弥彦神社に古くから伝わる燈篭神事で、以前は旧暦の6月14日を中心に行われていたが、昭和36年から現行の7月25日を中心に行われるようになった。この晩は県内各地の大燈篭講中から献燈された大燈篭と地元氏子中より献燈の田楽燈篭多数が2基の御神輿を中心にその前後に連なり渡御巡行となる。午後9時、行列は迎え燈篭により先導され、一の鳥居で勢ぞろいして行進、摂末社の前で神歌を披講する。この間花燈篭の連中は歓声をあげてもみ合い、それを囲んで踊り回る。町を一巡した燈篭は夜半帰還し、拝殿前の特設舞殿を取り囲む。その中で神歌楽、天犬舞が奉奏され深夜に終了する。
舞楽は大陸から我国に伝来し、奈良時代には都で盛んに行われ、それが次第に地方に伝わり、各地の著名な社寺と結びつき定着したといわれている。弥彦神社の大々神楽も伝来より長い間地方化しているが、我国の稚児舞楽の形式をよく残しており、大阪の天王寺舞楽の流れを汲むものといわれている。伝来時のことは不明であるが、記録によれば室町時代には盛んに奉奏されていたことが明らかで、現在の13曲に整理されたのは元禄15年の頃と思われる。
舞楽は「大々神楽」「小神楽」「神歌楽、天犬舞」の3種よりなる。
大々神楽は地久楽、戟舞、弓の舞、陵王、りん河、安摩、神面、二の舞、児納蘇利、かん珠、抜頭、大納蘇利、泰平楽の13曲からなり、現在は4月18日の妃神例祭に舞殿で奏される。小神楽は正月の夜宴神事と2月の神幸神事に拝殿で奉奏されるほか崇敬者らの祈願の際にも奉奏される巫女舞である。神歌楽、天犬舞は一社秘伝の舞で、7月25日の当夜神前の仮設舞殿のみで舞われる。
出典:『弥彦村の文化財』
提供元:弥彦村役場産業振興課観光商工係