かつての新津油田金津鉱場

file-166 国内生産量1位を誇る、石油大国新潟県(後編)

 前編では、新潟県の石油生産の歴史を探ってきましたが、後編では、現在も石油を身近に感じられる場所を見ていきましょう。

石油献上の記録を基にした祭り~黒川燃水祭と草生水まつり~

 前編で紹介した『日本書紀』の石油献上の記録。この石油献上の地とされている胎内市黒川地区や柏崎市西山町では、『日本書紀』の記述を基にした祭りが行われています。
 胎内市黒川地区では、昭和58年(1983)から毎年7月頃に「黒川燃水祭(くろかわねんすいさい)」が開催されています。この祭りでは、『日本書紀』の記述に基づいて、当時使われていたカグマという草を用いて水面にある油を採る「採油式」を行い、献上行列が黒川石油公園内の「臭水油坪跡」から胎内市黒川庁舎まで練り歩きます。その後、『日本書紀』の記述にちなんで天智天皇を祀っている滋賀県の近江神宮に採油した燃水を献上します。コロナ禍以降は、採油式などの神事は省略されているものの、石油などのエネルギー関連企業や地元小学生が集まり、採油体験などが行われています。

カグマという植物を使って採油する
(画像提供:胎内市教育委員会)

地元の小学生が採油体験
(画像提供:胎内市教育委員会)

 また、柏崎市西山町では、昭和60年(1985)から例年8月に、「草生水(くそうず)まつり」が開催されています。この祭りでは、西山町妙法寺にある草生水献上場(おんじょうば)での「採油式」、妙法寺内の大地主神社にて京都へと出発する様子が再現される「安全祈願祭」、都を模した祭りの献上式会場へ向かう「献上行列」、そして献上式会場であるふるさと公苑で「献上式」が行われます。会場では屋台や地域の方によるステージもあり、多くの参加者で盛り上がります。

献上場での採油式
(画像提供:柏崎市商工会)

献上行列
(画像提供:柏崎市商工会)

献上式
(画像提供:柏崎市商工会)

石油掘削時に発見された石油の香り漂う温泉~新津温泉~

 新津駅から徒歩15分ほどの場所に位置する新津温泉は、昭和26年(1951)に帝国石油株式会社が石油掘削の目的で地下933mまで掘ったところ湧き出た温泉です。当初は地元の人々がドラム缶を用意して入浴していましたが、教育関係の仕事をしていた方が買い取り、昭和29年(1954)に「新津温泉」として開業しました。開業当時からほとんど変わっていないという建物の外観は、昔ながらの大きな民家のように見える渋いたたずまいです。また、現在でも4ヶ月に1度ほど、約2時間半の間欠泉が噴出するといい、建物の前の地面にはその衝撃で削れた跡を見ることができます。

新津温泉の外観

 新津温泉のお湯は体がよく温まり、お肌がツルツルになり、皮膚病にも効果があると謳われています。また、石油掘削時に湧き出た温泉ということもあり、温泉からは石油の香りが漂います。
 新津温泉の方によると、東京都在住の医師が、アトピー患者に新津温泉を紹介しているとのことで、実際に4ヶ月ほどでアトピーが綺麗に治った患者さんも見たことがあるそうです。また、常連客の間で評判になっているのが、この温泉のお湯で「鼻うがい」をすることで、鼻のアレルギーや蓄膿症などの症状が和らぎ、鼻の調子が良くなったと感じた方もいたそうです。
 数十年間毎日来ているという常連客もいるほか、近年、テレビ局などからの取材が相次ぎ、話題になっていることもあり、土日には県外から来たお客さんで賑わっています。

新津温泉の浴室

 新潟県内では、最盛期のような大規模な石油開発はすでに行われていませんが、今でも新潟県が誇る資源「石油」を身近に感じることができます。
新潟県では現在もガス田の新規開発や洋上風力発電の導入が予定されており、今後も新潟が日本のエネルギーの重要な供給地のひとつになることが期待されます。

 

掲載日:2024/3/27

 

【取材協力】
胎内市生涯学習課
柏崎市西山町事務所
新津温泉

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【出典】
“草生水まつり”2022年6月20日.柏崎市(2023年10月4日閲覧)
“第33回草生水(くそうず)まつり”2023年8月20日.柏崎市(2023年10月4日閲覧)
“ハードコア系温泉マニアの聖地・新津温泉を堪能/新潟市”2022年4月22日.にいがた観光ナビ(2023年10月4日閲覧)
新潟市で61年ぶり 天然ガス開発技術の継承を.NHK新潟放送局.2023年2月28日.にいがたWEBリポート(2023年10月4日閲覧)

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