県内のお祭りや地域文化をご紹介する「新潟・文化体験リポート」。
第2回は新潟市南区にある「しろね大凧と歴史の館」のリポートです。
「しろね大凧と歴史の館」は、毎年6月上旬に5日間に渡って行われる「白根大凧合戦」の紹介、日本や世界の凧の展示のほか、凧作り体験ができる施設です。
「白根大凧合戦」は、300年近くの歴史を持つ伝統の祭りです。言い伝えによれば江戸時代の中頃・元文2年(1737)、堤防の改修工事完成を祝って、白根(当時の新発田藩側)の人々が藩主から送られた凧を中之口川の堤防で揚げた際、誤って対岸の西白根(味方・当時の村上藩側)に落とし、畑や家屋を荒らしてしまいました。これに怒った西白根の人々が自分たちも凧を揚げ、白根側にたたきつけたことが凧合戦の始まりとされています。
現在の凧合戦では、東軍(白根)6組と西軍(西白根)7組の計13組が中之口川の両岸から大凧を揚げ、空中で凧を絡ませて川に落とし、相手の綱(元糸)が切れるまで引き合い勝負をします。凧合戦で使われる大凧はなんと畳24枚分もある巨大なものですが、同館ではその実物を見ることもできます。5日間の凧合戦で使われる大凧は300枚、六角凧は1,200枚にも上ります。
江戸時代の始まり以来、長い間明確なルールはなかったそうですが、明治44年(1911)に日本に初めてスキーを紹介したレルヒ少佐が凧合戦を観戦した際、「これこそ日本古来の武士道的合戦」と感激され、優勝旗を寄贈しました。これを契機に、白根凧合戦協会が設立され優勝制度が定められたそうです。新潟県観光キャンペーンのゆるキャラ・レルヒさんのモチーフ、テオドール・フォン・レルヒ少佐が凧合戦にも関係していたのは興味深いです。
なお、平成27年3月、「白根大凧合戦」・「三条凧合戦」・「今町中之島大凧合戦」は、一括で「越後の凧合戦習俗」として新潟県無形民俗文化財に指定されました。
それでは「しろね大凧と歴史の館」体験リポートをお届けします。
凧合戦で使われる大凧は、中之口川の両岸から揚げられ、空中でお互いが絡みやすいように糸目の中心(元糸の取り付け位置)が工夫されています。対岸に向かいやすいように、中心より左右にずれているのが実際に見るとよく分かります。
ここからは凧作り体験リポートです。
2Fには凧作りの体験コーナー「凧工房」があります。こちらは「風洞実験室」が工房の隣に併設されているので、自分で作った凧をすぐに飛ばすことができるのが特徴です。作ることのできる凧は和凧から洋凧までいろいろ種類がありますが、今回は基本的な和凧作りを行いました。
凧作りに使う和紙は最初から絵が描いてあるものもありますが、下絵を元に自分で描くこともできます。凧作りに詳しい同館のスタッフがコツを含めて丁寧に教えてくれるので、初めての方や子どもでも楽しみながら作ることができます。なお、入館料とは別に、凧作り体験料(300円~)がかかります。体験は新潟市にお住まいのご家族にご協力いただきました。
いかがでしたでしょうか。「しろね大凧と歴史の館」で白根大凧合戦の歴史に触れることで、一層祭りにも興味がでてきました。また、凧作り体験を通して、シンプルながらも奥が深い和凧作りの魅力も感じることができました。入館料やお問い合わせ先など、詳しくは下記リンク(公式HP)をご覧ください。
なお、今年(2015年)の白根大凧合戦は6/4(木)~8(月)の5日間開催されますので、時間のある方はぜひおでかけください。
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それでは動画でも体験の様子をご覧ください。