第39回【「にいがた秋の文化財一斉公開」特別編】白山公園で150周年スタンプラリーと文化財を楽しむ

 新潟県内で一番古い公園がどこか、皆さんご存知ですか?
もともと、日本の公園は江戸時代に花の名所や社寺の境内などを憩いの場や集いの場として人々に開放したことが始まりとされています。
 日本の公園制度は、明治6年(1873)の「太政官布達第16号」により、政府が府県に対し公園を開設するのにふさわしい候補地の選定を指示したことに始まります。その際に定められた日本で最初の公園は全国で25か所あり、その中の一つが新潟市中央区にある白山公園です。

白山公園150周年の看板がお出迎え

白山公園150周年の看板がお出迎え

晴れていたのでお散歩する方も多かったです

晴れていたのでお散歩する方も多かったです

 今年は「太政官布達第16号」から150年の記念の年。白山公園も開園150周年を迎え、その歴史や魅力を多くの方に楽しんでもらえるように150周年記念イベントが開催されています。
 今回は「白山公園150周年スタンプラリー」に参加してきました。

公園内を探索しているとポイントを見つけることができます

公園内を探索しているとポイントを見つけることができます

白山公園は広いので、ゆっくりじっくり回ってみましょう

白山公園は広いので、ゆっくりじっくり回ってみましょう

 このスタンプラリーは、公園内に設置された8か所のポイントを探して、秋の白山公園を楽しみながら巡ります。スタンプラリーの用紙を公園内の各ポイント台や燕喜館で受け取り、用紙に書かれたヒントを頼りにポイントを探していきます。

各ポイントにスタンプラリー用紙が設置されています

各ポイントにスタンプラリー用紙が設置されています

 何度も訪れている白山公園でしたが、いざポイントを探しに回ってみると、行ったことのない場所や知らないことも多く、なかなか新鮮な気分になりました。

新潟市最古の石燈籠

新潟市最古の石燈籠

青空に緑が映えてきれいな蓮池とラジオ塔

青空に緑が映えてきれいな蓮池とラジオ塔

 白山公園は、もともと隣接する新潟総鎮守白山神社の境内地でした。当時は高い建物などもなかったので、弥彦山や角田山、越後山脈を望む景勝地となっていて、以前から人々の行楽の場として利用されていたようです。
 そして、明治5年(1872)に県令(現在の知事)として着任した楠本正隆(くすもとまさたか)によって公園の造営が開始され、翌年の明治6年(1873)に国内最初の公園の一つとして認可されました。

白山公園を造った楠本正隆像

白山公園を造った楠本正隆像

瓢箪池の奥に位置する滝石組

ひょうたん池の奥に位置する滝石組

 白山公園は、「日本の都市公園100選」にも選ばれていて、池、築山、花木を配した回遊式庭園となっています。

 回遊式庭園の豊かな緑や水のある風景を眺めたり、公園内の各所に設置された多くの石碑や白山公園150周年記念の解説パネルから新潟市や公園の歴史を学びながら、スタンプラリーを楽しむことができます。

白山公園の歴史などがわかりやすくパネルで展示されています

白山公園の歴史などがわかりやすくパネルで展示されています

多くの樹木に囲まれながら、白山公園の歴史に触れて楽しめます

多くの樹木に囲まれながら、白山公園の歴史に触れて楽しめます

白山公園にある多くの石碑を見て回ると新潟市の歴史を学べます

白山公園にある多くの石碑を見て回ると新潟市の歴史を学べます

少し苦戦したものの、全部回ってスタンプをコンプリートしました

少し苦戦したものの、全部回ってスタンプをコンプリートしました

 すべてのスタンプを集めたら、燕喜館(えんきかん)に行きましょう。
公園内にある燕喜館ではスタンプラリーの景品がもらえます。さらに、各ポイントに表示されたキーワードを集めてアンケートに回答すると、抽選で20名様に景品が当たるWチャンスがあります。

白山公園の中にある燕喜館

白山公園の中にある燕喜館

スタンプラリーのWチャンスも燕喜館で応募できます

スタンプラリーのWチャンスも燕喜館で応募できます

 せっかくなので燕喜館も探索してみました。
燕喜館は、明治から昭和にかけて活躍した新潟県の豪商、齋藤喜十郎氏の東堀通7番町にあった邸宅の一部を平成6年2月に移築再建した歴史的建築物で、移築部分は国の登録有形文化財です。

燕喜館は無料で見学ができます

燕喜館は無料で見学ができます

中に入ると趣のある美しい廊下が続いています

中に入ると趣のある美しい廊下が続いています

 齋藤家は新潟三大財閥と称された地方財閥の一つとして代々大地主で酒問屋を営み、明治期には海運業や新潟電燈会社、新潟商業銀行などを興し、新潟市の発展に大きく貢献しました。
 その齋藤家の一部である「燕喜館」では、現在では入手が難しい十間もの長さを持つ桁(けた)や長押(なげし)、非常に珍しい円弧型の地袋の細工やシャンデリア、清水焼の燈籠など、明治時代の建築デザインを生かした風情と文化の香りがする伝統的な建築物を見ることができます。

四十畳の三つの広間からなる奥座敷は圧巻です

四十畳の三つの広間からなる奥座敷は圧巻です

長さ十間の貴重な一本ものの桁丸太

長さ十間の貴重な一本ものの桁丸太

こちらも一本ものの奥座敷の長押

こちらも一本ものの奥座敷の長押

前座敷にも華やかなシャンデリアが飾ってあります

前座敷にも華やかなシャンデリアが飾ってあります

円弧形の地袋はどのように造られたのか、興味津々です

円弧形の地袋はどのように造られたのか、興味津々です

主庭に設置された明治10年(1877)三代目清水六兵衛作の清水焼の燈籠

主庭に設置された明治10年(1877)三代目清水六兵衛作の清水焼の燈籠

 現在は一般公開しているのでどなたでも見学が可能です。貸館(有料)もしており、茶道や華道をはじめとする文化芸能活動を披露・体験する場として多くの方々に利用されています。

 そして、燕喜館のある白山公園は、新潟総鎮守白山神社が鎮座する場所でもあります。
 白山神社には、湊町新潟を象徴する県指定有形民俗文化財「大船絵馬」が拝殿に掛けられています。

 この絵馬は、新潟湊開港前の北前船往来の様子を描き、北前船の運行を取り仕切っていた廻船差配人・市島次郎吉正光氏が請け負った多量の米を生産地から江戸・大坂に輸送する業務の成功を祈願し、感謝して奉納したものです。新潟湊での廻米積み込みの様子や、江戸・大坂で荷を降ろすまでの廻米の海上輸送の始まりと終わりを描いていて、当時の新潟湊と日本海の海運の歴史を知ることができる貴重な絵馬となっています。

水の都新潟を象徴する県指定文化財「大船絵馬」

水の都・新潟市を象徴する県指定文化財「大船絵馬」

 白山公園は、明治初期に造られ、空間構成を大きく変えることなく現在まで維持されており、全国の公園の中でも学術上の価値、鑑賞上の価値が高いと評価され、平成30年(2018)10月に国の名勝に指定されました。その公園内にある国登録有形文化財「燕喜館」と白山神社の「大船絵馬」。白山公園150周年スタンプラリーに参加して、新潟市の歴史や文化に触れてみてはいかがでしょうか。

ぜひスタンプラリーに参加してみてくださいね

ぜひスタンプラリーに参加してみてくださいね

 今回訪れた白山公園や近郊でも文化財の公開を行っています。
 旧齋藤家別邸とも縁のある新潟市古町にある芸妓の街・古町花街(新潟市古町)をテーマに、「花街文化」の魅力をより身近に感じていただける展覧会「第三回 古町花街展」(令和5年(2023)10月29日(日)まで)や、昭和初期に流行したネオ・ゴシック様式の外観や館内階段の造形が見どころの「新潟大学旭町学術資料展示館(旧新潟師範学校記念館)」の公開。そしてこちらの展示館では、県指定文化財「堂の貝塚第6号人骨」も展示しています。
 この機会にぜひ貴重な文化財の数々に触れてみてください。

 「にいがた秋の文化財一斉公開」では、新潟県内にある国や県の指定、選定、登録文化財などバラエティに富んだ多くの文化財を知り、親しんでいただけるよう、各市町村や文化財所有者・管理者等の皆様から御協力いただき、一斉に公開しています。

今回訪れた文化財

白山公園150周年 スタンプラリー
日程:令和5年9月30日(土)~令和5年10月29日(日)
場所:白山公園 〒951-8132 新潟市中央区一番堀通町1番地2
料金:無料
お問い合わせ:新潟市土木部みどりの政策課 電話 025-226-3065

燕喜館
場所:〒951-8132 新潟市中央区一番堀通町1-2 白山公園内
時間:一般見学 9:00~17:00 施設利用 9:00~21:00
参加申込:施設利用のみ要申込(利用日の6か月前から受付) 025-224-6081(燕喜館)
休館日:毎月第1・3月曜日(祝日の場合はその翌日) 12月29日~1月3日
料金:無料(施設利用は有料)
お問い合わせ:燕喜館 電話 025-224-6081

大船絵馬
場所:白山神社 〒951-8132 新潟市中央区一番堀通町1-1
時間:7:00~19:00
休館日:なし
料金:無料
お問い合わせ:白山神社 電話 025-228-2963

 

白山公園近郊の「にいがた秋の文化財一斉公開」対象文化財情報

第三回 古町花街展
日程:令和5年10月1日(日)~令和5年10月29日(日)
時間:9:30~17:00
場所:旧齋藤家別邸 〒951-8104 新潟市中央区西大畑町576
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日休館)
料金:300円
お問い合わせ:旧齋藤家別邸 電話 025-210-8350
古町花街の歴史史料


新潟大学旭町学術資料展示館(旧新潟師範学校記念館)
日程:令和5年10月1日(日)~令和5年10月29日(日)
時間:10:00~12:00、13:00~16:30
場所:新潟大学旭町学術資料展示館 〒951-8122 新潟市中央区旭町通2番町746
休館日:月・火曜日
料金:無料お問い合わせ:新潟大学旭町学術資料展示館 電話 025-227-2260
新潟大学旭町学術資料展示館


県指定文化財「堂の貝塚第6号人骨」公開
上記「新潟大学旭町学術資料展示館(旧新潟師範学校記念館)」と同様
佐渡市堂の貝塚第6号人骨

関連リンク

新潟文化祭2023
「にいがた秋の文化財一斉公開」

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