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海が主役のアウトドアサウナで“ととのえる”

海が主役のアウトドアサウナで“ととのえる”

日本海側初の海水浴場はどこか、みなさんはご存知ですか?
実は、1888(明治21)年に開設された柏崎の海水浴場だといわれています。
そんな歴史がある柏崎市には現在42kmの海岸線に15の海水浴場があり、県内屈指の透明度を誇り、夕映えのスポットとしても知られています。そのうちの1カ所、鯨波海水浴場が新たなマリンアクティビティのスポットとして注目を集めています。

訪れたのは、鯨波海水浴場に2021年に誕生したアウトドアサウナ「サウナ宝来洲(ホライズン)」。砂浜と日本海が目の前に広がる海辺の常設サウナです。

青空に映える「サウナ宝来洲」

青空に映える「サウナ宝来洲」

自分で熱い石に水をかけて蒸気を発生させるセルフロウリュができる薪サウナで、なんとクールダウンは“日本最大の水風呂”日本海です。水風呂が海というのは、国内の常設サウナでは非常に珍しいそう。
「宝来洲は、海が主役のサウナです。このロケーションに合うサウナを追求して設計しました」と教えてくれたのは、宝来洲のオーナーであり、その目の前にある小竹屋旅館を営む杤堀耕一さん。これまでにもシーカヤックやバーべキューなど、柏崎の海を満喫するアクティビティを開発してきた人物です。

オーナーの杤堀耕一さん

オーナーの杤堀耕一さん

「熱の対流がしっかり生まれるように、ベンチの側面には板を貼らず、天井高も蒸気を逃さずに体感できるよう綿密に設計しています」(杤堀さん)

「熱の対流がしっかり生まれるように、ベンチの側面には板を貼らず、天井高も蒸気を逃さずに体感できるよう綿密に設計しています」(杤堀さん)

「海が主役」というように、水風呂だけに留まらずたっぷりと海を堪能できるのが宝来洲の大きな魅力。サウナ室の一段目・二段目どちらのベンチに座っても水平線が見える窓が備わっており、クールダウン後の外気浴も海を眺め潮騒を聞きながら体を休められるという、アウトドアサウナの醍醐味が詰まっています。

海が見えるので、サウナ室の中にも開放感が感じられました。

海が見えるので、サウナ室の中にも開放感が感じられました。

「第三次サウナブーム」といわれるように、サウナは近年人気の高まりを見せています。よく耳にするようになった“ととのう”と表現されるサウナの具体的な効用を教えてもらいました。

「高温のサウナに入って温めた体を水で急激に冷やすことで、広がった血管が一気に収縮し、体内の血流量が変わり、末端にまで血が巡るようになります。その結果、非常に頭の中がクリアになるので、短時間でリフレッシュする方法として支持されています」と杤堀さん。
その非常に深いリラックス効果が近年では“ととのう”と表現されており、実感するためにはサウナ、水風呂、外気浴の正しいルーティーンが大切だそう。「最初は慣れなくても、ちょっと頑張って続けることで効果を実感できると思います」

サウナの入り方がわからない場合は、丁寧に教えてもらえます。

サウナの入り方がわからない場合は、丁寧に教えてもらえます。

他に睡眠の質の改善、発汗による美容効果、冷え性の改善を実感する人もいるそうですが、感じ方には個人差や施設との相性もあり、特に基礎疾患がある人など体質・体調によっては注意が必要です。

オープンから約一年、海のサウナ・宝来洲ならではの効能を感じるという声も聞かれます。「サウナ後に、急激な熱さと冷たさを交互に感じることで皮膚の末端の毛細血管に流れる血流量の変化から赤い斑点模様が皮膚に浮き出す“あまみ”と呼ばれる現象があります。宝来洲ではこれがとても出るんです。それはサウナ好きな人にとっては“いいサウナ”とされています。どうして宝来洲でたくさん出るかは謎ですが、海という環境もあるのか“他とは違う効果を感じる”と話すユーザーの方は多いですね」

海に飛び込むのが宝来洲の醍醐味の一つ。

海に飛び込むのが宝来洲の醍醐味の一つ。

実は、柏崎では宝来洲よりずっと昔に海で健康づくりをする文化が根付いていたことが分かっています。
江戸時代後期の柏崎を治めていた役人が書いた天保年間の文献「柏崎日記」には「大暑休日故土用見舞いに出て昼頃までに帰る。今日丑の日故塩湯治と申て老若の男女皆浜へ参り候」という記載があります。
ここにでてくる「塩湯治」とは、真夏に海水に体を浸し、日光に当たることで風邪をひかないようにしたり皮膚を清潔にしたりすることを目的とした民間療法のひとつ。かつて海はレジャーではなく健康増進の場だったのです。

1888年には、初代陸軍軍医総監を務め、大磯(神奈川県)に日本初の海水浴場を開いた医師・松本順(良順)が、縁あって柏崎に長期滞在しました。この時に松本氏が柏崎で海水浴の医学的効能を広めたと言われており、柏崎に日本海側初の海水浴場が開かれたきっかけになったのではないかと考えられます。
海水浴場が開設された柏崎には、その後北越鉄道が敷かれ、駅舎ができ、特に鯨波は海水浴場のある避暑地として人気のスポットとなりました。

江戸時代の人たちも、ここで体を労っていたんですね。

江戸時代の人たちも、ここで体を労っていたんですね。

杤堀さんも「宝来洲も長期滞在しながら健康づくりをする人が現れてくると理想だなと思います」と、まさに湯治としてのサウナの役割に期待を寄せます。

それでは早速、宝来洲のサウナを体験してみましょう!
宝来洲ではフェイスタオルとバスタオルを貸してくれるので、準備するのは水着だけでOK。
宝来洲のサウナ室の温度はおよそ80~90度で、サウナ→水風呂→外気浴を1セットとして、2時間で4セットほど楽しむ人が多いそうです。

サウナ施設内に併設されているラウンジ

サウナ施設内に併設されているラウンジ

サウナ室のドアを開けて中へ入ると、床の板が既に熱く飛び跳ねながら奥へ。バスタオルを敷いて、サウナタイムスタートです。

座面が広いので、腰掛けたり体育座りをしたり、貸し切りにした場合は寝っ転がったりしてもOK。

座面が広いので、腰掛けたり体育座りをしたり、貸し切りにした場合は寝っ転がったりしてもOK。

筆者はこれまでサウナの経験がほとんどないので、慣れない熱さにドギマギ。普段それほど汗をかかない体質ですが、あっという間にどんどん汗が浮き上がり流れていきます。独特の湿度の高い熱さに体が慣れていく感覚が面白く、自分の体の可能性が広がっていくことを感じました。

汗をどんどんかきますが、ベタベタはしません。

汗をどんどんかきますが、ベタベタはしません。

しばらくして、薪ストーブで温められた石に水をかけて湿度を上げる、セルフロウリュに挑戦してみることに。

宝来洲はセルフなので、自分の好きなタイミングでコントロールできます。

宝来洲はセルフなので、自分の好きなタイミングでコントロールできます。

柄杓で水をかけると…じゅわっという音とともに水蒸気が上り、一気に湿度と体感温度がアップ!グッと温度の上昇を感じ、耐えられるか心配になりましたが、湿度も上がることでむしろ長時間過ごしやすくなる仕組みになっています。

サウナ室は80度に。

サウナ室は80度に。

そしてしっかり体が温まったら、いざ日本海へ!

一気に起こる体の温度変化と大自然の開放感、そして何といっても波に身を委ねる非日常感に心が躍ります。

一気に起こる体の温度変化と大自然の開放感、そして何といっても波に身を委ねる非日常感に心が躍ります。

温度変化による頭のリラックス効果はもちろん、海というコントロールできない自然と自分との関係にもはや必死。日頃の悩みや考えごとも考える余裕はありません。気づいたらいつの間にかリフレッシュしている自分がそこにいました。

プカプカと海に身を委ねてクールダウン。

プカプカと海に身を委ねてクールダウン。

宝来洲では、クールダウンとして日本海の他に、水シャワーも用意されています。

建物の外に設置されているので、こちらも開放感たっぷり。

建物の外に設置されているので、こちらも開放感たっぷり。

サウナ=熱さのイメージがありますが、杤堀さんが大切にしているのが「外気浴」です。「サウナと水風呂で体をぎゅっと締めて、それが外気浴で通常値に戻っていくときが気持ちいいんです。新潟はこんな自然豊かないいロケーションがたくさんあるんだから、外気浴にも力を入れないと」と、宝来洲では3タイプもの外気浴を用意しています。

一つ目は、砂浜の好きなところに椅子を置いて休むスタイル。水際ギリギリのところでも、静かな砂浜でも自由!

まるで自分のフィールドのように、海岸の好きなところで休むことができます。

まるで自分のフィールドのように、海岸の好きなところで休むことができます。

二つ目がハンモック。施設の前に用意されており、すっぽりと包まれる至福感が堪りませんでした。

思わず眠ってしまいそうになるほどの心地よさ。

思わず眠ってしまいそうになるほどの心地よさ。

そして三つ目が、施設の屋上のデッキチェアです。海から吹き上げる強い風が爽快でした。

どのスタイルも大空が視界いっぱいに広がり、気持ちよかったです。

どのスタイルも大空が視界いっぱいに広がり、気持ちよかったです。

浜辺の賑わいからも離れて海を満喫できる特等席。

浜辺の賑わいからも離れて海を満喫できる特等席。

サウナの合間には、水分補給を忘れずに。宝来洲ではサウナ専用ドリンクとして塩入りのオリジナルサイダーを販売しています。

サウナの合間には、水分補給を忘れずに。宝来洲ではサウナ専用ドリンクとして塩入りのオリジナルサイダーを販売しています。

「一般的なサウナは100%環境をコントロールできますが、アウトドアサウナは70%くらいコントロールできないので、人が環境に合わせるしかありません。その日の気温や日差しや波の高さなどを見て、今日はどうやったら楽しめるか考えることが求められる。海が主役の宝来洲ならではの楽しみ方です」と杤堀さんが言うように、体の変化はもちろん、目の前の自然と向き合い、身を委ねることで、日常の慌ただしさから離れ、心がリフレッシュされていく感覚が非常に新鮮で楽しい体験でした。

全身汗びっしょりになりながら、体と向き合う時間。サウナが癖になる人の気持ちが少しわかった気がします。

全身汗びっしょりになりながら、体と向き合う時間。サウナが癖になる人の気持ちが少しわかった気がします。

江戸時代の塩湯治から令和のサウナへ、柏崎の海における健康増進の文化は時代の変化に応じて進化し続けています。
新潟の豊かな自然を満喫しながら、慌ただしい日常からひととき心と体を癒し、健やかに過ごす時間。
ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

掲載日:2022年9月22日

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サウナ宝来洲(ホライズン)
住所:〒945-0855 新潟県柏崎市鯨波2-3-6
電話:0257-41-6270(10時~17時)
【営業時間】
月曜:12:00-14:00/14:00-16:00/16:00-18:00
金曜:20:00-22:00
土日祝:10:00-12:00/12:00-14:00/14:00-16:00/16:00-18:00/18:00-20:00
※定休日:火水木曜日
※悪天候で営業できない場合があり
※水温が高いため夏期休業(2022年は9月23日より再開)
【利用料金】
10時枠/12時枠/20時枠:2500円
14時枠/16時枠/18時枠:3500円
※サンセットタイムは+1000円
※事前予約制
【定員】
各枠の定員は最大6名。
貸切の場合は+2名程度まで増やせる(貸切料金別途)

その他の施設利用規定に関しては、店舗にてご確認ください。

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