file-50 佐渡金銀山の遺産群 ~世界遺産登録への挑戦~

  

「産業遺産」の積極的評価と世界遺産への道

 佐渡金銀山は戦国時代から平成元年までの約400年間、金銀の採掘が行われた日本を代表する鉱山である。江戸時代には鉱石採掘から小判製造までの一連の作業が行われ、明治維新以降は、西洋から最新技術を取り入れ日本の近代化の一翼を担った。佐渡で産出された金銀は江戸幕府、明治政府の経済的基盤を支えたといわれている。その歴史を物語る産業遺産や関連する文化財が数多く残っている佐渡は、世界的にも貴重な存在である。

「道遊の割戸」

江戸時代には“青柳の割戸”と呼ばれた「道遊の割戸」。深さ74メートル、最大幅30メートル。

「大立竪坑(おおたてたてこう)」

日本初の欧米の技術による竪坑「大立竪坑(おおたてたてこう)」。鉄製櫓(やぐら)からエレベーターで垂直に地下約350メートルまで潜り、どの場所からも水平に鉱石を採掘、採取することが可能だった。

 近年では、人類の産業の発展を伝える「産業遺産」が世界遺産として積極的に評価されるという流れがある。
 
 ユネスコでは、平成6年(1994)に新たな価値観で世界の遺産を見直していこうと新たな戦略が提示された。そこで示されたのが「文化的景観」「20世紀建築」、そして「産業遺産」という視点である。それをきっかけに人類の産業の発展を伝える“産業遺産”が世界遺産として積極的に評価されるようになり、国内でも注目度が高まった。
 
 日本の世界遺産は、姫路城や法隆寺、屋久島など16件が登録されているが、そのうち産業遺産は石見銀山(いわみぎんざん)1件のみ。イギリスでは28件の世界遺産のうち8件が産業遺産である。日本もまだまだ増やす余地はありそうだ。
 
 そうした流れの中、新潟県と佐渡市は、佐渡鉱山の遺産群を未来に受け継がれていくべき宝と位置づけ、世界遺産登録に向けて取り組みを進めている。佐渡金銀山は、「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」の名称で平成22年11月に世界遺産暫定一覧表に記載され、現在は平成27年度のユネスコへの推薦をめざし、推薦書を作成している。

金を中心とする佐渡鉱山の遺産群

 「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」は大きく分けて、①西三川砂金山、②鶴子(つるし)銀山、③新穂銀山、④相川金銀山から構成される。

①西三川砂金山
 平安時代に採掘が始まり、『今昔物語集』の説話の中にも「佐渡の国には金のとれるところがある」という記述が登場する佐渡最古の金山。江戸時代には砂金を含む山肌を掘り崩し、水路を引いて堤に溜めた水を流し込み、余分な土砂を洗い流し、残った砂金を採取する技法が行われていた。中国地方の砂鉄採取技法との類似が見られ、当時の技術交流もうかがうことができる。また、砂金山の中心地であった笹川集落周辺には、神社や金山役宅、砂金稼(かせ)ぎ場などが江戸時代の絵図のとおり現存しているという大変貴重な遺産となっている。
 
②鶴子(つるし)銀山
 戦国時代後期に採掘が開始され、相川に先行して開発された銀山の遺構群。相川金銀山が開発されるまで佐渡最大の鉱山であり、主に銀・銅を産出した。沢や尾根筋に大規模な露頭(ろとう)掘り跡や佐渡で初めての坑道掘りによる間歩(まぶ、坑道)などの採掘跡が広範囲に残されていて、佐渡の鉱山採掘システムの変遷を見ることができる。また、鶴子銀山の周辺の山々は中世から続く山岳信仰の修行場ともなっており、鉱山と修験者の関わりが推測される遺跡も多い。

「新穂銀山」坑道跡

“百枚間歩(ひゃくまいまぶ)”と呼ばれる坑道跡が残る「新穂銀山

③新穂銀山
 戦国時代、鶴子銀山に次ぐ規模の銀山で、その鉱山町は「滝沢千軒」といわれるほどの隆盛を誇った。銀山の繁栄を受け、慶長5年(1600)に成立した新穂市町が、現在も新穂市街地として、その町並みを残している。

④相川金銀山
 徳川幕府や明治政府の財政を支えた国内最大の金銀山。江戸時代の初めからスペイン人によって伝えられた技術を用いるなど、世界最先端の採掘技術・製錬技術が集結され、世界的にも有数の産金量を誇った。相川市街地とその周辺部には、国史跡に指定されている遺跡も多く、日本最大の露頭掘り跡であり、佐渡金銀山の象徴ともなっている「道遊の割戸(どうゆうのわれと)」もその一つ。平成21年には鉱山用石磨(いしうす)の石材を切り出した吹上海岸石切場跡が、平成22年には旧佐渡鉱山の施設群が国史跡に追加指定された。
 本格的な開発以来、佐渡金銀山の中心的存在となった相川には、各地から人が流れ込み、町衆の大半が他国から来た人たちだったという。慶長8年(1603)に本格的な都市計画が試みられた相川には、番所や商人町の京町、鉱山労働者の大工町などが造られ、今も鉱山都市の時代的推移を見ることのできる貴重な景観として残っている。

 江戸時代、一国天領として栄えた佐渡金銀山の歴史、その中から生まれてきた文化については、こちらからご覧ください。
【新潟文化物語 特集File.8「佐渡の金銀山 一国天領に開いた文化」】

file-50 佐渡金銀山の遺産群 ~世界遺産登録への挑戦~

  

佐渡金銀山の価値、再発見!

新潟県内初! 「重要文化的景観」に選定された西三川砂金山

虎丸山(とらまるやま)と笹川集落(西三川砂金山)

国の重要文化的景観に選ばれた、砂金を採取した虎丸山(とらまるやま)と笹川集落(西三川砂金山)。この麓には今も生活する人たちがいる。

 平成23年、「佐渡西三川の砂金山由来の農山村景観」が国の重要文化的景観に選定された。

 西三川砂金山は、明治5年(1872)に閉山となった後に、砂金採掘跡や堤跡の田畑への転換、砂金流し用水路の農業用水路への転用といった農地開発が行われ、農山村への転換を成功させた。鉱山集落として栄えた笹川集落には、長年の砂金採掘により形成された平坦地、急斜面、独立丘陵などが点在し、その特異な地形条件を巧みに利用した屋敷配置や、砂金採掘で生じたガラ石を用いた石垣などを見ることができる。

 鉱山集落の面影をそのまま残しながら、現在の農村集落が一体となった景観地は全国でも珍しく、現在もそこに住む人がいることが、歴史的変革を示す価値の高い文化的景観として評価され選定されたのである。

文化的景観とは
 地域の人々の生活・生業によって形成された景観地のことで、平成17年度に文化財保護法により、新たに制定された文化財の保護制度のこと。

  

 

 

 

北沢地区と大間港にグッドデザイン賞

北沢浮遊選鉱場(きたざわふゆうせんこうば)

浮遊剤を使って、鉱石や金銀のしぼりかすから、さらに小さな金銀を回収する施設「北沢浮遊選鉱場」。

「大間港」
「大間港」

鉱石や物資の搬出入で使われた「大間港」。

 平成21年には北沢浮遊選鉱場(きたざわふゆうせんこうば)を含む北沢工作工場群と、鉱石や物資の搬出入に使われた大間港(おおまこう)の整備が終了し、翌年にはそれらが「グッドデザイン賞」を受賞している。

 北沢地区はかつての工場群をそのまま広場として設計し、建物の通路を回遊路とした。建物の跡地には、地元の窯で製作した佐渡の伝統的な焼き物「無名異焼(むみょういやき)」によるプレートサインを埋め込んだ。大間港は「夕日」をコンセプトとして、海岸に向けて夕日を眺められるベンチを、春分・秋分の向き、夏至の向き、それらの中間の向きへ3基設置した 。

 「雄大な遺跡を仰ぎ見ることができる広場は、その歴史的景観を尊重しながら、自己主張せず、工場痕跡をシンプルに対峙させることによって、より周りの状況を際立たせている。シンプルなデザインの中で、手すりやベンチ、サインなどのディテールと質感が広場全体を昇華させることに成功している」と審査員から評価を得た。歴史の面影を残しながら、さらに魅力を引き立てる空間が完成した。
 
グッドデザイン賞とは
 公益財団法人日本デザイン振興会が主催する、総合的なデザインの推奨制度。暮らしと産業、そして社会全体を豊かにする「よいデザイン」を表彰する。家電やクルマなどの工業製品から、住宅や建築物、各種のサービスやソフトウェア、パブリックリレーションや地域づくりなどのコミュニケーション、ビジネスモデルや研究開発など、有形無形を問わず、人によって生み出されるあらゆるものや活動を対象とする。

世界も認める「佐渡金銀山絵巻」

佐渡金銀山の絵巻が、ほかの鉱山の絵巻製作にあたってお手本になった可能性もある。
「佐渡金銀山往時之稼行絵巻物」(佐渡市教育委員会所蔵)

 佐渡金銀山の価値をさらに高める文化財の存在も忘れることはできない。

 江戸時代に描かれた「佐渡金銀山絵巻」には、主に相川金銀山における採掘から製錬、小判製造にいたる作業や、幕府役人、請負人、労働者の仕事風景が細かく描かれている。これらは鉱山の複雑な工程を説明するために絵図師が製作したもので、江戸中期から幕末までの佐渡奉行などの交代の際に提出したといわれている。時々の新技術の導入や管理体制の変化などを反映するために修正が加えられており、複数の絵巻を比較することで、江戸中期から末期までの百数十年にわたる佐渡金銀山の技術や管理体制の変遷などを知ることができるという。また、金銀山で働く人たちの服装や、女性、子どもの姿に加え芸能など日常生活も描かれているため、近世社会史の資料としても、大変貴重だ。

 この絵巻は、国内外で100点以上が残されており、これは他の鉱山に例を見ない数の多さで、内容も詳細にわたり、私たちに当時の様子を伝えてくれる。「佐渡金銀山絵巻」が、これだけの数と内容を誇るということ自体が、佐渡金銀山の重要性を示す根拠になるとされている。

 また、これらの絵巻が、海外へも佐渡金銀山の存在を伝える役割を果たしている。マルコポーロが東方見聞録(とうほうけんぶんろく)で日本を紹介してから約500年後、ヨーロッパ人は日本から渡ってきた絵巻により佐渡島と、佐渡金銀山を知ることになる。それらは現在、イギリス国立図書館、ドイツ国立博物館、フライベルグ市鉱山博物館(ドイツ)などでも大切に所蔵されている。世界も価値を認めたと言って過言ではない。

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佐渡金銀山をもっと知ってもらうために

行政も民間も学校も積極的に活動中

世界遺産国際シンポジウム「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」の様子

平成22年度に行われた世界遺産国際シンポジウム「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」の様子。佐渡市民240名が参加。

 この貴重な遺産群を世界遺産へ登録しようと、様々な取り組みが行われている。

 「佐渡金銀山の価値はどんな点にあるのか、住民には何が求められているのか」。佐渡市と新潟県では、海外から専門家を招いてのシンポジウムやパネルディスカッションでの佐渡金銀山の価値や住民の役割などについての検討や、各種講演会や説明会、パネル展示、連続講座、さらには佐渡への修学旅行の事前・事後学習として学校への出前授業などの取り組みを実施して、登録に向けた気運の醸成を図っている。

 また、地元では、佐渡金銀山の遺跡と京町通りを散策するツアーや佐渡金銀山の古道を歩く会なども開催され、地元の住民にも島外からの観光客にも佐渡金銀山とその周辺の町並みをより身近に感じてもらう仕組み作りも行われている。

北沢浮遊選鉱場を美しくライトアップして音楽会を開催。
約50名の市民が訪れ、美しい音色に耳を傾けた。演奏はシティバンド両津。

 世界遺産登録へ向けて立ち上がった地元の民間団体もあり、力を発揮している。そんな団体の中から、法人・個人を合わせて約500名の会員を有する「佐渡を世界遺産にする会」事務局・浜野浩さんにお話をうかがった。「会員は徐々に増えています。私たちは世界遺産に関する理解を深め、文化財の保護の意識を高めるための活動をしています。縁の下の力持ちですね」。空き缶やゴミ拾いなど、地元だからこそできることを続けている。

 また、佐渡金銀山の古道を歩いてもらえるようにするための草刈りや倒木処理、案内板の設置なども、これら地元の団体の努力によるものだ。「多くの人が佐渡の歴史を学べる場として使えるように」「佐渡金銀山に興味を持って欲しい」という想いが、住民によるこれらの活動を後押ししている。

観光ボランティアガイドを終えて、生徒と観光客としっかり握手。(写真:相川中学校提供)

 「観光ボランティアガイド」も地元住民による活動の一環だ。地元・相川中学校では、平成17年度から総合学習の一環として「観光ボランティアガイド」をスタートさせた。観光ボランティアガイドの中学生たちは、単に名所案内をするのではなく、歴史から世界遺産への取り組みまで伝える。「観光客に説明して評価されることによって、郷土の良さを認識し、郷土への誇りや自信を強めることができると思います。」と相川中学校の大木戸雅人先生は言う。以前、相川中学校の観光ボランティアガイドを利用した女性は「生徒たちに丁寧に教えてもらいました。こうした地元の生徒との出会いも旅行の醍醐味ですね」と思い出を話す。この観光ボランティアガイドは平成24年度も継続して行う予定。佐渡で生まれ育った若者たちが、その熱い想いと郷土の素晴らしさを伝えていく発信者として育っていくのは頼もしい。

伝えていきたい佐渡の魅力

 金銀山を含めた佐渡の魅力を観光客に伝えていくボランティアガイド。ガイドさんの中には、自身が観光客でやって来て、佐渡の魅力に惹かれ、ついに移住してしまったという人もいる。相川ふれあいガイドの岩立恒さんは、千葉県生まれ。30年以上も佐渡に通い続け、7年前から移住しガイドになった。

 佐渡は配流(島流し)の地、鉱山での苦役的労働のみがあった地との誤解から、暗いイメージを持っている人は少なくない。しかし、岩立さんはこう話す。「佐渡に流されてきた人に悪い人はほとんどいません。都の文化や役立つ技術を身に付けた人たちを優しく迎え入れる佐渡の地元の人たちがいたからこそ、佐渡の発展につながったといえます。優秀な頭脳を持った人たちが入ってきたゆえに、今、佐渡からは優れた芸術家や知識人を生み出しているのです」。

 「歴史を教えるのではなく、自分がどうして佐渡を気に入ったのかを伝えたい」。自分自身が島外から来た岩立さんは、全国でも珍しい文化と深い歴史の魅力に惹かれ、佐渡に通ったと言う。
 
 配流、金銀採掘、北前船の寄港など、日本各地との交流の歴史が積み重ねられてきた佐渡には、北海道や関西、四国などの日本のあちこちの文化が息づいている。「日本全国で見たものが、この小さな佐渡にあるんですよ。あなたのふるさとが佐渡で見つかるかもしれません」と岩立さん。外の人を優しく迎え入れ、各地の文化を取り込んで独特の文化に昇華させてきた佐渡は、島外の人にも、どこか親しみを感じる要素を見つけやすいのかも知れない。そんな岩立さんがなによりもうれしいと思うのは、観光客から「佐渡は暗いイメージだったけど見方が変わりました」と言われることだと言う。
 
 佐渡観光協会では、相川をはじめ、両津、小木にもふれあいガイドを配置している。ガイドブック片手に見るだけでは得られない、知識や雑学、新たな発見、そしてなによりもガイドのみなさんの佐渡への想いを感じることができるのではないだろうか。
 

過去があり、今がある。歴史の中から地域本来の価値を再発見する。

 世界遺産とは「現代を生きる世界すべての人々が共有し、未来の世代に引き継いでいくべき人類共通の宝もの」とされる。ただ目に見える遺跡を残すだけでなく、過去の歴史や文化の上に今があることを理解するためにも、人類の産業の発展の歴史を伝える産業遺産や、人々の生活や生業によって形成された文化的景観には重要な社会的価値があるといえる。歴史から学ぶことはたくさんあり、よりよい未来を探求するきっかけのひとつになるかもしれない。また、地域の歴史の積み重ねの上に残された遺産を大事にすること、それを様々な人々に伝えていくことで、地域本来の価値やすばらしさを再認識することができるのではないだろうか。

 新潟県教育庁文化行政課世界遺産登録推進室の高島徹室長は言う。「文化財は守るのも大事ですが、見てもらって価値を分かってもらいたい。たくさんの人たちに実際に行ってもらいたい」

 佐渡金銀山の遺産群とそれを大事に伝えていく佐渡の人々は、その存在をもって、来た人、触れた人にその価値を伝えてくれるだろう。ぜひ、佐渡でそれを体験してみてほしい。


● 取材協力
新潟県教育庁文化行政課世界遺産登録推進室
佐渡市役所世界遺産推進課
佐渡観光協会
佐渡観光協会 相川支部 0259-74-2220
・相川ふれあいガイド 岩立恒さん
・佐渡を世界遺産にする会事務局 0259-63-5136
・相川中学校

● 参考資料
・佐渡金銀山だより

file-50 佐渡金銀山の遺産群 ~世界遺産登録への挑戦~ 県立図書館おすすめ関連書籍

県立図書館おすすめ関連書籍

「もっと詳しく知りたい!」、「じっくり読みたい!」という方、こちらの関連書籍はいかがでしょうか。以下で紹介しました書籍は、新潟県立図書館で読むことができます。貸し出しも可能です。ぜひ、県立図書館へ足をお運び下さい。

▷『産業遺産 時を超えて輝く』

(日刊工業新聞/編 日刊工業新聞社/発行 2010年 請求記号:602/N73)
 日本の産業遺産にはどんなものがあるのでしょうか。本書前書きでは産業遺産について、「幕末から明治、大正を経て、昭和初期における日本の近代化の足跡を今に伝える工場施設や建造物、鉱山などを指す」とあります。全国的に有名なところだけではなく、地域や企業単位のものまで様々な日本の産業遺産119件が収録されています。
 2007年10月から2010年3月までの新聞連載「グラフ 産業遺産」をもとに書籍化されたものです。
 

▷『黄金の島を歩く 佐渡金銀山の歴史と文化』

(佐渡市教育委員会世界遺産・文化振興課、新潟県教育庁文化行政課/編著 佐渡市教育委員会、新潟日報事業社/発行 2008年 請求記号:郷土資料562/Sa13)
 中世から現代までの佐渡金銀山の歴史が写真や絵図を交えて解説されています。本書を読むと、佐渡金銀山の繁栄が経済活動はもちろん、農業や文化など幅広い分野に影響を与えていたことがわかります。
 「金銀山関連遺産マップ」や「文化的景観マップ」、島の博物館・資料館の施設紹介とアクセスガイドが載っていますので、ガイドブックとしても参考になります。

▷『佐渡金銀山展 Sado Gold & Silver Mine』

(新潟県教育庁文化行政課世界遺産登録推進室、佐渡市教育委員会世界遺産・文化振興課/編集 金GOLD黄金の国ジパングと佐渡金銀山展実行委員会/発行 2009年 請求記号:N562/N725K)
 本書は2009年に新潟県立万代島美術館等で開催された「佐渡金銀山展」の図録です。この展覧会は、全国巡回展である「金GOLD黄金の国ジパング展」併設展として、佐渡金銀山における技術の変遷を主に紹介し、遺跡の価値を広く知ってもらう目的で開催されました。展覧会に出品された貴重な資料を写真で見ることができるほか、佐渡金銀山遺跡についてわかりやすく解説されています。

▷『おーい世界遺産 佐渡金銀山夢追いものがたり』

(逸見修/著 新潟日報事業社/制作 2011年 請求記号:N562/H52)
 世界遺産登録への取り組みには「佐渡に住んでいるという自覚や誇り、責任感、使命感をもつことが大切」(p.247)という著者の情熱が伝わってくる一冊です。佐渡市立相川小学校の校長を務めた著者が、世界遺産登録を目指して、子どもたちと取り組んだ活動を中心に記録されています。本書は第7回新潟出版文化賞記録誌部門賞受賞作です。

ご不明の点がありましたら、こちらへお問い合わせください。
(025)284-6001(代表)
(025)284-6824(貸出延長・調査相談)
新潟県立図書館 http://www.pref-lib.niigata.niigata.jp/

 

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