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file-80 受け継がれる伝統芸能(前編)

  

その他の地域での活動

片貝祭りの木遣り

片貝小学校5年生による木遣り

片貝小学校5年生による木遣り。大人と同じ法被(はっぴ)を身に付けた立派な小若衆によって、古き良き時代の片貝祭りを守り続けています。     

 毎年9月9日・10日の2日間に20万人もの見物客が訪れるという、四尺玉で知られる小千谷市・片貝町の花火。正式には「浅原神社秋季例大祭」と言い、花火は浅原神社への奉納煙火(ほうのうえんか)です。片貝には花火を奉納する際歌う「木遣り」が古くから伝わっていますが、昔は男衆が家を1軒1軒回って木遣りを歌い、御祝儀をもらって屋台を引いて神社へ向かっていたそうです。そんな風情ある光景も、花火が盛大になり祭りが全国的に知名度を上げるとともに、少なくなってしまい残念だという声も聞かれます。
 片貝伝統芸能保存会会長の名塚孝一さんは、木遣りについてこう語ります。「昔は、祭りになると2日間絶えず木遣りが町中に響いていたものです。祭りが終わっても、しばらくの間耳から離れなかったくらい、木遣りは町に浸透していました。時代の移り変わりもあって、今はそんな光景がなくなったんです。そのせいか、本来の木遣りを正しく歌える人が少なくなってしまった。どうしても、子どもの頃感じていた木遣りが聞こえてくると胸が高鳴る感覚を後の世代に残したいという思い、そして、花火だけでない、本来の片貝祭りの形を残したいという思いを持つ先輩方が、1990(平成2)年に保存会を立ち上げたんです。」
 片貝伝統芸能保存会は、「しゃぎり(おはやし)部」「木遣り部」「巫女爺(みこじい)保存部」の3つで構成されています。その中で、今回は「木遣り部」の活動について紹介します。
 木遣りには楽譜などはなく、以前は祭りで聴いたものを誰もが忘れないというものでした。それが時代の流れで変わってしまったため、まず木遣り部で始めたのは、正しい木遣りを残すという作業でした。今ほど機械が発達していなかった頃には、自ら歌ったものをカセットテープに録音し、自主制作したといいます。
 十数年前、保存会は学校に働きかけ、子どもたちに木遣りを伝えていこうと活動を始めました。その熱意が実り、現在では小千谷市立片貝小学校の5年生によって、木遣りが受け継がれています。
 名塚さんは「保存会のメンバーは、現在40代から80代まで47名いますが、メンバー内でも個人個人で歌い方のクセがあるんです。そういう面から考えても、当時カセットテープ(現在はCD)に残しておいてよかったと思っています。楽譜がないので、子どもたちには口伝えで教えるしかありません。練習回数も限られているので、口で伝えていくとともに学校や家庭でCDを聴いてもらっているうちに、吸収が早く素直な子どもたちは本来あるべき形の木遣りを覚えてくれるのです。合唱のような感覚でとらえてくれているんだと思いますよ。」と語ります。
 子どもたちは、片貝祭りのほか市のイベントなどでも木遣りを披露しています。5年生による木遣りは男衆のそれとは一味違い、勇壮な中にもあどけなさの残る澄んだ声が人々を和ませています。
 「子どもたちは、ただ歌うだけでなく、歴史も理解して誇りを持って木遣りを身につけています。この子たちが私の子ども時代のように、木遣りを聴くと祭りを思って胸が高鳴る思いを持ってくれたら、自ずと後の世代に受け継がれていくのではと期待しています。」と名塚さん。子どもの頃の楽しかった記憶は、いくつになっても忘れないもの。“我が町の祭り”が全国規模になっても、片貝祭り本来の意味はこれからも子どもたちによって受け継がれていきます。

初期歌舞伎の面影を残す綾子舞

 
 高原田地区の綾子舞  

初期の歌舞伎の色を残す綾子舞。地元にとどまらず、全国各地から公演依頼があり、美しい舞で人々を魅了しています。写真は高原田(たかんだ)地区の綾子舞。少女2人で踊ります。  

 下野地区の綾子舞  

頭にかぶっている赤い布は「ユライ」と呼ばれ、その一端を髪のように後ろに垂らしています。写真は下野(しもの)地区の綾子舞。こちらは少女3人で踊るのを常としています。  

 

 柏崎市女谷(おなだに)に伝わる綾子舞(あやこまい)は、500年の歴史を持つと言われる民俗芸能です。越後国守護上杉房能(うえすぎふさよし)の自刃(じじん)後、逃れて来た妻の綾子によって踊りが伝えられたという説があります。女性が踊る小歌踊(こうたおどり)と男性による囃子舞(はやしまい)、狂言の3種類からなっていて、小歌踊の扮装や振り、歌詞などが女歌舞伎の踊りに大変似ているのが特徴です。また、狂言も若衆歌舞伎の演目にあるものを伝えるなど、初期の歌舞伎の面影を残しています。こういった芸能史的な価値の高さから、1975(昭和50)年、文化財保護法の改正によって制定された国の重要無形民俗文化財の指定を受けています。
 過疎化による伝承者の不足を解消するため、地域や保存伝承会の働きかけで地元の小・中学生に「綾子舞伝承学習」というクラブ活動を、そして市民を対象とした「伝承者養成講座」が始まりました。現在はこの二つが綾子舞を受け継ぎ、練習や公演を行っています。  

和納棒遣い

 和納棒遣い  

100年の伝統を持つ和納棒遣い。地元の子どもたちが、太刀を持って演技します。子ども達は、わらじ作りから関わっています。  

 

 新潟市西蒲区和納(わのう)地区にある八幡神社境内で毎年8月に開催される和納十五夜まつり。神輿渡御(みこしとぎょ)で小中学生によって披露される「棒遣い」は、新潟市無形文化財に指定されています。三根山(みねやま)藩による剣術を福成寺(ふくじょうじ)の住職が習得し子どもに教えたのが始まりとされ、神輿渡御を指揮する先導人の采配と拍子木により太刀方と棒方が型を披露します。行列の先頭で少年達が踊る姿は悪霊払いの意味があり、棒を手に舞う子どもたちの姿は勇壮で見物客の目を引きつけます。  




伝統芸能を継承する子どもの祭典

 

 各地域で受け継がれている伝統芸能が一堂に集結し、日頃の練習の成果を披露する「伝統連々祭」が開催されます。会場は新潟県民会館大ホール、入場は無料です。当日は今回紹介した団体のほか、各地区の子どもたちが出演するほか、ゲストとして「弧の会」「音魂」「薫風之音」が本格的な演奏を披露します。芸術の秋、日頃なかなか目にすることのできない日本の伝統芸能に触れてみませんか?  

   
   

■伝統芸能を継承する子どもの祭典 「伝統連々祭」

【日時】
平成26年10月5日(日)

<開場>9時30分  <公演>10時~16時30分(予定)

【会場】
新潟県民会館大ホール
〒951-8132 新潟市中央区一番堀通町3-13

【入場料】
無料(自由席) ※事前申し込み不要(当日会場へお越しください。)

【出演団体】
新潟県立佐渡高等学校 郷土芸能部(能)
新潟県立羽茂高等学校 郷土芸能部(佐渡民謡)
和納無形文化財保存会(和納棒遣い)
柏崎市綾子舞保存振興会・高原田保存会(小歌謡・獅子舞・狂言)
少年名立太鼓(名立太鼓)
大積芸能保存会(大積あめやおどり)
こども高森神楽保存会(四剣舞)
燕市少年飛燕太鼓(飛燕太鼓)
小千谷市立片貝小学校(片貝木遣り)
永島流新潟樽砧伝承会(樽砧)
新潟下駄総踊り(下駄総踊り)
見附市立新潟小学校 獅子舞クラブ(小栗山不動院獅子舞)

【ゲスト】
弧の会、音魂、薫風之音

【お問い合わせ】
〒950-8570 新潟市中央区新光町4-1 新潟県県民生活・環境部文化振興課
Tel.025-280-5139(平日8:30~17:15)
Fax.025-280-5221
Eメール:ngt030120@pref.niigata.lg.jp



■取材協力・資料提供
見附市立新潟小学校
小栗山不動院獅子舞保存会 鈴木正明さん
片貝伝統芸能保存会 会長 名塚孝一さん

 

 

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