
file-64 ご当地検定でにいがた探検
『検定』に込められた思い~ふるさとをもっと楽しくする~
『新潟清酒達人検定』~新潟清酒の楽しみを全国に発信

新潟清酒達人検定の公式テキストブックは、新潟清酒の魅力を多面的に解説。お酒にまつわるさまざまな知識を得ることができる。

合格者を対象にした「達人の集い」も開催される。達人の間で交わされる酒談議は、尽きることなく続くという。
新潟清酒達人検定協会が主催する「新潟清酒達人検定」は、今年3月で5回目を迎えました。これまでの受検者数はおよそ3,000人以上。金・銀・銅の達人という3クラスが設定され、金の達人が1級に相当します。「もともとは県内の旅館で働く方々に新潟清酒に関する正しい知識を身に付けていただき、県外からのお客様にきちんと新潟清酒を説明できるようにすることが目的でした」と語るのは新潟県酒造組合。しかし検定を重ねるうち、消費者側の受検者がどんどん増えていきます。「銀の達人クラスでも、かなりの難問が出題されます。一部の問題は公式テキスト以外からも出題され、新潟清酒について本当によくわかっていないと合格は難しいレベルです。それでも毎年かなりの方が合格される。すそ野の広がりを実感しています」。今年はさらに旅館などサービス業に働く人に向け、県内8か所での「出張検定」も行う予定だといいます。新潟清酒の魅力の浸透と深化に、検定という手法が活かされています。
見て食べて…。ユニークな体験型検定の狙い

「胎内検定」の様子。年により出題数は変わるが、大体15問程度が出される。ちなみに、まだ全問正解者は出ていないという。
県内で行われているさまざまな検定のなかでも、異彩を放つのが「胎内検定」でしょう。略して「胎検」(たいけん)。鉛筆も紙も使いません。文字通り、たいけん(体験)がメインの検定です。「もともとは苦し紛れのところもあったんですよ」と実行委員会の荒井さん。「検定で地域を活性化しようと思ったのですが、運営に携わる市民サポーターが一人も集まらなかったんです。ある時、別のイベントで○×クイズをやった時に、この形を検定にすればスタッフが少なくても面白いものができるんじゃないか、と気付きました」。平成21年から毎年行われている検定では、例えば黒豚の食べ比べ(胎内産ものと市販のもの、どっち?)や、利き水(胎内高原のミネラルウオーターと、胎内の「どっこん水」、水道水はどれ?)など、チャレンジスピリッツをかきたてる問題が並びます。「問題を作るには、まず僕たちが胎内を知らなくてはいけない。『やらにゃん隊』(「やらにゃん」とは、地元の言葉で「やらないの?」(やるんでしょ?)の意)というチームを結成して、毎回胎内を隅々まで調査しています。自分達にとっての再発見もたくさん出てきます。そんな楽しさを、検定を受ける方にも伝えていければと思います」。ちなみに受検者の4割が胎内市外からの参加。小さな子どもを連れた家族連れが多いというのも、この検定の「楽しさ」を表す部分でしょう。
検定。それは地域の文化を後世に正しく伝承するもの

新潟清酒達人検定の検定の模様。受検者の真剣さが伝わってくる。
さて、ここまでいくつかの検定を見てきました。地域を知るもの、知識を深めるもの。さまざまな検定が新潟には用意されています。多岐に及ぶ検定は、新潟の魅力がそれだけたくさんあるということの裏返しともいえるでしょう。学校で学ぶ(学んだ)以上の魅力が、新潟には満ちあふれています。しかし、それらはともすれば見落とされ、やり過ごされ、いつしか忘れ去られていくかもしれません。「近過ぎる」がゆえに、その価値に気が付かないということはよくあることです。検定は、そこにスポットをあててくれます。実際にチャレンジすると、いかに自分が知らないかということに気づくことでしょう。それがきっと、地域を、文化を本当に知る第一歩なのです。検定は私たちにそんな機会を与えてくれます。たとえ「達人」にはなれなくても、得た知識は後の世代に地域を、文化を伝える、大切な財産になることは間違いないでしょう。
<参考ホームページ>
▷ ・魚沼物語
▷ ・胎内検定
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