
file-45 新潟の美味しい秋の味覚(後編) ~それぞれの楽しみ方で~
スタッフと参加者と地域の取組~
「それぞれの楽しみ方で~スタッフと参加者と地域の取組~

ヒシの実について説明する佐藤徳次郎さん。

設立当初から運営スタッフとして関わっている松井さん。

散歩の後は、同じ食卓を囲んでの食事。参加者同士の情報交換の場でもある。

大きな葉を持ってはしゃぐ。子どもには子どもの楽しみ方がある。
運営スタッフの本間さんが、特に伝えたいのは、福島潟には自然と人が共に生活してきた経緯があり、その昔ながらの生活感が今も残されているということ。自然もさることながら、福島潟の自然と共に生活してきた人々の、ひとつひとつの想いが素晴らしいのだと語る。
「歩く福島潟」との異名を持つ佐藤徳次郎さんは、毎回かたごはんの会に参加し、水辺に自生している植物を手に取り、解説をしたり、さまざまな遊びなどを通して、福島潟の自然の魅力を参加者に伝えている。福島潟と共に生き、共に歩んできた人々の生活や営みの一端を、四季の移り変わりと共に感じ取ることができる。
会の設立当初から、本間さんと一緒に運営しているスタッフの松井さんも、自身が学校の先生であった経験などを生かし、参加している子どもたちに読み聞かせなどを行っている。また、設立当初は高齢の参加者が主だったが、数年前から自然育児のネットワークを持つスタッフが参加してから、子どもを連れた若い夫婦の参加者が増えた。スタッフや参加者が、思い思いのやり方で取り組む。それこそが、かたごはんの会の魅力である。
参加者の楽しみ方も人それぞれ。新潟市や地元の豊栄、新発田などからの参加者が多く、野鳥を見に来る人、散歩をのんびり楽しむ人、季節の植物や昆虫を探す人、毎月変わるメニューを楽しみに来る人など、さまざまである。楽しみ方は人それぞれだが、時間と場所を共有し、テーブルを囲んで同じメニューをいただく。これが会の醍醐味。リピーターも多く、顔なじみも多い。子ども連れの家族が多く、近況報告や情報交換の場ともなっている。
3~4年通っている参加者もいる。「最近は、自分より子どもが特にはまっている。自分が教えられないことでも、地域や自然が子どもに教えてくれることがある。毎回通うたびに季節の移り変わりを感じ、毎年通っていると同じ季節でも前の年との違いを実感できる」と、継続して参加するからこその楽しみ方を話してくれた。
「あんまり肩肘張らずに、力を入れずに継続していくことで、参加者に伝わることがある。何回も来るからこそ、一人一人にじんわりとその経験が沁みていくことがある」とスタッフの本間さん自身も感じている。主催者側としても、参加者にその人なりの福島潟での楽しみ方を発見してもらうことを期待している。気軽に参加できるかたごはんの会に、自分なりの「楽しみ」を見つけに、足を延ばしてみるのはいかがだろうか。
●参考URL:http://katagohan2.blog113.fc2.com/
●写真・取材協力:かたごはんの会
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