの次の「6」の可能性についても探っていきます。

雪国ならではの発想力

堀と雪と温泉。観光資源から生まれたラーメン

三吉屋

昭和32年(1957)に屋台からスタートした老舗店/三吉屋

 もともと新潟市は、川湊を中心に栄えてきたみなと町。米や海産物など物資を運搬する船が行き来するための堀は、重要な交通路でした。昭和30年代まで、西堀や東堀はその名前の通り「堀」で、それに沿って、庶民のためのファストフードを提供する屋台が立ち並んでいました。その中で一番多かったのがラーメンです。屋台は店舗のコンロより火力が弱く、長時間の煮込みも難しいという制約があります。そこで、だしを取るのにも時間がかからない方法を模索。豚骨や鶏ガラをベースに、煮干しや昆布、野菜などを加えてうま味を引き出した、透き通るようなしょうゆだしと、ゆで時間の短い極細麺を組み合わせた『あっさり醤油ラーメン』ができあがりました。  

 

三吉屋

丼の底が見える透き通ったスープの上品な味わいが人気/三吉屋

 堀が埋められ、屋台から店舗に場所を変えても、この味は受け継がれています。代表店である新潟市の「三吉屋」では、スープの表面に鶏油を浮かべますが、これは、寒い土地ゆえの工夫。前編で紹介した背脂ラーメンに通じる、スープが冷めないための店主のアイデアです。「東京などでは見られない、雪国ならではの傾向です」と、新潟のラーメン事情に詳しい「月刊新潟WEEK!」の片山貴宏編集長が教えてくれました。  

 

青島食堂

しょうゆだれと豚骨の濃厚スープが特徴/青島食堂

青島食堂

大量のショウガを加えることですっきりした味わいに/青島食堂

 降雪量で新潟市をしのぐ長岡市で生まれたのは、『ショウガ醤油ラーメン』です。元祖店の「青島食堂」は、昭和43年(1968)に、濃厚な豚骨のだしに大量のショウガを加え、スープの色が濃い、見た目とは異なるすっきりとした味わいのスープを作り出しました。アクセントとして加えたショウガは、おいしさや香りを高めるだけでなく、身体を芯から温めてくれると評判となり、新潟市にも支店をオープン。平成21年(2009)には、東京・秋葉原に出店し、連日行列ができるほどの人気店として東京のラーメンファンを喜ばせています。  

 

こまどり

割りスープを加えて好みの味に変える食べ方を考案/こまどり

こまどり

3種類の味噌を合わせ熟生させた味噌だれが決め手/こまどり

 さて、次は温泉地で生まれたラーメンです。岩室温泉に近い巻町(現・新潟市西蒲区)で、味噌ラーメンを作っていた「こまどり」。〆の一杯にと宿泊客からラーメンの出前が相次ぐ中、「飲んだ後にはちょっとしょっぱい(塩辛い)」という声が。そこで、やかんにだし汁を入れて「割りスープ」として提供したところ、好みの味に調整できると評判になりました。すぐに口コミで噂が広まり、『割りスープ付き濃厚味噌ラーメン』を求めて客が集まるようになったため、平成3年(1991)、駐車場のある広い現店舗に移転しました。
「今でこそ割りスープは、つけ麺でおなじみですが、40年前にしていたというのはすごい。味を変えながら楽しむ“Wテイスト”というスタイルがありますが、もしかしたら日本初かもしれません」と片山さん。  

 

まだまだ奥深い、新潟のご当地ラーメン

 新潟ラーメンの最新動向について、「月刊新潟WEEK!」編集部によると、平成28年(2016)に誕生したラーメン店は約50店。九州・博多系の濃厚豚骨ラーメンの専門店が多いのが特徴です。その理由として片山さんは、「県内の勢いのある人気店がセカンドブランドとして出店していることが大きな要因としてあげられます。新しい味で勝負しようというチャレンジ精神ですね」と、言います。
 この濃厚豚骨ラーメンが、新潟ラーメンの6番目になる可能性について、片山さんは次のように考えています。  

 

オーモリラーメン

豚骨しょうゆとの相性を追求した自家製中太麺も特徴/オーモリラーメン

「新潟のラーメンが全国で注目を集める今、この動きが新潟県以外にも広がっていく可能性も高いと思います。濃厚豚骨ラーメンがいつか大きな柱になるかもしれません。でも、6番目として、私は別のラーメンを想定しているんです。それは上越地区の豚骨しょうゆラーメンです。濃厚かつクリーミーで、独特の香りを持つスープが特徴的です」
 元祖と言われているのが「オーモリラーメン」です。屋台でスタートし、その後、昭和26年(1951)に製麺を始め、自分の店だけでなく、他店へも、またスーパーマーケットなど小売店でも販売し、地元に浸透していったのです。
「以前『カレーラーメン』を見つけ出したような手応えを感じています。元祖店だけでなく、家庭でも作られ、広く深く地域に定着しているんですよ。これまで上越地区にだけご当地ラーメンがないのはおかしいと思っていました。その観点からも注目しています」
 片山さんには、もう一つ広めたいと思っていることがあります。県民の力で、新潟ラーメンの名を全国にとどろかせることです。
「これだけおいしいラーメン店があるんです、他県から人が来たら、自分がおいしいと思うラーメン店に連れて行きましょう。今やラーメンは観光でも有力なコンテンツ。海の幸もいいですが、新潟のラーメン職人渾身の味を実感してもらえば、きっと感動してくれますよ」
 地域に根づいて発展してきた新潟5大ラーメン。誕生の背景と歴史に思いを馳せながら、店主の思いが込められた味を楽しんでみませんか。味わいがぐっと深まることでしょう。  

 

■ 取材協力
片山貴宏さん/株式会社ニューズ・ライン「月刊新潟WEEK!」編集長
三吉屋/新潟市
青島食堂/長岡市
こまどり/新潟市
オーモリラーメン/妙高市

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