新潟の地域文化を紡ぎ繋げる 新潟文化物語

特集

  1. 新潟文化物語HOME>>
  2. 特集>>
  3. file-113 大地の恵み~ジオパークと糸魚川の温泉~(前編)

file-113 大地の恵み~ジオパークと糸魚川の温泉~(前編)

  

多様性に満ちた糸魚川ジオパーク


 温泉は、地層の成分を含んで湧き出してきます。そのため、地域によって泉質が異なりますが、ここ糸魚川では、硫黄泉、炭酸水素塩泉、塩化物泉に加え、化石深層海水など、実に多彩な湯が楽しめます。それは、糸魚川ジオパークの地質の多様性の証明。まず、目に見えない地質の謎に潜入します。

フォッサマグナ

フォッサマグナミュージアム展示コーナーの、フォッサマグナと糸魚川ー静岡構造線を示したパネル。パネル内の数字は日本国内の石灰岩がある場所で、番号に対応した石灰岩の標本がパネルの下に展示してある。

ジオサイト
5億年に渡る大地の物語

フォッサマグナは巨大な溝

ミュージアム 外観

2015年3月、リニューアル。巨大スクリーンとモニターを駆使するフォッサマグナシアターは圧巻/フォッサマグナ ミュージアム

「フォッサマグナを1本のラインだと思っている人が多いのですが、正しくは大きな溝のことなんですよ」と説明するのは、「フォッサマグナ ミュージアム」の小河原孝彦さんです。ただし、その溝は今は見ることができません。はるか昔、日本列島形成に関わるダイナミックな地殻変動によって、日本列島が東西に裂けてできた溝には、その後、長い時間をかけて土や砂が堆積。そして、地下のマグマが上昇して新潟焼山から富士山、箱根まで続く火山列ができあがったのです。糸魚川市にあるのは、そのフォッサマグナの西の縁である糸魚川と静岡を結ぶ構造線。日本列島のほぼ真ん中を南北に走っている大断層です。
 構造線を挟んで、古生代・中生代(5億5000年前~6500万年前)と、新生代(2500万年前以降)の、新旧ふたつの地層が存在しています。糸魚川の地層は、複雑な日本列島誕生の歴史を反映しているため、複雑になっています。

 

小河原さん

「糸魚川ほど地質が複雑でバラエティに富んでいる場所はなかなかありません。探究心が刺激されます」/小河原さん

「地表の下をくまなく探索することはできないから、実際にどのような地層、どのような岩石分布になっているのかは正確にはわからないんですよ」と、小河原さん。だからこそ、地質の成分を溶かして湧いてくる温泉は貴重な情報源。温泉は「地球」を教えてくれるものなのです。

 

ヒスイ

大きさや色の異なる、多種多彩なヒスイが集められた展示室。展示ヒスイの中には市民が発見して提供したものも。

 では、糸魚川ジオパーク内の温泉にはどれほどの多様性があるのでしょう。大きく分けると単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫化泉の泉質があり、さらに、含まれる成分や炭酸の強さなどによってそれぞれの温泉が個性を発揮しています。また、入るだけでなく、飲用や料理用に使っているところもあります。そこに、景観や歴史、食、スポーツなどの要素が加わり、温泉の楽しみ方は多彩です。
 糸魚川ジオパークには、24ヶ所の拠点、ジオサイトがあり、地質や文化、歴史を実感することができます。「糸魚川というテーマパークに、24のアトラクションがあると思ってください。いろいろ回って、糸魚川の大地の恵みを体感していただきたいです」と、小河原さん。
 そしてもう一つ、伝えたい糸魚川の魅力があるそうです。それは日本酒。「糸魚川は硬水が多く、水質もいいので、しっかりとした飲み口のお酒ができます。それも大地のおかげなのです」温泉プラスαの楽しみも糸魚川の魅力として、五感に染み渡ります。

 

姫川沿いにさかのぼる

ホテル國富アネックス

高く吹き上がる噴泉は同館のシンボル。温度を下げ、ガスや匂いを抜くための手段でもある/糸魚川温泉 ホテル國富アネックス

 まず、フォッサマグナの糸魚川―静岡構造線の西側の温泉を3ヶ所、紹介します。
 なめるとしょっぱい塩化物泉は、海に囲まれた日本では珍しくはありません。しかし、「姫川渓谷(大糸線)ジオサイト」の糸魚川温泉「ホテル國富アネックス」の温泉のしょっぱさは、時空を超えた特別の味です。「太古の地層にたまった化石海水から、温泉が湧き出ているんです。源泉は姫川沿いにあり、地下約1,300mから約97度の高温の湯が湧くので、敷地内の噴泉でいったん空気に触れさせて冷まし、また、ガスや匂いも抜いてから、浴室へ引いています。泉質は、ナトリウム・カルシウム塩化物泉。保湿力が高く、湯冷めしにくいのが特徴です」と、木島健太郎さん。かつて、温泉から塩を作っていたというほどの塩辛さなのです。「ゆくゆくはこの塩作りを復活させ、戦国時代に上杉謙信が武田信玄に塩を送ったという『塩の道』と関連させて、観光資源の一つにできたら」と、観光との連携を視野に、温泉の活用を進めています。  

 

ホテル國富翠泉閣

露天風呂の巨石はすべて姫川産。まるで山間の岩場にいるような雰囲気を丹念に再現している/姫川温泉 ホテル國富翠泉閣

 姫川をさらに上流にたどっていくと、「姫川渓谷ジサイト」に到着。ここには、姫川温泉 「ホテル國富翠泉閣」があります。源泉は姫川の伏流水を水源としており、湯量は毎分約1,500リットルと大変豊富です。「泉質は、ナトリウム―塩化物・炭酸水素塩泉。保湿成分のメタケイ酸を多く含むので、肌が潤う美肌の湯と呼ばれています」と、備瀬知弥(びせともや)さん。姫川の恵みは温泉以外にもあるそうです。「北アルプスが源流の姫川の水質は全国でもトップクラス、国土交通省が定める清流日本一に4回輝いています。当館ではその姫川水系の地下水を料理や飲み水に使っています」  

 

蓮華温泉
蓮華温泉

4つの露天風呂はそれぞれ5~10分程度の距離にあり、ハイキング気分で湯巡りもできる/蓮華温泉 白馬岳蓮華温泉ロッジ

 長野県境へ向けて進むと、日本で最初に氷河地形が確認された「蓮華ジオサイト」があります。高山植物や火山の噴気、間近に迫ったアルプスの山々の眺めが楽しめるエリアです。新潟県側から北アルプスへの玄関口に当たる山小屋「蓮華温泉ロッジ」から15分ほど登ると、標高1,550mのところに、それぞれ源泉の異なる4つの露天風呂があります。単純酸性泉の「仙気の湯」、マグネシウム炭酸水素塩泉の「黄金湯」、酸性硫酸塩泉の「薬師湯」、そして酸性アルミニウム硫酸塩泉の「三国一の湯」。4つとも湯船だけの野趣満点の風呂。360度の景色を楽しみながら入浴できるのは、糸魚川ジオパークではここだけです。  

 

 後編では、糸魚川―静岡構造線の東側の温泉地を巡ります。  

 

 

後編 → 大地の恵み~ジオパークと糸魚川の温泉~(後編)
『温泉を核に広がる楽しさ』

投稿はこちらから

  • イベントを投稿する
  • 地域文化データベースに投稿する
  • 投稿の仕方(PDF)
Copyright© Niigata Prefectural Government. All Rights Reserve