新潟の地域文化を紡ぎ繋げる 新潟文化物語

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file-83 にいがたの第九

  

広く、深く、楽しみ方がある第九の世界

「潟響」による演奏が感動を盛り上げる

 そして、第九の魅力は合唱だけではありません。「交響曲第九番合唱付き」とも呼ばれる第九。実はお馴染みの「歓喜の歌」が歌われるのは第4楽章であり、第1楽章から第3楽章まではオーケストラのみの演奏です。全体で約70分、そのうち合唱が歌われるのは約20分になります。
 新潟第九合唱団と毎年美しいハーモニーを奏でるのが、共催に名を連ねる新潟交響楽団(以下潟響)。「潟響(がたきょう)」の愛称で親しまれているこのオーケストラの歴史は古く、設立は1931(昭和6)年で、今年83周年。なんとアマチュアのオーケストラでは全国で2番目に古いという、歴史ある団体であり、長年にわたり地域音楽文化の向上と発展に貢献してきました。新潟と第九の系譜を語る上で欠かせない存在であり、1969(昭和44)年に新潟で初めて第九が披露された時から、演奏を担当しています。
 第九の演奏はもちろん、単独の定期演奏会や市民ミュージカル出演、県外公演やTV出演など数多くの演奏実績があり、約80人の団員は学生から主婦、会社員、自営業者と様々な、まさに「市民オーケストラ」。日常の忙しさの中から時間を作り、毎週切磋琢磨しています。その活発な活動は県内外から高く評価されており、1982(昭和57)年には新潟日報文化賞(芸術部門)、1989(平成元)年に新潟市市制施行100周年記念表彰、そして1992(平成4)年には文部大臣賞(地域文化功労者賞)を受賞しています。

何故第九はこんなにも愛されるのか

 新潟第九合唱団の練習風景  

新潟第九合唱団の練習風景
 指導者の箕輪久夫先生のかけ声で、休憩を挟みつつも熱のこもった合唱が響く。数限りある練習の機会を大切に、有意義なものにしようとしている空気が感じられました。練習は県民会館小ホールをメイン会場に毎週開催。  

 

 「音楽だから、楽しみ方は人それぞれ千差万別。自由に楽しんでほしいですね」と藤田さん。では、長年実際に歌い続けている藤田さんは、第九にどんな魅力を感じられているのでしょうか。
 「りゅーとぴあの素晴らしいホールいっぱいに合唱が響き渡る。それが何よりも感動の瞬間であり、二つとして同じ瞬間はありません。毎回感動が違うのです。第九は歌っても聴いても楽しめる曲。お客さんを引き込み、フィナーレに向けて一気に走り抜け、歌い上げた瞬間にはグッとくるものがあります。そして『ブラボー!』の声をもらうと、もうやめられませんね。歌い手ならではの醍醐味です」
 また音楽好きの人には鑑賞を重ねて「指揮者による違い」を探ることもお勧めのポイントとのこと。「音楽は自由であり、指揮者の解釈によって同じ曲でも全然違うものになります。カラヤンの第九、トスカニーニの第九、フルトヴェングラーの第九…みんな違うし、そうすると長さも変わってくる。特に今年は初めて組む指揮者の方をお迎えしています。『今年の第九はどんな風になるんだろう』と楽しんでいただくのも音楽ファンの方にはお勧めです。その時にしか味わえない音楽のうねり、空気、喜び、悲しみ…指揮者がイメージする世界観を表現したいと思います」
 また、第九は老若男女問わず楽しさを共有できるのも特徴のひとつ。「ドイツ語がわからなくても仮名をふればOK。練習では資料をお渡しするので、それを読んで意味を理解すれば、誰でも一緒に歌えますよね」(藤田さん)    

新潟県内に広がる第九の輪

 過去の公演パンフレット(一部)  

過去の公演パンフレット(一部)
 今年で15周年を迎える「新潟第九コンサート」。これまでに多くの指揮者を迎え、多彩な第九を歓喜と感動とともに市民に届けてきました。


2014年度の「新潟第九コンサート」公演チラシ  

2014年度の「新潟第九コンサート」公演チラシ
 開催概要/開催日:2014(平成26)年12月28日(日)、開演時間:午後2時開演、会場:新潟市民芸術文化会館りゅーとぴあコンサートホール

 

 「新潟第九合唱団」をはじめ、新潟県内にはいくつもの第九を歌う団体があります。
 「長岡混声合唱団」は第九を歌うために「長岡第九合唱団」として1986(昭和61)年に結成され、2006(平成18)年に現在の名前に改名した合唱団。こちらも幅広い年齢層で、経験問わず幅広いメンバー構成で活動しています。見附の「アルカディア混声合唱団」も前身は第九演奏会に参加した合唱団員の有志団体。他にも、PTAを中心に1997(平成9)年に設立された燕の「第九を楽しく歌おう会」、加茂の「第九加茂市民合唱団」などの合唱団が県内で活動しています。
 また、前半で紹介した「柏崎第九演奏会」は2009(平成21)年の演奏会をきっかけに「復興のシンボルである市民会館竣工の折りには再演を!」という強い市民の声から、再び合唱団員を募集し、2013(平成25)年に演奏会を開いたり、他にも新発田や上越などでも第九コンサートが不定期に開催されたりしています。
 「実は佐渡では一度もオーケストラ付きの第九が演奏されたことがありません。そこで現在、佐渡市市制10周年記念事業の一環として、オーケストラとともに佐渡で第九の演奏会を開く準備を進めているところです。現在調整中ですが、会場の都合もあり、2017年には実現できそうです。また今後、新潟県内の第九の団体が集うサミットのようなものが出来たらなと考えています。それぞれが思い描く『第九』を語り合ってみたいですね」(藤田さん)
 今年の「新潟第九コンサート」は15回目の周年記念。12月28日(日)の午後2時から新潟市民芸術文化会館りゅーとぴあのコンサートホールで開催されます。また、その様子は12月31日(水)の大晦日にBSN新潟放送でも放送予定(放送時間11時55分〜12時50分)。また12月24日(水)には、第九加茂市民合唱団によるコンサートが加茂文化会館で行われます。
 実際に練習を取材し、男女問わず夢中で歌う様子は迫るもの、そして心が高鳴るものがありました。2014年を締めくくる感動と出会いに、足を運んでみてはいかがでしょうか。  



■取材協力・資料提供
新潟第九コンサート実行委員会

■参考資料
・『歓喜に寄せて』の物語ーシラーとベートーヴェンの『第九』」/矢羽々崇/現代書館
・「『第九』と日本出会いの歴史 板東ドイツ人俘虜収容所の演奏会と文化活動の記録」/ニコレ・ケンプケン/彩流社
    

 

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